hideの生誕60周年を記念して発売されたボックスセット。

 

「ラベルとなっているシールを切る」という開封の儀を経て、ボックスを開けていくと、

1st"HIDE YOUR FACE"、2nd"PSYENCE"の最新リマスター、

そして3rdアルバム"Ja,Zoo"をhide with Spread Beaver"名義にして、

(1998年当時はI.N.A.にチェックする余裕がなかったそうですが)

完成した『子 ギャル』を追加し、一部楽曲を最新バージョンにして収録した"REPSYCLE"バージョンとなっています。

さらに、2023年7月に東京・豊洲PITで行われたhide with Spread Beaverのライヴを収録したBlu-Rayディスクに特典ブックレットという構成になっています。

 

 

リマスターに関しては、近年はスピーカーよりヘッドフォンで聴く人が増えているという環境の変化もありますが、今の時代の音楽に合わせた低音の出たマスタリングになっていると感じました。

 
"Ja, Zoo"の収録曲に関しては今回の"REPSYCLE"で完成(『子 ギャル』を追加し、構想に近い曲順に戻しています)ということは間違いないでしょう。
というのも、本作の収録曲として予定されていた曲で収録されていない曲は"ZONBIE'S ROCK"のみだからです。
 
特典ブックレットにも書かれていますが、"ZONBIE'S ROCK"は仮タイトル以外の構想
(あえて言うなら勢いのある曲ということくらい)が存在しないままhideが逝去したため、
こればかりはどれだけ技術が進歩しようとも再現することが不可能な代物です。
 
2024.5.18追記
↓のポストもまともにライナーノートを読んでいないのが丸わかりですね。
大変失礼いたしました。上記の通り訂正いたします。
https://x.com/metal_info4779/status/1786021470986252515 https://x.com/metal_info4779/status/1786021470986252515

 

 

 
それでも"REPSYCLE"バージョンとして'98年にできなかったことができるようになった部分があります。
一番わかりやすいのがhideの歌が収録された"PINK CLOUD ASSEMBLYY"と、その技術の元になった『子 ギャル』が追加されたことです。(技術については以下の記事を参照のこと)

"PINK CLOUD~"も『子 ギャル』と同じ手法でhideの歌唱を見事再現しています。

(’98年当時CHIROLYNが「日本海のイメージ」とコメントした印象は欠片も感じられません)

 

 

"HURRY GO ROUND"に関しては、2018年の映画『HURRY GO ROUND』制作中に見つかった別のヴォーカル・テイクのデータを使って(粗削りな歌を修正する技術が当時はなかったためだそうです)います。あえて既発音源から差し替えただけに、こちらの方がいい歌を歌っていると感じました。

 

"PINK SPIDER"についてはヴォーカルを歪ませるという案がhideから出たそうですが、

「ミリオン・セラーのシングルを改変しちゃダメだ」とレーベル側に反対され実現しなかったとのこと。

これはhideが生きていれば押し通した気がしますし、技術的な問題でできなかったことではありませんが「やれることはやる」という意向で今回実現に至りました。

 

そして、REPSYCLE versionの総トラック数は98。収録時間は以前と同じ58分28秒。

これにより98年5月2日を再現しています。(プレイヤーによりずれが発生することがあります)

 

ライヴ映像はhide with Spread Beaverとして全曲hideが歌う唯一のフルライヴ映像ということになります。

四半世紀もの時が経過したこともあり、hide以外のメンバーが加齢を重ねて変化していますし

当時とは使用している楽器が大きく変わったメンバーもいますが、

お助け怪人のPATAこと石塚大先生がほぼ全編にわたり出演していた(当然当時から使用機材に大きな変更はありません)ことや、

拡声器を持ったロザンナ("LEMONed I Scream"においてhideとデュエットする際に女装したCHIROLYNのこと。元ネタは「ヒデとロザンナ」)がステージに登場しているにもかかわらず定位置にCHIROLYNの姿が見えた事にも驚きました。(これは実際に映像をご覧いただきたい衝撃のシーンです)

 

今年(2024年)も恒例となった追討ライヴが行われ、ニュースでも取り上げられました。

少なくともhideが世の中から今もなお忘れられた存在ではないことが確認できる数少ない機会であると思っています。(WeROCKでは当たり前のように表紙になるので、感覚が乖離しているという危惧がありましたので)