Macrowavecat現像室 -1063ページ目

科博の怪人

最近読んで面白かった本の紹介。

伊予原新 『博物館のファントム 箕作博士のミステリ標本室』 (集英社, 2014)。


言うまでもなく、今回の記事のタイトルはこの書名のもじりだ。

主な舞台は「国立自然史博物館」。主役の「ファントム」こと箕作類と狂言回し的なヒロイン池之端環は、ともに博物館の研究者だ。その他にも個性的な研究者が出てくるところは、大英自然史博物館の舞台裏を描いたリチャード・フォーティの『乾燥標本収蔵1号室』辺りの影響か。書名から予想されるように、博物館を舞台にした短編ミステリの連作集なのだが、博物学的なテーマがネタになっているところが面白い。

冒頭で、玄関ホールに設置されたフタバスズキリュウの骨格レプリカについて語られていることから、舞台のモデルになっているのが科博(国立科学博物館)であることは明白だ。(中央ホールに巨大なディプロドクスの全身骨格レプリカが立っている大英自然史博物館のイメージも加味されているだろう。)

ということで、各短編のイメージに合った(ただしネタバレしない)写真を載せてみる。




標本No.1 「呪いのルビーと鉱物少年」

ネタは宮沢賢治の鉱物コレクション!

ということで写真は櫻井コレクションの標本から。










標本No.2 「ベラドンナの沈黙」

小説では、研究棟の中庭に「ベラドンナ」こと宮前葉子の植物園があることになっている。

果たして、日本館と地球館の間の中庭にバラ園があった。



ハーブ園は地球館の屋上にあった。



標本No.3 「送りオオカミと剥製師」

ニホンオオカミの骨格。剥製は見つからなかった。



標本No.4 「マラケシュから来た化石売り」






モロッコの化石採掘とフェイク製造の裏側が語られていて興味深かった。


標本No.5 「死神に愛された甲虫」

何故、甲虫ではなくて蝶の写真か? 読んでのお楽しみだ。



標本No.6 「異人類たちの子守歌」

北京原人。





何となく映画のクライマックスを意識したような内容になっている。


ちなみに、科博では4月19日~6月15日の期間、企画展「石の世界と宮沢賢治」を開催するそうだ。
この本を意識しているかも。いっそのこと、科博協力で映画化されたら面白いのだが。