ご無沙汰しております。M&A会計士の澤村です。

 

なかなか興味深い本に出合いました。

 


 

東大卒で四大法律事務所出身の女性弁護士が、バックパッカーになって世界131ヵ国を放浪し、世界各国の裁判所を傍聴する話

 

既に情報量が多すぎで、突っ込みどころ満載なのですが、凄い面白いです!

 

まず、この方、バックパッカーとしてガチ勢です。バングラディッシュや、インド、アフリカといった熟練者向けの国をまわってるだけでなく、ローカルなバスにのり、バックパッカー向けの宿やテントに泊まり、ストリートフードや土着の酒を飲む(カッコイー!)

 

で、このガチのバックパッカーが、旅のついで的に飛び込みで、各国の裁判所の傍聴をして回るという、クレージージャーにで取り上げられるんじゃね?って、くらいのぶっ飛んだ旅をされてきた記録の本です。

 

最初ぶっ飛んでいる系の本かと思いましたが、読んでいくとそれだけではありません。

 

まずは、各国での裁判所制度の違いの面白さが学べます。メモを取っていいのかどうか問題とか、裁判官がウィッグをつける国なのかどうかとか。特に本の中で紹介されていたパリの司法宮は、私の人生初の海外旅行で迷い込んだところでして、裁判官がウィッグをつけていてびっくりした記憶を思い出して感慨深いものがありました。

 

他にもブラジルでは裁判官が相談している内容も含めて全裁判の映像がネットでみれるとか、ケニアやサモアなどで西洋的法体系に基づく裁判と現地の慣習に基づく裁判との関係など、法学部出身の私としては非常に面白く読めました。ちなみに、ケニアの現地の慣習での裁判の判決内容が、辺境小説家の高野さんの本で紹介されていたソマリアのやり方と同じだったりしたので、東アフリカ共通の発想なのだなとの発見も

 

 

 

 

さらに、弁護士だけあって権利とか差別とかの問題認識があって深いのです。すごくいろいろと考えさせられます。

 

海外旅行が好きな人だけでなく、法学部出身者にもおすすめな本です!

万城目さんの直木賞受賞作「八月の御所グラウンド」のシリーズとして出たのが

 

 

 

でして、

「三月の局騒ぎ」と表題の「六月のぶりぶりぎっちょう」が収録されています。

 

「八月の御所グランド」に収録されていた「一二月の都大路上下ル」と併せて、シリーズという形をとっているようですが

 

ほんのちょっとつながりが隠れているくらいで、相互に関連性はほとんどなく、別個の主人公、別個の物語となっています。

 

文体も話ごとに変わっていて、いろんな立場で実験して描いたのかなって感じるくらいです。

 

 

シリーズで秀逸なのがやはり直木賞をとった「八月の御所グラウンド」で、次に面白いのが「三月の局騒ぎ」ってところでしょうか。

 

 

表題になった作品「六月のぶりぶりぎっちょう」に関しては、どうしてもあの事件を思い出して、万城目ファンとしては、素直に楽しむことができませんでした。

 

事件というのは、映画「本能寺ホテル」を巡る万城目さんの降板話です。

 

森見さんの作品がアニメ化されるのに対して、万城目さんの作品って実写化されることが多くて

 

デビュー作「鴨川ホルモー」をはじめ、ドラマ化や映画化されて好評だったのですが、風向きがおかしくなったのが

 

「プリンセストヨトミ」の原作改変あたりでしょうか…

 

「本能寺ホテル」に関しては、万城目さんが初のオリジナル脚本として進んでいたのが、途中で降板し、映画は別の脚本家で進められるという事件です。

 

「六月のぶりぶりぎっちょう」は、本能寺跡地にできたホテルを舞台にしているので、どうしてもこの本能寺ホテル事件が頭にくすぶっちゃうんですよね。

 

しかも、映画版の脚本を書いた人が、最近某漫画のドラマ化を巡って渦中の人になってしまった人なので、そういういろいろと背景の方が気になってしまって、話に集中できないというか…

 

小説と、映画やドラマって表現手法が大きく違うのでどうしてもこうした問題は避けれないのでしょうが

 

って、もやもやしていたら

 

 

 

「推しの子」の二期観ましたか?

 

漫画原作者と演劇の演出家のトラブルをリアルに描いて、理想的な形で解決していましたね。

 

売れっ子作家と、先輩作家の口論のシーンは、爆笑ものでしたし、

 

原作者と演出家が直接打ち合わせていいシナリオになっていくシーンとかは感動ものでしたね。

 

やっぱりディスコミュニケーションが問題なんですよね。

 

 

といっても、直近に発表されたものでなくて、

 

2024年1月に発表された第170回直木賞を受賞した こちら

 

 

 
 
 

 

 

 

万城目さんがとうとう直木賞を受賞されました!

 

本当は1月に発表されたときに書こうかと思っていたのですが、もたもたしているうちに夏の発表があったので、慌てて書いてます。

 

いやー。良かったです。

 

同じ京大作家の森見さんとともに、応援していた作家さんだったので、うれしいですね。

 

 

 

 

で、鮮烈なデビューし、同作品の映画化や、

 

 

 

といった関西を舞台にした不思議な万城目ワールドを展開して、いずれもドラマ化や映画化をされると大活躍されていたのですが、一時期スランプというか、新しいスタイルの確立に悪戦苦闘されているような状態だったんですよね。

 

「とっぴんぱらりの風太郎」とか「バベル九朔」とか「ヒトコブラクダ戦争」とか、どれも面白いんですけど、”長すぎる”といった批判を受けたりされていて、ファンとしては歯がゆい思いをしていたのですが、ようやく認められたのがうれしいです。

 

で、今回受賞対象となった「八月の御所グラウンド」ですが、万城目ワールドの特徴である軽快さと不思議さを活かしながらも、いろいろと考えさせられ、沁みるいい作品です。

 

京都とあの人と結びつけるとは、すごく意外でした。

 

話の長さもちょうどいいです(笑)

 

世界観を引き継いだ続編も出ているのですが、そちらの紹介は次回!