グレンデールの旅

Day 00

 

米国時間2025年2月28日

 

この日、大谷翔平は今春初のオープン戦に出場し、第一打席で古巣エンゼルス相手の菊池雄星から見事、レフトスタンドへホームランを放り込んだ。

 

この試合から大谷が登場するのでは?!と、NEWSが流れたのは、丁度1週間前の日本時間2月22日(土曜日)だった。

 

「(前日会見で)ショウが準備は出来ていると言っていることは良いことだ。オープン戦で彼が打つ日は近い。来週後半あたりになっても驚かないよ」と、デーブ・ロバーツ監督がコメントした経緯を受けて、スポーツ各紙は挙って、この日のエンゼルス戦出撃の予想を報じた。

 

その時点で有料になってでも経由フライトを変更していれば良かったなあ、と強い後悔の念にかられた渡米から到着日の個人的な備忘録を綴る。

 

映画「マネーボール」

 

今回の目的地、アリゾナ州フェニックス空港入りにあたり、米国本土の経由地は西海岸のサンフランシスコを選んだ。

 

これまではロサンゼルスやサンディエゴを経由してきたが、今回は保持するマイル数が基本の最小ポイントで済む選択をとった。

 

機内は8割から9割くらいは埋まっていたが、自分は足が伸ばせる窓側席で隣席もおらず、快適な旅の出発となった。

 

往路フライトは、毎回途中で眠りこけてもいいように気楽に視聴できる映画を選択する。ストレートに言語が頭に入る邦画や、以前に鑑賞済みの馴染みの洋画など。

 

今回は、ブラッド・ピット主演の野球映画『マネーボール』を選んだ。

 

ノンフィクション作家マイケル・ルイス氏による、『マネーボール 奇跡のチームをつくった男』を原作とする映画。オークランド・アスレチックスのGMであるビリー・ビーン氏が、セイバーメトリクスを用いて、経営危機に瀕した球団を再建する姿を描いた作品だ。

 

この原作本は、米国で2003年、日本で2004年に上梓され、映画は、日米ともに2011年に公開された。

 

自分は、原作本も読んでいるし作品も映画館でみた。当時のセイバーメトリクスは、野球界の常識を覆す戦略として、随分話題になったと思う。

 

原作から20年ちょっと経過した今、その手法はメジャーリーグでは一般化されて、さらにUPDATEを続けている。

 

昨年、イチロー氏と松井秀喜氏の対談では、松井氏が「打順の意味とか、そういうのがなんか薄れちゃってますよね」とか、イチロー氏が「それぞれの役割みたいなことがまったくないもんね」と、過剰なサイバーメトリクスが「考える野球」を喪失させてしまっていることに警鐘を鳴らしていた。

 

そんなトレンド感も頭にあり、エンタメガイドにリストされていたこの映画を選んだ。

 

全く眠ることなく堪能できた。

 

サイバーメトリクスの起源は、低予算の弱小チームがはじめに考案した改革戦略だったことを、あらためて認識した。長年に渡る慣習をベースにしたスカウティングスタッフや監督に対し、批判にさらされながらも強い信念もって改革をやり遂げた、ビーン氏の実行力に感服した。

 

今の仕事上の自分にも、必要な信念かなと思った。

 

もうひとつ、ビーン氏がレッドソックスからの巨額契約オファーにあたり、「二度と金によって人生を左右されまいと心に決めたから」という件も、心に残る。

 

「お金が人生を左右する」という部分にではなくて、ビーン氏がプロ入り時に「経験したこと」を、人生の教訓に生かしている点にである。

 

今のビーン氏の立場が気になったが、Wikipediaによると未だ顧問という立場でアスレチックスと関わりをもっているようだ。

 

アスレチックスといえば、大谷がエンゼルスに入団した当時は、同地区で手強いライバルチームとして存在していた。

 

レッドソックスの誘いを断ったビーン氏の人生は、謳歌できているといいなあ。

 

話が逸れ過ぎた。

 

 

飛行機は、日本時間3月1日の深夜2時30分、現地時間2月28日の午前9時30分に定刻通りサンフランシスコに到着した。

 

イミグレーションは、全く混んでいなかった。列にして30メートル位、通過所要時間はたったの10分程度だった。聞かれた質問も、単純な4つのみ。

 

「目的は?」

「目的地は?」

「宿泊先は?」

「単独か?」

 

このときに、後悔の念が始まっていた。

 

実は昨年のスプリングトレーニングの旅では、ロサンゼルスを経由地にしていた。

 

到着時刻から次のフライトまで2時間とっていたが、フライト遅延の20分とイミグレの大混雑により、全く間に合わなかった。

 

おかげで、フライト変更の追加料金17,000円と、アリゾナ到着が大幅に遅くなり、その後のモーテルでのトラブル遭遇にまで余波が起きた。

 

 

そんな苦い経験もあったので、端から当日ナイトゲームの観戦はあきらめていた。それが午前10時30分には、フェニックス行きの国内線セキュリティゲートを通過できた。

 

この時間帯なら、夕刻までにフェニックス入りできるフライトは、いくらでも確保できていたはず。

 

しかしながら、今回の旅では一番安価で、待機中も系列ラウンジが使える、夜遅くの到着にならないフライトを手配してきた。

 

今から思えばだが、経験がここでは少し仇になった。

 

ロサンゼルスのイミグレは毎回混んでいる経験をもっているが、よくよく考えるとサンディエゴなんかは楽々スルーだった。

 

来年以降の糧にしよう。

 

午後4時台のフライトまで、5時間近くラウンジで過ごした。お酒や豊富なサラダメニューまで充実したラウンジだったので、快適には過ごせた。

 

 

お迎えは嘆息の「ホームラン」

 

定刻通りにサンフランシスコを出発したフライトは、午後7時頃にフェニックス空港へ着いた。

 

機内ではWIFIが使用できなかったので、到着と同時にスマホをチェックすると、なんとヤフートップに、嘆息のホームラン情報が飛び込んできたのである。

 

マジかよっ!?

 

 

やっぱりこれが翔平なんだよなあと独り言まじりに、なんとかポジティブに捉えようと努めた。移動日にまで絶対忘れることがない、思い出に残るウェルカム・サプライズを起こしてくれた。

 

同時に、もちろん後悔の念とも戦っていた!泣

 

頭がモヤモヤしながらレンタカーセンターへ移動し、グエンデール市内に手配しているAirBnBのゲストハウスに向かった。

 

これまでのアリゾナ滞在は、エンゼルス時代の聖地テンピも、昨年からのグレンデールも、全て格安モーテルを利用してきた。

 

昨年、現地で知り合ったファンが、安価で豪華なゲストハウスをAirBnBで予約しているのを知って、自分も今回初めて利用した。

 

大当たりだった!!

 

部屋は、共用リビングも小部屋も、めちゃくちゃ綺麗で清潔感がある。

 

場所は、キャンプ施設のキャメルバック・ランチまで車で10分ちょっと。近くには、大谷も?自分も大好物の「In-N-Out Burger」や、スーパーの「ウォルマート」まである。

 

昨年自分が毎日通ったスタバも近くにあり、最高の条件が揃っていた。唯一の懸念としてバス&トイレが共用なのがネックかと思っていたが、こちらも清潔感があり全く問題なかった。

 

これまでのモーテルとは、価格も清潔感も雲泥の差があった。

 

AirBnBが、人気になるはずである!

 

この点、昨年の到着日の夜とは180度気分が違って、気持ちよく翌日からの準備ダンドリと、快適に睡眠に入れた。

 

 

それにしても、本当やってくれるよなあー!

 

ショウヘイ!!!!!

 

この日放ったホームランの方向は、昨年のオープン戦第一号と2022年のオープン戦で放ったものと同じ、レフトへの一打だった。

 

自分は過去2本、同じような座席位置のネット裏から動画撮影していた。

 

もし今日のホームランも撮れていれば、3本目の同アングルにできたのになあと、これまた後悔に苛まれたのである。

 

これが、翔平なんだよね!