あれは2008年5月9日、くしくもマリンスタジアムでの楽天戦でした。マリーンズのこのシーズンの戦況、正捕手・里崎智也が故障で離脱しており、ホームプレートを守っていたのは橋本将でした。しかしいきなり初回、0-2のビハインドで横川史学の放ったヒットで猛然とホームに突っ込んでくるのはホセ・フェルナンデス。これを橋本将、死守したものの・・・負傷交代。
あの時、先発の小野晋吾のみならずスタンドのファンもびっくりしたことでしょう。私も、お茶の間で驚きました。
これが金澤岳の、プロ初出場でした。そして次の回にはいきなり打席が回ってくるという慌ただしいデビュー戦。
「4番、キャッチャー、金澤岳」
ボビー・バレンタインはよりによって橋本将を4番に据えていました(笑)。そんなデビュー、なかなかありません。この試合急きょマスクを被って「4番捕手」を務めた金澤は第一打席、第二打席と三振。しかし第三打席、プロ初ヒット、そしてこれがランナー早川大輔を還すタイムリーとなりました。さて、金澤岳のプロ初ヒット&タイムリーはこの試合の先発投手からでしたが、誰からだったでしょうか(答えは末尾に)。ただキャッチャーとしては点差を広げられ、大ベテラン投手たちのリードにも苦心しての4-11。しかし、最後までマスクを被り続けました。そりゃ、当然です。将の負傷で、ベンチにはもう捕手がいなかったのですから!
(この将のアクシデントを受けて新里賢が一軍の呼ばれたのはそのあとです)
ベテラン捕手二枚を欠いたシーズンにおいて、その後も金澤はマスクを被り続けました。打ってはしばしばタイムリーが飛び出し「おおっ金澤いいじゃない♪」と心躍ったものです。しかしながら、勝てない試合が続きます。その後(2008年じゃなかったかもしれませんが)小宮山悟と組んだバッテリーではお茶の間のファンが見ている中で「バカヤロウ」と言われてしまったり(コミさんの口元が明らかにそう言っていた(笑))と苦しい経験を多く積んできました。
金澤は打撃好調ながらも勝てぬチームに悩み、こう漏らしたそうです。
「勝ちたいんです!」
その金澤、久々にヒーローになりました。
松永昂大、服部泰卓、益田直也、内竜也を導いての完封リードは、本人が言うように、まさに「勝つリード」でした。リードはしばしば酷評されながらも、腐らずによくやってくれたと思います。またこの日は打撃でも犠牲フライにタイムリーと、見事でした。
「勝つだけです!」
努力が結実した瞬間、それは見ているほうも喜ばしいものです。そして何よりも、勝利に向けて貪欲なのがいいです。
素晴らしい、金澤岳!
◆◇◆
しかしながらここにきての里崎離脱はイタいのです。リーグ優勝こそ逃したものの、マリーンズにはまだポストシーズンに向けた戦いが続きます。そしてクライマックスシリーズに進んだ暁にはファーストステージ、そしてファイナルステージを勝ち進まねばならないのです。里崎の戦列復帰が間に合うかどうか微妙な場合、この金澤の存在が本当に重要になります。今こそ輝け、金澤岳!
(なお先ほどのクイズの答えです)
現在海の向こうで活躍する、岩隈久志でした。調べて、驚きました!

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