公益通報者保護法 保護なんて出来ない | ひらめさんのブログ

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公益通報・内部告発を社会に生かす 報復から守る保護制度を考える - NHK クローズアップ現代 全記録

ちょっと個人的なイベントがあって更新が遅れた。持病の鬱を回避するために脳のメモリの使用を自重していたからである。という訳で、遅くなったが先週放送された番組がネタである。

 

いわゆる内部告発の問題である。事業所で不正があった時、外部である公共においての公益性があるとして、その告発者の立場を保護すべきだとするのが公益通報者保護法である。

 

だが、論理的に言って”保護なんて出来ない”ということが説明されないままでは本質が見えない欠陥番組ではないか。この法律自体が無いものねだりの机上の空論だということをまず認識すべきだと思うのである。

 

内部告発とは一労働者が不正の責任を持つ経営者を訴えることなのだ。それは絶対的な敵対関係になるということである。絶対的とは、多様な考え方を認め合うということではなく、画一的な法によって正否を決めることを指している。

 

この法律は”否”とされた経営者が改心して、告発者に「よく告発してくれた。これで我が社も良くなっていくだろう」と言うとでも思っているのだろうか? 不正はもちろん良くはないが”しかたなく”やっている側面もあるのではないだろうか。番組での告発例に次のようなものがあった。

 

ある病院のリハビリ科では達成の難しいノルマが課されていた。その為に職員がサービス残業をしたり、施術時間の水増し申告をして不正な診療報酬を得ていたというのである。法的に言えば問題はある。だが、その告発を受けての管理職側の言い分(告発者が録音していた)はこうである。

 

「(あなたが告発した)今の状況が、リハビリ科全員を下手したらみんな失職になるおそれすらある。もしくは病院が転覆する、そういうリスクを今のやり方で招くということは認識してください」

 

これは経営者側(管理職)の人格をどのように認識しているかによって180度違った評価になるのではないだろうか? 私はもちろんこの病院の経営状況を知る訳も無いので、事実がどうかは判断出来る立場に無いが、例えばこんな解釈も出来るだろう。

 

”法的に言えば不正であることは分かっているが、現在の経営状況でこれ以上の減収となることは、個々の職員の給与にも跳ね返ってくること、解雇を伴う人員削減にもなり、最悪患者が離れてしまって経営が成り立たない可能性もある”というものだ。もちろん、何も知らない一労働者を黙らせる為の脅しだという解釈も成り立つが。

 

私腹を肥やすための不正はもちろん罰せられるべきだが、能力の乏しい経営者が経営を維持するためにする不正というのもあるということだ。上場企業なら経営陣を入れ替えればいいだろう。だが、大多数の中小企業はオーナー企業である。オーナーである社長が駄目なら倒産するしかないのだ。

 

こんなことを言うのは私にも経験があるからだ。内部告発ではないが、経営状況が危険水域にあった勤務先の社長に厳しい進言をしたことがあるのだ(当時は課長職にあった)。それに気分を害した社長は私を解雇したのである。

 

その後、不当解雇として民事裁判を争い、弁護士の勧めによって金銭解決に応じることとなった。弁護士が言うには「裁判としては解雇無効もありえたが、オーナー社長の人事権を行使すれば結局は解雇に繋がるだろう」ということであった。その一年後だっただろうか、新聞に倒産の記事を見つけることになったのは。