夏川草介『神様のカルテ』 | 町田ロッテと野球散策

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いやぁ、野球って、本当にいいものですね。

 昨日の渋谷での話です。この街は外国人が多く、歩くと至るところで見かけるのです。そこで妻に勧めます。

「あの人に『明日の試合、頑張って下さい!』って言ってきて」

 すると妻・・・

「やだ。」

 ま、当然の帰結です。ちょっとムニスに似た人もいたので、残念でした。そうか?


 日が変わって本日、福岡でいよいよワールド・ベースボール・クラシックが始まりました。角中勝也選手の活躍が期待される日本代表が迎え撃つのが、ブラジルナショナルチームなのです。そしてブラジルには、あのムニスがいます。どの取組、もとい対決においても私が最も楽しみなのがこの日伯対決なのです。マリーンズでは怪しげな応援歌のメロディの印象のみ残して僅か2年で去ってしまったフアンカルロスに久々に会ってみたかったと、心は福岡、厳しい現実は我が身を寒風吹きすさぶ横浜郊外に縛りつけます。

 仕方なくお茶の間で観戦。たった今、杉内がムニスに恐れをなして歩かせてしまったところです。さすがはフアンカルロス。



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 人に勧められて本を選ぶ事が増えました。こちらも、とあるブロガーさんの推薦。


☆夏川草介『神様のカルテ』

 「医療もの」というのは想像がついていたのですが、まさかの漱石タッチでした。主人公の勤務医は『草枕』をこよなく愛しているのです。そしてそれ以上に愛するのが、奥様の榛名さん。時代錯誤甚だしく「細君」と呼びます。さらに奥様も亭主に話すときは、なぜか敬語なのです。なんて古風な。

 ところがこの榛名さんが、とても魅力的なのです。今年に入って、小説の世界で多くの魅力的なヒロインに出会えています。まずは『鷲と雪』(北村薫)の「ベッキーさん」こと別宮みつ子さん、そして『終着駅』(白川道)の盲目のヒロイン・青野かほる君、最後にこの「ハル」こと主人公の妻・栗原榛名なのです。彼女たちは語り手ではないのですが、それぞれ主人公にとってとても枢要な位置を占め、心を動かし、ときに救うのです。『神様のカルテ』においても医者の主人公・栗原一止の「よすが」となります。そして主人公は気づきます。「進むことだけがいいことではない。ときには立ち止まり、丁寧にその時の幸せを掘り出すことが大切なのだ」と。

 生きる勇気を与えてくれる本です。


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