20日から21時まではコースのみ。

そのことばかり考えている。

昨晩もいらしてくれた「神楽桟」のお方達。
一応、鮨屋さんなのですが完全紹介制でやっているものですから、御予約なさったお客様やお連れ様のリクエストに合わせて、すき焼きをやったり献立を変えられるそうです。生魚を食べられない外国人の方だったりもいらっしゃるそうなので。

流石、和食の名店の元料理長ですわー。

こんなに素敵なお土産まで下さって。

閉店後頂きました。

うう。凄く旨い。
大将の小肌は最高です。すみません。握りたてじゃないのに、どこの小肌よりも大好きです。
そしてサイズ的に鰯だと思って口に入れたら鯵だった。嗚呼。鯵最高。鯵の独特の香り、好きです。
これで「あれは鰯ですよ。」って言われたら一生ソムリエは目指しません。
前日に「すしざんまい」で赤身を三貫召し上がっていた森さん、唸っておりました。
「これがマグロかっ…」
凄いなぁ。
握って、何時間も経っているのに、堪らなく美味しい。
寿司、最強。

あ、

そうです。
そうです。
コースですよ。

コースをやるにあたって根本的にあるべき事は「自分達の都合」でやってはいけない、ってことですかね。
いや、もちろん自分達の都合でやるんですけど、それが根っこにも表面化にもあると良くないなと思うのです。

フレンチへ行って、メインのお肉が選べる時が有ります。豚、牛、仔羊、馬、鹿、鴨、鶏など。
大抵、僕は鶏以外なら何でも嬉しいなと思ってしまいます。むしろシェフ決めてくださいって思います。シェフが焼きたいのものが一番美味しそう。つまりシェフが焼きたいなら鶏でも嬉しいです。

でも選ぶ楽しみって有りますよね。
コースだの、アラカルトだの。
そんな会話をスタッフとずっとしていると特に女性は選びたい生き物なんだなぁと感じさせられます。
選ぶ楽しみ。
ポジティブに言えば悩む楽しみ。
損をしたくない、失敗したくない、そんなネガティブな感情もあるのが、選ぶということです。
好き嫌い、というか食べられない食材も女性の方が多いように感じます。

コースのみにすると、そんな選択の自由を奪ってしまう事になります。
例え、コースのみにする事によってクオリティが上がるとしても、お客様が不自由な気持ちになるのでは全体的に見て満足度が高くなるとは言えません。つまりクオリティ上がってません。

でも焼鳥って専門料理ですからね。

「メインのお肉は『ねぎま』と『つくね』どちらに致しますか?」
なんて会話無いですから。
どっちも食べたい人ばかりがいらっしゃいますよ。
もちろん、1本が300gとかあったら話は別ですが。

ヒレ肉(笹身)でコースがスタートしてる時点でもう、焼鳥は焼鳥という世界の中にあると思います。

それでもフレンチ、イタリアンなどと違って焼鳥屋故に残されたお客様の選択する喜びは。

お酒ですかね。お飲み物ですかね。

多分、コースにしたらワインを飲む方はさらに割合的には増えると思います。
それでもビール、ハイボール、レモンサワー、本格焼酎、日本酒、梅酒…お好きなものを選んで頂けたら幸いです。

どうしてもワイン好きの僕が焼鳥を焼いていて、フレンチやってた森さんが料理するとワイン寄りのものが出来上がりがちですが、そうならないように、行き過ぎないようにする事を意識します。

月単位で献立を大きく変えると思いますが、その日の予約してくれたお客様に合わせてちょこっと内容を弄るようにするつもりです。
あそこ4名だから、4本しかない希少部位を当て込んでみるか、とか。
前回、皮を気に入ってくれてたな、とか。
あの人いつも日本酒飲まれるから、こういうの用意しておくか、とか。

なるべくお客様へ寄り添うようにしたいのです。

僕は「こだわり」を押し付けられるの好きでは無いので、自分もそういう風にはしたくないです。
「こだわり」が強い人間のように思われがちですが。
別に僕と森さんのこだわりの焼鳥と料理を召し上がって下さい!ってわけじゃないのです。

ネガティブに言えば、自分達のキャパシティの低さに毎日のように打ちひしがれているのです。
あれをやった事によって、これが出来なかった。そんな事ばかりです。
このお客様の要望を聞けば、他のお客様達をだいぶ待たせてしまう…とか。
それをクリアする事が出来なかったのです。
だって2人で調理してんですから。
しかしそれも自分達の都合でしかない。

自分達に出来ること、自分達にしか出来ないこと。
あるお客様はコースのみの変更に対して「燃WESTにとって有効的な資産の活用だと思うよ」と仰って20日以降に予約をして下さいました。
コメントやメッセージくれる人は肯定的な事ばかりなので勇気を頂けます。
本当に感謝。頑張らなきゃ。

僕のエゴというか、望みは媛っこ地鶏の焼鳥を召し上がって頂いて、〆に媛っこ地鶏のスープを使った何かでコースを終えて貰いたい。その一貫性さえあれば、それさえ受け取って下さったら、後はもう、何も無いかもしれないです。
何もないわけじゃないですけど。

現状はピーク時にラーメン頼まれてもお出しする事が出来ない、沢山のお客様に召し上がって頂きたいのに。それでもラーメン作ると森さんの仕事がどんどん溜まっていく。お通しも出ない。嗚呼嗚呼嗚呼。前と後ろを行ったり来たりする森さん。焼き場から一歩も動けない僕。
もどかしい毎日です。

出来ないからコースのみにする。って言ったらネガティブなんで。もちろんコースだからこそ出来る事を追求します。楽しみながら。
予約してくれている人の顔を思い浮かべながら串打ちするの楽しいものですよ。

コースのみにするにあたってワインのペアリングコースとかも考えましたが、やっぱりやらないです。
15品目ぐらい出るし…
それに焼鳥って「おおおお!マリアージュ!!」ってほどグッと来るペアリングを期待できるものでも有りません。
僕は焼鳥は「飲み物を選ばないフラットな料理」と思ってますので。
それでもグラスで何杯か飲む方がいらっしゃったら、ボディ感で合わせますけど。

是非ともワインはボトルで注文して、ゆっくりと変化をお楽しみ頂きたいですね。

あ、いや。その方がオペレーションが楽だから、とかじゃないですからね。
1本飲むのに疲れたらお手伝いしますよー。

では、本店の皆さんと一緒に愛媛研修行ってきまーす!
愛媛県八幡浜の「いなほ農園」さんの媛っこ地鶏への愛を深めてきます!