ホワイト・ノイズ | ザ・マシンガンズの必殺技(絶望日記)

ザ・マシンガンズの必殺技(絶望日記)

 心にうつりゆく よしなしごと

とにかく、どこへ行ってもやかましい。


先日、あまりに空腹だった私は、

たまたま目についた某飲食チェーン店に入ったのですが、

けたたましいBGMが耳に障って仕方がありませんでした。


とにかく、どこへ行ってもやかましい。


飲食店に限らず、スーパーやコンビニ、デパートなど、

容赦なく次々と流される音に何の意味があるのでしょう。

それを拒否する権利など、まったくないがしろなのです。


私たちが生活する社会には、音が溢れています。

一瞬たりとも、本当の静寂などありえません。

いくつも音が重なって、何も聞こえなくなってしまいます。


そんなことを考えていたとき、

ふと、小学生のころに読んだ詩のことを思い出しました。



みみをすます
じゅうねんまえの
むすめの
すすりなきに
みみをすます

みみをすます
ひゃくねんまえの
ひゃくしょうの
しゃっくりに
みみをすます

みみをすます
せんねんまえの
いざりの
いのりに
みみをすます

みみをすます
いちまんねんまえの
あかんぼのあくびに
みみをすます

みみをすます
じゅうまんねんまえの
こじかのなきごえに
ひゃくまんねんまえの
しだのそよぎに
せんまんねんまえの
なだれに
いちおくねんまえの
ほしのささやきに
いっちょうねんまえの
うちゅうのとどろきに
みみをすます

みみをすます
みちばたの
いしころに
みみをすます
かすかにうなる
コンピューターに
みみをすます
くちごもる
となりのひとに
みみをすます
どこかでギターのつまびき
どこかでさらがわれる
どこかであいうえお
ざわめきのそこの
いまに
みみをすます

みみをすます
きょうへとながれこむ
あしたの
まだきこえない
おがわのせせらぎに
みみをすます


  谷川俊太郎 『みみをすます』より抜粋



そっと目を閉じて、していないくらいゆっくりと息をして、

全神経を顔の左右に集中させて、耳を澄ましてみると、

今まで見えなかったものが、新しい世界が、無限に広がります。


                                     by スグル