欺瞞作戦 |  へんくつマッキーの日向ぼっこ

 へんくつマッキーの日向ぼっこ

 偏屈オヤジが映画・小説・マンガ等について、
 独断と偏見に満ちた戯言を綴っていきます。
 暇つぶしになれば幸いです。

 

おはようフェルプス君。彼はウォルター・タウンゼンド、我が国の情報官だが、敵のスパイだと判明した。そこで彼にニセの情報をつかませ敵国を混乱に陥れようとしたが、タウンゼンドの連絡員ジョージ・シンプソンがニセ情報に気づきタウンゼンドが裏切ったと報告した。敵上層部は二人の確執を考慮した上で、情報の真偽を調査するために腕利き情報官ステファン・ミクロスを派遣。今回の任務はステファンにニセ情報を信じさせることだ。

 

ステファンは冷徹で残忍な男だ。

弱点もなく完璧、敵はただ一人、彼自身だ。

こういう男は難しいパズルほど乗ってくる。

パズルのカギは、絵とマッチの二つ。

一度しか見せないが、彼の記憶力は写真並み。

ステファンはシンプソンの顔を知らず、そこを利用する。

仏像の中の密書にはローランの写真を仕込む。

ただしステファンが仏像を画廊に引き取りに来るまでしか時間はない。

ローランはステファンと同じライターを用意し、準備は完了だ。

 

まずシナモンが客に扮して画廊に入る。

続いてジムがガスの検査員として画廊に入り、店主にガス漏れを知らせる。

そして漏れている個所を調べるとの口実で、奥の事務所にも入っていった。

店主に見えないように持ち込んだカプセルを開いてガスを放出。

店主もガス臭さを感じ、ジムの言うように事務所を閉鎖した。

 

タウンゼントの留守に部屋に忍び込んだローランは、電話に盗聴器を仕掛け、更に隠し金庫のナンバーの割り出しにかかった。

 

画廊では、シナモンが店主に絵の値段を確認している。

そこにガス漏れの修理工としてバーニーとウィリーが画廊に来た。

二人は事務所に籠り壁を抜く。

そしてバーニーが隣の売り場の展示台の下に潜り込んだ。

展示台には仏像が乗せられている。

バーニーは、展示台の下から床板を外して仏像の中に仕込んである通信用の筒を抜き出した。

筒を受け取ったウィリーは、中にあったシンプソンの写真をローランの写真と入れ替える。

そして道具を片付ける振りをして車に戻り、ステファンと部下のビンセントが到着したことをバーニーにトランシーバーで知らせた。

筒を戻して展示台を元に戻すバーニー。

ステファンは仏像の引き取り証を店主に見せて、展示ケースから取り出させ梱包させる。

バーニーが展示台の床を直すのと、店主が仏像を取り上げるのとほぼ同時であり、仏像への細工は間一髪、成功する。

 

シンプソン・ガラス工房を訪ねたローランは、カケスと白鳥のガラス細工を店主のシンプソンに注文する。

するとシンプソンは店を閉めて奥の事務所にローランを案内した。

カケスと白鳥の注文は、ステファンの合言葉なのだ。

ステファンに扮したローランは、きつい口調でシンプソンにタウンゼントが裏切ったという情報の真偽を尋ねた。

シンプソンは、情報は本当だがその証拠はウィロビーなる人物に預けてある、と釈明した。

すぐに呼べ、とローランは命令する。

 

一方、本物のステファンは手に入れた仏像から通信用の筒を取り出し、中の文書を確認する。

そこにはシンプソンとしてローランの写真と暗号表が入っていた。

内容を確認すると、タウンゼントに命じて車をシンプソン・ガラス工房に向けて走らせた。

 

電話で呼び出したウィロビーが到着するまでの間、ブランデーをあおりシンプソンは落ち着かない様子だ。

どうやらステファンに扮したローランを疑っているようだ。

ようやくウィロビーが来た。

シンプソンはウィロビーに、証拠を示すように要求した。

そこに掛かって来た一本の電話。

ジムが陶器の業者を名乗ってローランを呼び出し、間もなくステファンが到着することを告げる。

電話を切ったローランはシンプソンに、既に身分はバレておりこの店はアメリカのスパイに監視されている、と注意し、部下に安全な場所に連れていかせる、と告げる。

店の扉を開けると部下役のジムがいた。

ジムはシンプソンとウィロビーを連れて廊下を進み、丁度到着したステファンとすれ違った。

こうしてシンプソンの店に残ったローランは、次はシンプソンを演じることに成功する。

 

シンプソンの店に入ったステファンは、応対したローランにカケスと白鳥のガラス細工を注文する。

ステファンの身分を示す合言葉だ。

続いてタウンゼントが裏切ったという情報は本当か、と詰問するステファン。

ローランは落ち着かない様子で確実な証拠がある、と主張するがステファンは信じていない。

個人的な感情は禁物、と凄みを効かせてその場を去る。

 

次にステファンはビンセントと共にタウンゼントの部屋に来た。

タウンゼントが不在のためカギを破って入ったステファンは、流石一流のスパイ、立ちどころに隠し金庫を見つけるとビンセントに開けさせる。

出て来たのは現金と証券取引証や税金の還付証。

だが金庫の奥には更に秘密の隠し場所があり、そこにはタウンゼントの過去の写真があった。

中にはステファンとの一枚もある。

この写真がアメリカに渡ればステファンの身分もバレてしまう。

また事前にローランが仕込んだシナモンの写真もあった。

ローランが電話で仕掛けた盗聴器でステファンの動きを聞き取っていたジムは、そのタイミングでシナモンに電話を掛けさせる。

受話器を取ったステファンの声を聴いたシナモンは、すぐさま電話を切った。

そして暖炉に証券取引証の燃えカスを丁寧に置いた。

 

シナモンの写真の背景に映っていた建物を特定したステファンはタウンエントと共にその建物に行く。

そしてシナモンの部屋を見つけるとすぐさま侵入してしまう。

暖炉には証券取引証の燃えカス、壁には画廊から買った絵、コンパクトの中には隠された鍵が二つ、そして使いさしの紙マッチがある。

いかにも意味ありげな鍵に着目したステファンは、その鍵の型を粘土で取る。

そして燃えカスの証券取引証に記載されている電話番号に電話を入れた。

出たのは証券会社を名乗るバーニー。

国税局の役人をかたり、そちらでシナモンの証券を預かっているのか、と確認を取ろうとするステファンにバーニーは顧客情報は電話では答えられないので身分証を持って店に来るように指示する。

そこでステファンはシンプソンに国税局の役人の身分証を手に入れるように指示する電話を入れた。

もちろん電話を受けたのはシンプソンの店で待ち受けていたローランである。

いよいよタウンゼントとステファンを罠に嵌めるのだ。

 

部屋に戻ったタウンゼントを迎えたのはシンプソンである。

シンプソンは裏切ったタウンゼントのせいでアメリカに目を付けられてしまい、ローランが扮した偽のステファンの計らいによって自国に帰ると信じている。

タウンゼントに別れの挨拶に来た、と告げたシンプソンは、新しい連絡先と暗号を空港のロッカーに入れてあるので、4時半に取りに行くように指示する。

そしてロッカーのカギを渡してタウンゼントの部屋を後にした。

 

ステファンが国税局の身分証を受け取りにローランの待つシンプソンの店に来た。

ローランが用意した書類を確認するステファン。

その隙にローランはステファンの上着のポケットのライターを用意していたニセのライターと入れ替えた。

書類を手に店を出ようとしたステファンに、ローランは話を持ち掛けた。

パイプに火を付けようとライターを取り出したステファンだが、ローランがすり替えたニセのライターはガス切れで火が付かない。

そこでローランは紙マッチをステファンに渡した。

紙マッチでパイプに火をつけたステファンは、帰り際に用心深く紙マッチを持ち帰った。

 

国税局の身分でバーニーの証券会社を訪れたステファンは、シナモンが預けていた20万ドルの株券を小切手にして持ち出したことを知る。

こんな大金をどうするつもりなのか。

 

盗聴でタウンゼントがシャワー室に入ったことを確認したジムは、バーニーにタウンゼントの部屋に侵入させた。

バーニーは、タウンゼントのシャツの襟に盗聴器を仕掛け、更に腕時計を4時35分から4時に巻き戻しておく。

 

シナモンの動きはタウンゼントが追っていた。

空港に来たシナモンは、隠していたカギでロッカーに荷物を入れた。

その様子を見ていたタウンゼントがステファンに電話で報告。

報告を受けたステファンは空港につくと型から作った合鍵でロッカーを開けて中のカバンからシナモンの旅券とパスポートを見つける。

更にもう一つの合鍵で開けたロッカーからはタウンゼントの旅券とパスポートが出てきた。

タウンゼントは20万ドルを持った女と逃亡を図ろうとしている。

便はリオデジャネイロ行き午後5時発だ。

張り込んでいるとシナモンが来て、続いてタウンゼントが来た。

物陰にいた警備員役のウィリーがタウンゼントのシャツに仕込まれた盗聴器からの音声を伝える受信機のスィッチを入れた。

タウンゼントはシンプソンから渡された鍵でロッカーを開けようとする。

そこにステファンとビンセントが近づいた。

ステファンはタウンゼントが開けたロッカーから旅券とパスポートを取り上げ、ビンセントはシナモンに銃口を向け制止する。

当然、タウンゼントには何のことか分からない。

だがステファンにとっては裏切ったスパイの逃亡の現場を押さえた瞬間だ。

シナモンがビンセントに通してくれ、と大きな声で要求したタイミンングで警備員のウィリーがやってきた。

咄嗟にステファンとビンセントは、タウンゼントの腕を取り去っていく。

3人はタウンゼントの部屋に戻って行った。

 

タウンゼントの部屋で証拠隠滅を図るステファンとビンセント。

タウンゼントは、自分に掛かった疑いを晴らそうとしている。

確かによく考えてみるとおかしい。

タウンゼントの部屋にシンプソンが来た時刻には、ステファンはシンプソンの店でローランと会っている。

タウンゼントとステファンの時間が一致しない?

確認するとタウンゼントの時計は30分遅れており、彼は4時半に空港に来たつもりだが、実際の時間は5時。

まるでステファンのいる時間に空港に来るように仕向けられたようだ。

さらにステファンがシンプソンの店から持ち帰った紙マッチは、左側から使用されている。

この紙マッチはシナモンの部屋で見た紙マッチと一緒ではないのか。

シンプソンが怪しい。

ことの初めは、シンプソンがタウンゼントの情報をニセだと伝えてきたことだ。

仏像の中の暗号表を基に改めて情報を確認するとタウンゼントの暗号と異なっている。

仏像の中の暗号表がすり替えられていたならば、タウンゼントの暗号と異なって当然だが、シンプソンには手が出せないはず。

そこでステファンが気付いたのはシナモンの部屋の絵だ。

そう、あの絵は仏像を受け取った画廊にあった絵だ。

画廊で仏像の中身がすり替えられたのだ。

 

 

 

画廊に戻ったステファン達は警備用の映像からシナモンを確認した。更にガス修理工のバーニーとウィリーを見たステファンは、二人は証券会社の男と空港の警備員と同じ顔であることに気づく。

事務所の壁にはバーニーが開けた穴も残っている。

全てはタウンゼントの情報が、ニセであると思わせる仕掛けだった!

ニセであると思わせようとするということは、情報はホンモノ。

ステファンはニセの情報をホンモノとして本国に送ることにした。

 

ローラン扮するステファンの時の強面ぶりと、シンプソンの時の小心者ぶりのギャップが見事。

それにしてもステファンはなぜ、タウンゼントをシンプソンンの店にいるローランと会わせなかったのか。

タウンゼントがローランと会えば、シンプソンンでないことはすぐに判明したはずだが・・・。

 

☆☆☆・・・損はない