最近は読書以外に話題がない。困ったものである。
伊坂幸太郎『魔王』を読んだ。おお、政治学の教科書のような小説だった。集団というのは、恐ろしい。それが狂おしいものであれば、なおさらである。とはいえ、決して彼岸のものでもないのではないか。
たとえばインターネット。気軽に閲覧でき、気軽に人は「知識」を得ることができる。しかしその気軽さは、危うさも内包してあるのかもしれない。そう、信憑性が薄いとも言われている。もちろんこれはほかのメディアにも言えることである。ただその気軽さゆえ、人は考えることが得てして疎かになっているのではないだろうか。一つの情報を得る手間が省けることは、必ずしもメリットばかりではないだろうかという心配をしてしまうのは行き過ぎだろうか。
この話は、狂おしい集団の流れを止めようとした兄弟の話である。一人は考えることで、もう一人はお金の力で、試みる。
大学は一応政治学科を出ている私であるが、その本質というかエッセンスというか、そのかけらさえ齧れたかどうかも怪しい。ただ読後、大学時代に感じたことのないような心構えが得られたような気がする。なぜ政治はそう動くか。なぜ政治はそう動かないか。なぜ安倍政権は再び誕生したか。なぜ民主党は敗れたか。なぜアメリカは国内に深刻な問題を抱えながらも自由の国と呼ばれるのか。なぜテロはなくならないのか。なぜ復興は進まないのか。なぜ中国はこうも強硬なのか。なぜ自衛隊は軍隊ではないのか。
・・・なぜ日本は戦争に敗けたのか。
考えるのだ、人よ。