焼鳥は何故、串に刺さっているのか、たまに考えてしまう。

別に僕は某焼鳥店の大将ほど肉を串から外されても怒り狂う事は無いのです。
別に外されてもね、あー、そういう人なんだなぁ。ってそれぐらいですよ。
はらわた煮えくり返ってますけど。
いや、嘘です。

泉岳寺の「瀧口」さんなんて凄いですよ。
銀杏串みたいな細い串で焼鳥してるから、「何であんな細い串なん?」って瀧口さんに合わせて関西弁で尋ねてみました。
「串から外す客が多いからねん。」
素晴らしいですよ。
素晴らしい答えです。
もうね!客のニーズに応えてる!

串が細ければ細いほど、肉を外した時の影響が少ないわけです。滲み出る肉汁の量は激減するし、形状もあまり変わらない。

逆に大塚「蒼天」さんのように太めの串を多用されるお店は絶対に外しちゃダメよ。って話です。
勿体ないから。

そういう訳で、「瀧口」さんが串から外す事を奨励してるみたいですが、それでもやっぱり串からそのまま召し上がった方が瀧口さんの焼鳥も美味しいですよ。

なんかね。
串から外して、箸で食べる方が上品に感じるんでしょうね。
ヴィジュアルの問題ですよね。
ヴィジュアルも大切です。
「西麻布のオシャレ(?)な焼鳥食べてるアタシはこうじゃなきゃ」と思ったら、串を外した方がベターに感じるのかもしれません。

僕自身も、「焼くため」に串に刺さっているのか、「食べるため」に串に刺さっているのか分からなくなる時があります。


例えば銀杏とか。
この四粒を串へ刺さずに均等の火を入れるのって超困難ですよ。網の上で四粒をコロコロ転がしながら焼いたら超難しい。
串に刺さってるから出来るの。
そんでいて、串に刺さっているから4粒だけでもヴィジュアルが成り立つの。
お皿の上に銀杏が四粒乗ってるだけだと寂しいでしょ?

「日本橋蛎殻町すぎた」さんみたいにここまでやらないとヴィジュアル的に無理っす。

焼くために串に刺さっているのかなー。

でもね。
例えば「せせり」ですけど。
鶏の首のお肉ね。

細いんですよ。

写真の左側が「せせり」の切れ端ね。
それを右のようにこんもりさせてんの。串打ちして。
これを「せせり」の元の厚みで串打ちする事も出来るんだけど、食感が寂しいんですよ。
「せせり」のニクニククニクニ感、かつジューシィさを味わうには厚みが必要なのです。でも、これは若鶏だから敢えてそうしてます。
軍鶏とか筋肉質な地鶏は薄い方が食感がうるさくなくて宜しいかと思います。

だからね、串打ちって肉質に対しての食感や味わいのデザインなんですよ。

それを串から外したら台無しにしてしまう。

そういうものも有るのです。

あんまり関係ないものも有るのです。
だから何でもかんでも串から外さない方が良いとは僕は言いません。
ソースや薬味をたっぷり添えるものはいっそ外した方が美味しく召し上がれます。

ウチで言うと笹身、砂肝、ねぎま、ぼんじり、レバーとかは串から外してもあまり影響はないかもしれませんね。(外さない方が美味しいけれどね。)

だから「あっ、この人、外す人なんだ。」って思った瞬間。そういうあまり影響の少ない串を焼くようにしてます。

基本的にお好きなように召し上がって下さいと思っています。
だから串から外す人と分かってる人には美味しいのは焼きませんね、
だって勿体ないじゃないですか。



イタリアブランドのドルチェ&ガッバーナが中国に対するプロモーション動画か何かで、「箸でピザを食べる東洋人」というのを公開して、それに対して中国の方々が自分達の文化をバカにされたとして、不買運動が先日勃発したとニュースでやっておりましたね。

そのニュース見て不思議でした。
焼鳥を箸で食べるのを上品だと思ってる日本人がいるのに、ピザを箸で食べたらバカにされたと中国の方々は思うのだなと。

文化とは不思議なものです。

日本にインド料理屋さん増えました。
でも一度も「カレーは手で食べなさい!」と店側に言われたことが無いです。
当たり前のようで、不思議なこと。

1つ言えることは、串に刺さったものは串のまま食べるべき、それが本来の姿です。
アメリカンドッグを串から外して箸で食べたことありますか?

串を手にしてるのに、箸に持ち替える必要ある?

手で握ったものは、そのまま手で口に運ぶのが一番美味しいものです。
オニギリや鮨とかね。

欧米文化の挟む系のものも手で食べた方が美味しい。
サンドイッチ、パニーニ、ホットドッグ、ハンバーガー。

具沢山のハンバーガーをナイフフォークで食べる店が出てきた辺りで本来の意味を履き違えているんじゃないか?と思ってしまう。
でもそうやって食べた方が美味しいハンバーガーなら致し方が無い。

でもね。もう一度言います。

肉まん、箸で食べて美味しい?上品だと思う?
ピンチョス、わざわざ串から外して食べる?


僕はですね、テーブルセッティングに対しても考えてしまうのです。
ドリンクを置くコースター。
だいたい右手側にセットされます。

僕、左側の方が良いんです。
食事する時は右手で串か、箸か、フォークを持ってそのまま口に運びます。
そんで左手にある酒で流し込みます。
ひと口食べたら、ひと口酒を飲む。
餅つきみたいな感じ。
だからドリンクは左手にあると有難い。
そんな飲み方だから酔うのかな。

さて。
年末感が半端ないですね。

今は自宅の湯船の中ですが、30分後には店に居ることでしょう。

僕が言いたい事は、焼鳥を串から外すなかれって事では有りません。
ナイフフォークのお店以外ならば
常に左手はグラスを握っていなさいって事です。
右手だけで食事は出来ます。
ひと口食べたら、ひと口酒を流し込む。
そして「マリアージュとは?」を毎回考える。
それを100回繰り返す事が正しい食事です。

はい。
ちょっと疲れてます。
木曜日なのに、焼鳥沢山出ちゃった。

決戦は金曜日なのに。
今日の予約は既に大きな団体も居ないのに41名!万歳!早い時間と遅い時間でしたら少し入れますよ。
深夜の予約はゼロですけどね。
深夜もいらしてくれると信じて、80人前ぐらい仕込んでおきます。
すると600本ぐらい必要だな。
「ねぎま」は80本ぐらいかな。
鶏の解体から、トータルで考えると「ねぎま」一本に3分くらい掛けてるんですよねー。
掛け算したくないわー。

では長々とすみません。
24時間戦ってきます。

今日は長丁場なんでビールくれるなら濃いマスターズドリームじゃなくて、さわやかなハートランドください。