
話題作です。かつてハードカバー版が発売された日にはいろんな書店で、真夜中にも関わらず(明け方だったか?)盛大なイベントが行われ、「村上ファンです」という方々が列を作ってこの作品の発売を待つ様子はまさに30年くらい前のファミコンソフト「ドラゴンクエストⅢ」の発売日のヨドバシカメラそのものでした。ただ電子書籍が飛ぶ鳥を落とさんばかりの勢いで成長している世の中においてこういった「紙」の本がここまで人を夢中にさせたという事実についてはとても嬉しかったです。やはり、活字が好きなので。
さて村上春樹。毎年ノーベル文学賞を取るのではないかと言われながらそれがなかなか実現しない作家で、今や世界的な人気を誇っています。その村上作品に手を伸ばすのはミーハーな気がしなくもないのですが…
実は村上作品、大抵のものは読んでいます。昔からずいぶん読んでいました。『ノルウェイの森』は3度くらい読みました。『1973年…』あたりは少し難解でしたが後期作品(最近の作品)ほど読みやすく感じます。
もちろんこの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』もしっかり味わいました。
そう。私にとって村上作品は「味わう」ものかもしれません。結局何が言いたいかははっきりとわかるわけではないのですが(はっきりわかる必要なんてないとも思っています)、いろんなことを考えさせてくれるのです。主に、人生観。
なんせ自分の人生を振り返っちゃって半月ばかり読むのを止めちゃったくらいですから(笑)。したがってたかだか文庫本1冊に1ヶ月近くかけてしまいました。作品に出てくる「巡礼の年」は、作曲家リストの作品。詳しくはないのですが「スイス」の部、「イタリア」の部があったりするようです。主人公つくるも巡礼します。過去の「事件」の真相を探るべく、昔の友を訪ねます。名古屋、そしてフィンランド。
ちなみに私は名古屋と大阪と利府を巡礼したばかりです(笑)。
ただ主人公の名古屋巡礼の後、フィンランドに向かおうかといったところで我が生い立ちを考えてしまうのです。そして今のところの立ち位置、未来予想図。このままでいいのか。どうあるべきか。どうなるべきか。
その間に職場で些細なトラブルもあって仕事人としての在り方も考えたり…
まぁ、その積み重ねが人生であると理解することにします。ただ一つ言えることは…
「この村上作品も良かった!」