『パディントン2』 これ・・・ヒュー・グラントの今後の路線を決定づけちゃったかも? | シネマの万華鏡

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(パディントンの大好物マーマレード・サンドが「2」の形に!)

 

関東大雪警報、的中でしたね。

さすがに昨日は仕事は早じまい。

それでも、帰り着いたら雪で家のドアが開けられなくなってました。

雪の日の唯一のお楽しみは、雪見風呂。ワイルド・ローズの香りの入浴剤を入れたら、ぽかぽかあったまって幸せな気分に合格

今日は自宅で籠城です。

 

二足歩行のクマがいる日常 in ロンドン

『パディントン』(2014年)の続編、日曜に観ました。

前作でペルーからロンドンにやってきた子グマのパディントン。

二足歩行と語学の堪能ぶりは、まあスルーしてあげてください。

拾ってくれたブラウン家の人々に、すったもんだの末家族として迎えられた前回。

さて、予定外だったらしい続編の今作では一体何が起こるのでしょうか?

 

個人的な今回の目玉は、何と言ってもヒュー・グラント出演!

うん、或る意味では期待をはるかに超えたヒュー・グラントが観られた気がしますグラサン

 

ちなみに今作、公式サイトではこの辺↓まで内容がオープンにされています。

キャッチは「今度は、落ち目の俳優にハメられる?無実の罪でとらえられたパディントンを救え!」

今やすっかり“ロンドンっ子”となり、ブラウン一家の人々と幸せに暮らしているパディントン。育ての親のルーシーおばさんの100歳の誕生日プレゼントを探していたパディントンは、アンティークショップでステキな飛び出す絵本を見つける。世界にひとつの絵本を買うお金を貯めるために、働き始めるパディントン。
ところがある日、絵本が盗まれ、現場に居合わせたパディントンが、容疑者として逮捕されてしまう。それは、絵本に隠された秘密を知る、落ち目の俳優ブキャナンの仕業だった。有罪になったパディントンは、刑務所一恐ろしい囚人ナックルズと、まさかの友情を結ぶ。
果たして、パディントンはブラウン家の人々の助けを借りて、無実を証明することが出来るのか? 
絵本の謎解きの先に待ち受けるブキャナンとの対決の行方は──?

(公式サイトより)

 

紹介文に言うところの「落ち目の俳優ブキャナン」が、ヒュー様演じる今回の悪役というわけです。

 

「同じ構成をなぞる楽しみ」も続編の醍醐味

私の知る限り、1話完結型の続編って何故か前作と相似形の構成になっていることが多いんですよね。

続編が企画されるほどの作品だから、1作目は当然興行的成功作。

そういう意味では成功事例の模倣?(いわゆる2匹目のどぜう的な)

でも、それだけでもない気が。。。前作の構成をAとすると続編はA’あたりに落とし込む作り方、結構好きなんです。

ストーリーを追いながらパラレルで前作を反芻できるし、同じ形をなぞるってこと自体に不思議とカタルシスがあったり・・・人間って反復や規則性に安心感をおぼえるものなのかもしれません。

 

この作品もまさにそのパターン。

ペルーからロンドンにやってきて、カルチャーショクを味わいながらも周囲に溶け込んでいくパディントンを、彼を剥製にしようと狙う自然史博物館の剥製部長(ニコール・キッドマン)とのバトルに絡めて描いた前作。

今作では、ロンドンで人間と暮らすカルチャーショックを刑務所生活のカルチャーショックに置き換え、悪役がニコール・キッドマンからヒュー・グラントに。

前作同様、「移民社会」というイギリスの一面を感じ取りつつ、子グマを助けて悪役と戦うブラウン一家の奮闘を楽しめます。

 

リアルなロンドンを舞台にしながら、二足歩行のクマが街の人気者!なファンタジー世界でもある本作には、ドールハウスみたいな可愛いブラウン家や、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい骨董品店、夢の移動遊園地など、世界観にどっぷり浸れる楽しい場所がたくさん!

ファンタジーと現実が地続きな世界、観ているうちに大人も自然と童心にかえってしまいますよね。

 

今作はクライマックスの怒涛の伏線回収もワザあり!でした。

 

(ブラウン家の人々も天然系でほのぼの。)

 

背伸びしてドアノブを回すしぐさって絶対値で可愛い!

(ペルーからかぶってきた赤い帽子がかわいい!)

 

クマが人間と暮らす話ということでは『テッド』も同じですが、テディベアのテッドと違って、パディントンはリアルな子熊。声もベン・ウィショーで、柔らかいけど大人の男性の声。

可愛らしさを押し付けないのがいいところです。

ただ、子供らしいしぐさはやっぱり鉄板の可愛さ!

背伸びしてドアノブに手が届く身長(二足歩行時)ってあたりは確信犯ですよね。

ちっちゃい子が背伸びしてドアを開けるしぐさ、あれにまさる可愛さはないですからねえ。

 

見た目の可愛さと中身のオヤジキャラのギャップが楽しいテッドに対して、天然系のパディントン。

児童文学原作ということで大人向きのひねりはありませんが、ペルーの大自然の中で育ての親に愛されて育った素朴さ・天然の感性が持ち味。

育ての母=ルーシーおばさんのマーマレードが大好きで、心のどこかに里心を抱えているあたりもキュンキュンしちゃいます。

 

なんと当初から「ヒュー・グラント」のイメージで書かれたという「キャリアの終わったナルシスト」の俳優ブキャナン

 

(本編ではスパンコール付きのキラキラ衣裳も!着ぐるみも!女装も!振り切りすぎて、もう二枚目には戻れないのでは・・・と心配に)

 

でも、今回はなんといってもヒュー・グラントを抜きにしては語れない!

これ、或る意味完全に「ヒュー・グラントのための映画」になってますから。

というのは、落ち目俳優ブキャナン役は、なんとアイデア段階からヒュー・グラントのイメージで練り上げられたキャラなんだそうで。

ヒュー・グラントは、彼をイメージして書かれた「キャリアの終わったナルシスト俳優役」と聞いた上でオファーを快諾したそうです。

 

甘いマスクで世界中の女性をウットリさせた「ロマコメの帝王」ヒュー・グラントがまさかここまで自虐ネタをやるとは・・・ヒュー・グラント自身は決して落ち目俳優というカテにはあてはまりませんが、とは言え、得意のロマコメは今や流行遅れに、年齢的にも曲がり角を迎えているのはたしか。

「ナルシスト」というイメージはバッチリあるし、ブキャナンのちょっと空気読めない発言なんかいかにもヒュー・グラントっぽい!

それが演じてきた役柄によるイメージなのか本人の素なのかきわめて分かりにくいところもヒュー・グラントらしいところ。

かつてロマコメという路線が彼のリアル女性好きで困ったお方な一面をうまく役に取り込んでいたように、ブキャナンという役柄もヒュー・グラントのエッセンスを濃厚に抽出したキャラなのかも・・・という気がしてきます。

 

そんな、いじられ感満載の役を、二枚目俳優のプライドをかなぐり捨てて演じてくれたヒュー・グラント。

これはもう「ヒューさまアッパレ!」と拍手をおくるべきでしょう。

ただ、頭ではそう思っても、ヒュー・グラントにたくさんのロマンチックな夢をもらった人間としてはちょっとフクザツな心境。

 

(ヒューさまと言えば『モーリス』

 

もう二枚目路線は返上?

この作品、さりげなく役者ヒュー・グラントの今後の路線を決定づけてしまったんじゃないか?という気がしてなりません。

これが契機になって、本格イロモノ路線に転向したりして。

それはない? いやいや、この作品を観たらそう思いますって。

 

ポスト・パディントンのヒュー・グラントに一体どんな役柄が舞い込むことになるのか、気になります。