ワインの聖人の日、思い出、想い | 夫はフランス人、膵臓癌になりました (ワイン畑の中の3人家族)

夫はフランス人、膵臓癌になりました (ワイン畑の中の3人家族)

フランスで出会い、嫁ぎ、娘が生まれて7か月、夫が膵臓癌になり、2020年4月に旅立ちました。闘病の記録として始めましたが、その後の日々の生活や想いも綴っていこうと思います。

今日はワインの聖人、Saint Vincent(サンヴァンサン)の祭りの日でした。

 

フランスでは各ワインの生産地でそれぞれ祭りが行われます。

この村では盛大に行われます。人口700人の村なのに、総勢1800人くらいの人が集まります。それもこの村のワイン生産者の招待者のみ!

私は昨年、妊娠中でしたが初めて参加しました。

唯一のアジア人でしたね。

 

大きなテントが張られて名シェフが特設キッチンを構えて前菜からデザートまでフルコース(全員分、ちゃんとした食器で!)、それと共にこの村の選ばれたワインたちが順番に出てきます。最後は飲み放題状態。

私は当然、飲酒できませんでしたが。

昼の1時くらいからおつまみが出て、2時くらいから前菜が始まって夜8時くらいにデザートが出てきたのを覚えてます。

この間に舞台で様々なダンスや歌やマジックやけっこう気合の入った色んな出し物が繰り広げられます。

更に、食後は毎年代わる代わるで、この村のDomain(ワイナリー)5か所が解放されて見学と試飲に総勢少なくとも半分の1000人以上は夜にも拘らず巡ります。臨時の巡回バスもあります。夜ですよ!

更に更には、テントのテーブルは片づけられてブッフェが夜食用に用意されて、ディスコ(クラブってかんじでもないので)状態。音楽は㎞離れてる我が家迄聞こえます。

昼からずーーーっとしゃべって食べて飲んで歌って踊って元気だ、この国民はとてつもないエネルギーを持ってる

と、圧倒されたのを覚えてます。

私は夜の11時半には帰宅しましたが、どうやら朝の4時まで続いてたようですね。ディスコと蔵見学。

ちなみに今深夜0時近くですが音楽がんがん聞こえます...

 

夫は長年毎年参加しているお祭りでした。

決して言わないし態度には出さないけど、残念だろうし、悲しいのが解ります。

私はこのお祭りのある週末に入院が延長になって良かったと思ってます。

家に居たら音楽が聞こえるし、翌日も遠方から来た彼の知り合いが沢山訪ねてくるのはきっと心身ともに疲れるんじゃないかな、と。

 

過保護でしょうか?

 

それともこれは勝手な私の憶測で、夫は何とも思ってなくて私の方が取り残され感があるのでしょうか?

祭り自体には私には特別な思入れはありません。

夫が大好きなワインとコミュニティのお祭りに行けない事で夫の病気を改めて実感して切なくて悲しいんですね。

 

今日は病院ではほとんどお祭りの話はしませんでした。

友人と親戚がお見舞いに来て和やかに話が出来ていました。

 

でも、私と夫の会話がこじれて小さな喧嘩をしました。

私もストレスが溜まってるのかもしれません。

 

クリスマスツリーをまだ片付けてなくて、M3人で写真を撮りたい、そう言った時でした。

 

夫「僕は思うように動けないんだよ!僕だって普通にしたい!なんだって家族のためにしたい!でも、できないんだ!」

 

頑な夫が、我慢強い夫が、泣きました。

 

私「今直ぐってことじゃないから。クリスマスツリー、まだあるから。撮れる時に撮ろ。片づけた方がいいかどうか、意見聞きたかっただけだから。」

 

小さい言い争いでしたが、小さい反省と共に、私も夫も見えないように無理してる事に気づきました。

 

でも、無駄な無理ではない気がします。

そうするしか、ないのではないでしょうか?

 

その後、

夫「あと2、3か月で(抗がん剤治療)終わる、そしたら元に戻るはず。」

 

と言いました。

 

私「うん、ずっと一緒にいるから。」

 

今日は3分も歩くのが難しかった夫。

これから抗がん剤治療の副作用も続くでしょう。

夫は本当に23か月で終わると考えてるのか、私の為に言っただけなのか?

 

夫には前向きでいてほしい。

不安はあるに違いないけど。

 

でも、3か月後、6か月後、どう治療が効いて、どう思うのか?

 

良くなる可能性も0じゃない。それを信じたい。

でも、5年生存率10%満たない膵臓癌

続く副作用

苦しみとか余命とか

でも、今考えても仕方ない

 

だからやっぱりこの堂々巡りに蓋をする。

(色々調べるのをやめるわけではありませんが。)

 

去年のお祭りの思い出、私の初めての参加で嬉しそうな夫を思い出す。

 

2019年のワイン、夫も造りました。

どうか、夫が大好きなワインの畑に1日だけでもまた立てますように

 

…YMCAと歓声が聞こえる、眠れない。

飲んでやろうか、と思うも

すやすや寝てる生後8か月のMを見るとそういう気も失せる。

 

この子、私を守ってる。

ありがとう。

 

※追記、保湿クリームで顔や体のマッサージをしたら喜んで満足してました。