ロシアのウクライナ侵攻と岐路に立たされるボリショイ劇場・マリインスキー劇場 | Je Veux Vivre

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ロシアがウクライナ侵攻を開始した直後から、クラシック音楽界またバレエ界においては、ロシア人アーティストの去就をめぐって幾度となく大きな衝撃が走った。

 

中でも人々の耳目を集めたのは、ボリショイバレエ団のプリンシパルであったオルガ・スミルノワの退団とオランダ国立バレエ団への移籍だろう。スミルノワは「全霊をかけて戦争に反対する」とロシアのウクライナ侵攻を非難し、「ロシアについて恥じることになるとは思わなかった」とその心情を吐露した。

 

“With all the fibres of my soul I am against the war,” she wrote. “I never thought that I would be ashamed of Russia … But now the line is drawn on the before and after.”

 

 

 

 

また、ボリショイ劇場の音楽監督兼首席指揮者であったトゥガン・ソヒエフは、西側諸国の「キャンセル・カルチャー」に苦言を呈し、「愛するロシアの音楽家たちと愛するフランスの音楽家たちのどちらかを選択することは不可能だ」としてボリショイ劇場と共にトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督の職を辞任した。

 

 

 


さらに、ボリショイ劇場のウラジーミル・ウリン総裁はプーチン大統領に対し、「ウクライナにおける特殊作戦の停止」を求める請願書を提出した。この請願書には、ヴァイオリニストのウラディーミル・スピヴァコフらも名を連ねている。

 

 

 

それに対し、プーチン大統領は戦争反対の声明への報復措置であるかのように「ボリショイ劇場とマリインスキー劇場の吸収合併案」を示唆した。マリインスキー劇場は、以前書いたようにプーチン大統領に忠実な指揮者ゲルギエフがその芸術監督を勤めている。

 

https://www.washingtonpost.com/theater-dance/2022/03/25/putin-bolshoi-mariinsky-gergiev/

 

このように、ロシアがウクライナ侵攻を開始して以来、ボリショイ・マリインスキー両劇場に所属するアーティストたちは固より、劇場も大きな岐路に立たされているのが現状だ。