思い切り古い映画を観ました。ただ、不朽の名作です。
なぜ観ようと思ったか。
先日、核兵器禁止条約が発効しました。周知のとおり、日本は批准していません。
そのタイミングで俳優の宝田明のインタビューが朝日新聞に掲載されました。テーマは、『ゴジラ』と核でした。
実は私は『ゴジラ』を観たことがありませんでした。松井秀喜と彼の後継と期待された「伊予ゴジラ」とか「茶ゴジラ」とか(ほかにあったかな?)は見たことがある野球バカですが、本家はもちろんこちらです。
そもそもは島の伝承の化け物的なものであったのが「ゴジラ」だったそうです。これは本作を観て初めて知りました。
そして「ゴジラ」は、海で行われた水爆実験で住処を奪われた怪獣「ゴジラ」が怒り狂って街を襲うのです。契機は、水爆でした。
この映画は、ただの特撮映画ではありませんでした。宝田明が言うように。
水爆の洗礼を受けても暴れまわるゴジラは、誰にも止められません。
ただそこで、芹沢という研究者が登場します(博多大吉によく似た俳優さんが演じています)。芹沢は自身が研究して生み出した「オキシジェンデストロイヤー」を以てゴジラを制することに成功します。ただし、芹沢は自ら命を絶ちます。その理由は有名すぎるかもしれませんが、私は見入ってしまいました。
水爆よりもすごい「オキシジェンデストロイヤー」が為政者の手に渡らないようにするためでした。
そして最後の山根博士のセリフもこれまた有名で、印象的なものでした。
「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかへ現れてくるかもしれない」
全編モノクロで、かつ場面変転も若干多いような印象はありましたが、作品としてはやはり「不朽の名作」と言わずにはいられません。昭和29年の、このメッセージを。
なお昭和29年…ゴジラ公開に先んじて衝撃を与えた「第五福竜丸」の被曝がありました。本作の契機になったとも言われているそうです。