私は保険会社に連絡。おやじはそれを聞きながら昼食を済ませた後、
「ちょっと海、みてくるわ」といって出かけた。
おやじもやっぱりショックなはず。1人の時間が欲しいんだろう。
私は、夜の食材を買いに行った。
数日前に買った本。
まだ、がんと決まってなかったけど、食べやすいレシピが載ってたらなと思って購入していた。
これが意外と、食道がんの知識や、手術前、後の食材、レシピ、過ごし方など書いてあって、食道がんの治療をした後のビジョンが見えるようにわかりやすく書いていて、心が少し軽くなる気がした。
これに載っている情報や、ネット検索して、山芋や、ブロッコリーなどを買いに行った。
昼が遅かったので、おやじが夜はまだいいというので、なんとなく話した。
「俺死ぬな、もうダメや」「今まで好きにやってきたし、人生に悔いはない」「家のローンはチャラになるし、俺の生命保険と退職金でお前ら当面なんとかなるわ、俺がダラダラ生きとったほうが金かかるからポックリ死んだほうがいい」「けど自殺はせんぞ、保険が降りん」
ネガティブ発言の連発。
私は何とか楽観のほうに持っていくように話をするんだけど、今日は、がん宣告されたんだから、無理もない。
「おかーさんより先に死んだら,ダメやろ!」
「2人もがんで自分より先に死んだら絶対悲しむよ!」
お義母さんは、昨年肺がんでお義父さんを亡くしています。
「俺が死んでもおふくろとかねーちゃんには知らせるなよ」
九州に、お義母さんと、姉がいます。
「いや、今は心配かけるから言わない方がいいだろうけど、そんなんないけど、もし、万が一余命とかになったら、ねーちゃんには絶対知らせる!お義父さんのときに後悔したし!」
普段、いま私達が住んでいるところから、ふるさとの九州には頻繁には帰れない。
だけどお義父さんが余命宣告されても、「弱った親父を見たくない」と言って、亡くなるまでおやじは一度も帰らなかった。
亡くなった後、帰省して、棺に眠るお義父さんを見たら、やっぱりおやじは生きてる時に顔を見せとくべきだったと思った。亡くなってしまったら遅い。私だったら弱っていても会いたかった。
そういう話しをしていたら、おやじが涙をふいていた。
…つられそうになったけど、がまんした。
「まっ、治るからいいけどね!怖いのは再発や!私はもう治った先を見てるよ!ダバコやめな!」
そういう感じで、既に22時を過ぎたので、遅い夕食にした。
昼が遅く、あまり食べれないだろうと思い、山芋のすりおろしとろろごはん、鶏肉、なめこ、ブロッコリーを細かくしたのを入れた鶏がらスープ。イチジクの中身をスプーンだして、ヨーグルトをかけたもの。
おやじはやっぱりまだ腹減ってないと言いつつ、完食した。今日は食道の通りがいいらしい。
眠ったけど、2時30分くらいに目が覚めた。
もう眠れないから,これを書いている。
1階のおやじの部屋からも音がするからあまり眠れないんだろう。