西村京太郎と言えば、「西村京太郎サスペンス」です。三橋達也あるいは高橋真麻の父の英樹(つまり高橋英樹が演じる十津川警部が、「亀さん」を演じるうつみ宮土理の夫のキンキン(つまり愛川欽也)や西本刑事(森本レオ)とともに難事件に挑む作品群です。そして犯人は巧みに鉄道ダイヤのトリックを巧妙に用いるも、それを見破って事件解決に至る、というのが誰もが抱く「十津川警部シリーズ」のイメージです。そして西村京太郎と言えば、やはり鉄道ダイヤトリックの名手ということになるでしょう。
・・・・・・そうでもないのです。
タイトルは思いっきり『岐阜羽島駅25時』、しかもカバーは新幹線・・・なのに、鉄道なんてほとんど出てきません。鉄道ダイヤトリックすら、まったく用いません。
しかも、犯人を捕り逃がしちゃっています。なんという気持ち悪い終わり方・・・
(犯人と、その動機らしきものまでは十津川さんも迫れたのでそれでよし、ということでしょうか)
ミステリー小説、犯人を捕まえて終わるとは限らないわけですね。そういえば松本清張にもそんな作品、けっこうあります。
この小説のテーマは「不老不死」。鉄道関係の知識は全く出てこないのですが歴史好きにとっては「なぜ舞台に岐阜羽島が選ばれたか」の記述に驚きます。そうだったのか、岐阜羽島。・・・と、なります。