■黒柴ひなた、黒柴あおい、赤柴そら

自己紹介3、僕らは喧嘩もするけど仲良しさ

 

■父と3兄弟の歴史

父、犬を飼う~ 犬嫌いだった男が、柴犬3匹と暮らすに至った物語

 



雪の朝は静かに明ける
すべての音を吸い込む雪
そんな朝は静寂さに驚いて目を覚ます

これはもう20年以上前のこと
雪の積もらない場所から来た僕
雪の予報などなかった朝に
その静寂さに驚いて目を覚ます妻

「雪だ」

そうつぶやいて
すばやく起き上がり
カーテンを一気に開ける
白い!
一面に降り積もった雪

「雪の朝は音がしないの」

そうつぶやき
窓から離れる

そっと窓に近づいて外を見る
静かだ
道路を走る車の音も
遠くの通りの音も
そして風の音さえ
雪に吸い込まれているようだ
これが雪の朝なのか

あれから何年たっただろうか
あの何気ない朝のつぶやき
今でも鮮明に覚えている窓からの景色
僕の記憶になかった朝を
鮮明に焼き付けた
雪と小さなつぶやき

もう雪の朝の気配は体に染み付いた
夜中の吹雪も
朝には風はやみ
一時の静寂を生む
雪にも慣れ驚くこともなくなった

でもあの朝は新鮮だった

鮮明に記憶の残るような驚きを
また体験することができるだろうか
日常に埋もれる新鮮な一瞬に
もう気づくことはできないのだろうか

突然よみがえった記憶のページを読み返してみて少しさみしくなった。



父が更新
 初めての体験が記憶に残る。年を取ればそれはどんどん少なくなっていく。残念だけど大人になるということかもしれません。