全国の図書館での児童1人当たりの年間貸出冊数が、
2004年度に18.7冊で過去最高を更新したことが分かりました。
文部科学省によるこの調査は、3年ごとに実施されていて、
前回の2001年度に比べると、児童数は約10万人も減りましたが、
本を借りた児童の延べ人数は、逆に約123万人も増えたそうです。
活字離れが指摘されるようになって久しいですが、
私が知る限りでは、小・中学生はまずまず本を読んでいます。
学校の読書活動で半ば強制的に読まされていたり、
読んでいる本の内容が偏りすぎていたりしますが、
どんな形であれ、どんな内容であれ、本を読むことはよいことです。
世界は一冊の本
長田 弘
本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
書かれた文字だけが本ではない。
日の光り、星の瞬き、鳥の声、
川の音だって、本なのだ。
ブナの林の静けさも、
ハナミズキの白い花々も、
おおきな孤独なケヤキの木も、本だ。
本でないものはない。
世界というのは開かれた本で、
その本は見えない言葉で書かれている。
ウルムチ、メッシナ、トンブクトゥ、
地図のうえの一点でしかない
遥かな国々の遥かな街々も、本だ。
そこに住む人びとの本が、街だ。
自由な雑踏が、本だ。
夜の窓の明かりの一つ一つが、本だ。
シカゴの先物市場の数字も、本だ。
ネフド砂漠の砂あらしも、本だ。
マヤの雨の神の閉じた二つの眼も、本だ。
人生という本を、人は胸に抱いている。
一個の人間は一冊の本なのだ。
記憶をなくした老人の表情も、本だ。
草原、雲、そして風。
黙って死んでゆくガゼルもヌーも、本だ。
権威をもたない尊厳が、すべてだ。
200億光年のなかの小さな星。
どんなことでもない。生きるとは、
考えることができるということだ。
本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
私たちは、感性を失わないように本を読みます。
また、豊かであるために本を読みます。
活字離れが深刻なのは、おとなの方ではないでしょうか。
by スグル