某銀行でのできごと。
プルルルル…
携帯電話の鳴る音。
かんかん帽をかぶったおじいさん。
はい、もしもし。
ああ、どうも。ご無沙汰してます。
へ?いま京橋の南森町におるんやけど。
いえいえ、とんでもない。
そんなことより、お誕生日おめでとう。
何を、滅相もない。
やっぱり健康が一番ですわ。
この際、「京橋の南森町」がどこであるのかはさておき、
私の友人は、「お誕生日おめでとう」に引っかかったようでした。
つまり、あの歳になっても誕生日はめでたいのかということです。
歳を重ねることと成長することは同じではありません。
ひとは、ただ年齢を重ねるだけでは成長しないのです。
その証拠に、品性や知性はまったく年齢に比例していません。
どれだけ長く生きたかよりも、どれだけ多くを学んだか、
要は、どれだけ時間を有効に費やしたかが問題なのです。
私が10代のころ思い描いた20代。
私が20代のころ思い描いた30代。
その心象と現実のギャップは激しく、戸惑いを覚えるほどです。
私は、時間を有効に費やせてこなかったのでしょう。
しかし、私はそこに人間のおもしろみがあるのだと思います。
ときが流れて、あのころとは違う私がいるのと同時に、
ときが流れても、あのころと変わらない私がいるはずなのです。
歳を重ねることと幼心を失うこともまた同じではないのです。
by スグル