プライド | 思い草へ
晩夏の熱を洗う嵐が通り過ぎ
返事の来ないメールを打つ
夏色のマニキュアの指先に
季節が また巡る
どこか 誰もいない駅のホームで
あなたの後姿が 肩を落とし
前屈みに うつむいている
そんな幻像が心に浮かぶ夜
本当の孤独を知っている者だけが
唯一のひとりと出逢うことができる
私にまだ 孤独が足りないなら
もっと もっと与えてください
水に映った うつくしい世界に焦がれ
駆け抜けてきた 幼い憧憬が罰せられても
きっと 私は胸を張って微笑む
その時だけは 世界の誰よりも うつくしく
PHOTO 山本てつや