時間線・世界線
近頃、「世界線」という言葉を見聞きするようになってきた。
古生物学の系統樹のように並行世界が次々と分岐した多元的な世界構造といったイメージだろうか。
思うに、これまでの人生で行った決断や何の気なしにした選択の結果に対して安堵や悔悟を感じたことのある人なら、この言葉の意味を実感として受け止めることができるだろう。
このような概念を英語では"timeline"と呼んでいる。和訳すれば「時間線」だ。ちなみに、「時間線」という言葉は日本語辞書には載っていないが、「タイムライン」という言葉は載っている。しかし、この言葉は、SNS等で「時系列」という意味で使われており、それと区別するために、新たに「世界線」という言葉を使うようになったのだろう。
YouTube:
WHITE SCORPION - 「その世界線を生きている」 Live Clip
この曲の歌詞の英語部分では"timeline"という言葉を使っている。
ちなみに、この曲を収録したシングルのタイトル曲「7秒のレジスタンス」では、主人公が主体的に決断することを選ぼうとする。
YouTube:
WHITE SCORPION - 「7秒のレジスタンス」 Live Clip
最初に、時間線に関連する話題をとりあげよう。
男女の時空を超えた愛を描いた幻想小説に、リチャード・マシスンの「ある日どこかで」とジャック・フィニイの「愛の手紙」がある。
リチャード・マシスン『ある日どこかで』(創元推理文庫) と、ジャック・フィニイの「愛の手紙」を収録した短編集『ゲイルズバーグの春を愛す』(ハヤカワ文庫)。
いずれの小説も現代の男性が過去の女性に魅かれ、接触を試みようとする。「ある日どこかで」では、強力な自己暗示によって自らを過去に送ることに成功する。また、「愛の手紙」では、主人公の男性が、たまたま購入したアンティークの木製机の中にあった「隠し抽斗」と女性が住んでいた邸宅の近くの古い郵便局のポストを介して文通を始める。
だが、時間線の一点からその線上を過去に遡ったとしても、その線が「過去に選択された結果」であるならば、主人公の行動自体が既に織り込まれていることになる。主人公はその決定論的な因果構造にどのように挑戦し、どのような結末を迎えたのか?
ちなみに、どちらの小説も映画化されたが、映画の常として、最後に観客がカタルシスを感じるよう一定の改変が加えられた。
YouTube:
SOMEWHERE IN TIME Film / Rhapsody on a Theme of Paganini Score performed by Roger Williams
ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲 Op. 43 - 第18変奏」が使われている。
次に、世界線に関する話題として、別件の調査の際に偶然見つかった漫画を紹介する。
『貸本漫画集(10)怪談かえり船 他 (水木しげる漫画大全集010)』
水木しげる「地獄流し」冒頭。上掲書pp.406-407。
抜け忍の男とその妻子が捕まって「地獄流し」という刑に処せられる。奇跡的な偶然によって男だけが生き残るが、妻子を亡くし生きる気力を失った男は、やがて夢の中で、自分だけが死んだ並行世界で生きる妻子と会うようになる。逢瀬を重ねるうちに夢の中で起きたことが徐々に現実化するようになり、ついに向こうの並行世界に転移することに成功する、というストーリー。
これの元ネタがあったら知りたい。ずっと探しているんだよね。
さて、今回の風景写真は太平高原の風景。






