【作品情報】
監 督 フォルカー・シュレンドルフ
出 演 アンドレ・ドュソリエ、ニエル・アレストリュプ、ロバート・スタッドローバー、ブルクハルト・クラウスナー、チャーリー・ネルソン、ジャン=マルク・レノ、他
上映時間 84分
原 題 「Diplomatie」(フランス語で「外交」の意味)
【あらすじ】
1944年8月25日パリ中心部にあるホテル「ル・ムーリス」
ドイツ軍パリ防衛司令官に任命されたディートリヒ・フォン・コルティッツ大将(ニエル・アレストリュプ)は、ヒトラーの直命を担って赴任してきた。
その直命とは「パリを徹底的に破壊し尽くす事」であった。
コルティッツは、フランス人建築家・ジャック・ランバン(ジャン=マルク・レノ)に「建物の弱点」を探させて、効率よく爆破する方法を研究していた。
歴史的な建築物であるノートルダム大聖堂、ルーブル美術館を始め、セーヌ川にかかる橋梁全てに爆薬が仕掛けられ…パリに壊滅的な被害をもたらすべく、今まさに爆破準備は整いつつあった。
中立国であるスウェーデンの総領事・ノルドリンク(アンドレ・ドュソリエ)がコルティッツの元を訪れて、「パリを破壊する事は、ドイツとフランスの将来に大きな影を落とす。ドイツ人は永久にフランス人から恨まれる事になる」と、コルティッツに「ヒトラーのパリ破壊指令を無視してパリを救え」と説得を始める。
しかしコルティッツが、ノルドリンクの説得を頑迷に拒む事には理由があった。
彼の赴任に先んじて、ドイツ国内において…将校が命令違反した場合に家族が責任を連座して受ける法律が制定されたのだ。
命令違反した将校とその家族は、処刑されるのだ。
コルティッツは、民間人である多くのパリ市民を犠牲にしてでも…自分の愛する家族に害を及ぼされない様に、馬鹿に思える命令にも絶対服従していたのだった。
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意外と知られていない連合軍によるパリ解放前夜の裏話。
大作「パリは燃えているか」(1966年)でも、ノルドリンク総領事の奔走とコルティッツ大将の決断は描かれてるんやけど、この映画とはまた違う表現やったね。
この映画では、ノルドリンクトコルティッツ二人の完全な対話劇形式で…全編のほとんどが二人のせめぎ合いの会話で成り立つ。
この映画で描かれた事は、史実に基づくとか言われてるらしいけど…映画の資料を色々見たけど…史実に基づくとは一切書いてないんよね。
二人の密談が仔細まで史実に基づくとは到底思えない。
こんな風だったんじゃないか?と言うなら話は判るけどね。
狂人とも思えるヒトラーの指令に、絶対服従の姿勢を見せるコルティッツの頑迷さが、本編の後半になってようやく理由がる事が判る。
あの手この手で説得するノルドリンクと…
それを一つ一つ論破してかわしていくコルティッツ。
その攻防が意外と楽しめる。
この映画では、ノルドリンクは連合国側のスパイのような立場でコルティッツに様々な情報を伝え、懐柔しようとする。
「パリは燃えているか」のオーソン・ウエルズ演じるノルドリンクは、中立国の総領事という明確な立ち位置やったんで、少しその違いに違和感を覚えた。
日本の時代劇ものでの、事件の謎に迫る場合にそうであるように…
裏話としてはこういう事だったという解釈やろうね…そういう感じで観る方が、まだ作品に入りやすいかもね。