どうも日本で唯一の焼鳥評論家のヌマノウです。
焼鳥の事なら何でも訊いて下さい。

鳥貴族のプレミアムモルツは何か薄い感じがするので夏場はオススメです。

焼鳥屋のメニューで1番不思議なもの。

そう。ウズラの卵です。

日本人は卵が大好きな民族です。

でも勝手に焼鳥のコースの中にウズラの卵を入れる店はやり過ぎじゃ無いかなーって思う。

高級店なほど思う。
だって当たり前だけどウズラの卵は地鶏と全く関係無いもの。
鶏ですら無いんですから。

かと言って鶏の卵を串に刺して焼かれても困りますけど。

その点で今の銀座のお店はコースの中にウズラの卵が入ってない。
とても好感が持てる。

しかしメニューに無いわけでは無い。
「黒玉」という名でウズラの卵のタレ漬けがある。
前の六本木の店はウズラの卵のタレ焼きを「白玉」って名前で売っていたのを思い出す。

兎にも角にもウズラの卵を上品に見せようと皆さん必死である。
もっと良い名前無いのかな。

僕としては可愛らしく「うずらん」で良いと思うんだけど。卵と掛けて「うず卵」ね。でもそれじゃ高い金は取れないなー。
じゃあダメだ。ボツ。

昨日、初めて今の銀座のお店でウズラの卵の仕込みをしたんですよ。
まぁ。
半熟に茹でれば良いんでしょ。
任せて下さいよ。

鍋にお湯を沸かして酢を少し加えて、冷蔵庫で冷やされたウズラの卵を投入しようとしたら、

「ダメだよ。水から茹でなきゃ。」
と料理長に注意された。

え?

えぇ?

ウソでしょ?

今の時代で。
銀座のお店で。
こんなにお客さんが来てるお店で。

僕は必死で水から茹でる利点を考えた。
料理長が言うことにはきっと意味が有るんだと。

いや。

やっぱり無いな。

水から茹でてももちろん半熟には仕上がる。
でもブレがあるのだ。
まずウズラの卵自体の温度。
初めの水温。
鍋に張った水の量。
火力。

僕も昔は水から茹でていた。
ゆで卵は水から茹でろと教わったように。
そして卵黄が中心へ寄るようにかき混ぜながら茹でろと。
今の僕はあまりかき混ぜない。
ウズラの卵に関しては全くかき混ぜない。
なるべく多く張った湯の中に芯まで冷えたウズラの卵を投入する。
お湯の量が多いほどウズラの卵の影響を受けずにまたすぐに沸騰してくれる。
沸騰したら勝手に卵は揺れるのでかき混ぜたりはしない。
むしろかき混ぜるから外側の白身が揺れて固まらないのだ。
外側がしっかり固まってくれないと綺麗に殻が剥けない。

先日、店の先輩が水からウズラの卵を茹ででいるのを横目で見て。
何だろう。
この人はウズラの卵の茹で方も知らないのか?
いや。
水から茹でても綺麗に仕上げられる人なのか?

いろいろ考えながら見ていたが。
ダメダメだった。
茹でて冷水に突っ込んだ卵を一つ剥いては「ダメだ。」と言って、またその卵達を水から茹でて冷水に突っ込み。
また「ダメだ。」と言って茹でだす。
3回繰り返していた。

熱湯と水風呂を繰り返してだいぶ新陳代謝が良くなったはずの卵達は皮膚がボロボロになっていた。
茹でながら湯を箸でかき混ぜるからだ。
かき混ぜればかき混ぜるほど卵の中の温度は一定になろうとしてしまう。
卵黄が半熟状態の温度であげた時に白身も半熟になってしまう。
それでは綺麗に剥けない。

でも先輩だ。

もしかしてわざとボロボロに仕上がるようにしてるのかな。
その方がタレが乗りやすいし。
人の行動には何かしらの意味があるはずだ。
きっと。
きっとそうだ。

いややっぱり意味なんか無いだろう。
料理長に言われたからこの人はそうやってるだけだ。

困った。本当に困った。
こんなに学ぶことの無い店は初めてだ。

「耐え忍ぶ」

その事だけを学ぶしかない。

なんて嫌な後輩なんだろう。

みんな良い人達なのに。

そして僕は料理長の目を盗んでお湯からウズラの卵を茹でるのであった。

なるべく多く張った湯にウズラの卵を投入して150秒。火を止めて100秒。それで氷水へGOだ。簡単だ。3回も繰り返さなくていい。

10月末までこれを隠れながらやらなきゃいけないのか。とても憂鬱である。

ちなみに10月で辞める旨は伝えてあるので僕はずっとアルバイト契約である。
アルバイトが勝手な事をしていいのか、それとも「こっちの方が良いんですよ!」と料理長へ言って秩序を乱すべきか、大人しくボロボロの卵を作るか。悩ましいところである。

本当は悩んでない。僕は美味しいものを届けられれば会社の都合などどうでも良い。

ちなみに僕が将来的に使いたいウズラの卵「エル・フランス」が下の写真の右のやつ。

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大きいでしょう。通常のウズラの卵が左ね。
「エル・フランス」はフランス原種のウズラを日本へ持ち込んで卵を産ませたもの。
「エールフランス」みたいな高貴な感じですよ。
実際に一粒20円するので鶏卵と値段変わらないです。
でも黄身がとてもクリーミィ。
半熟で提供するならこいつだなーと。
別にフランス贔屓なわけではありませんが、やっぱりフランスの力はすごいです。

さて水曜日にお休みを貰ってしまい。
何処へ行こうか悩ましいところである。
このまま家で「水曜日のネコ」でも飲もうかなという次第である。

その前にいいかげん区役所行って住所変更せねばです。

このまま放置して住所不定無職も面白いんですけど。