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2023年11月17日

 

本日、大谷翔平はアメリカン・リーグのMVPに選ばれた。MVPはもちろん想定内だったが、最も関心が高かった選出レベルにおいても、無事「満票」での受賞となった。

 

2年ぶり2度目。満票選出の2度目は、メジャーリーグ史上初の快挙となった。

 

この快挙の朗報を、自分は職場の会議中に知った。今日は珍しく朝8時からハワイ支社とのミーティングが入っていて、ツイッターの情報で知ることになった。

 

朝から隙間無くびっしり会議やミーティングが入っていたので、選出模様は帰宅してからゆっくり録画番組をチェックした。幸いBS1の『ワースポMLB』特別番組やテレビ朝日系『羽鳥慎一のモーニング・ショー』が、生放送で取り上げてくれた。

 

2021年、1回目のMVPを受賞したときと同じように、今回も記念すべき一日の出来事を、関係者の言葉を中心に記録に残しておこうと思う。

 

 

Yahoo!スポーツナビのニュース欄を中心に追っていった。

 

朗報を一番に記事化したのは、8時26分に配信した『ABEMA TIMES』だった。いつも一番の速報にこだわっているように見えていた『Full-Count』は、1分後の8時27分にリスト上、『THE DIGEST』、『スポーツ報知』、『TBS NEWS』に続く5番目だった。8時27分を刻んだメディアは、他に7社あった。

 

当然記事は、事前につくっていて、MVPが確定した時点で配信ボタンを押す手順になっていたと思われる。

 

『羽鳥慎一のモーニング・ショー』の録画放送を見直したところ、8時26分段階では、発表者となったレジー・ジャクソン氏が、「私なら大谷翔平を選ぶ」と語っていた。この段階では「確定」になっていなかった。

 

8時27分になってから、司会のグレッグ・アムシンガー氏が、紛らわしい説明をしているジャクソン氏に、あらためて受賞者を伝えるよう促したところ、正式発表となった。

 

『ABEMA TIMES』担当者は、ジャクソン氏から大谷の名前が出たところで、確定と判断してしまったのだろう。あの状況ではフライング速報も、仕方が無かったかな。

 

グレーの丸首の長袖シャツ姿でソファに座り、右腕に毛色が茶と白の犬を抱きかかえてなでながら、リラックスした表情を見せていた大谷。「満票での選出です」と称賛されると、自身の左手と犬の前脚で「ハイタッチ」。ラフな雰囲気で、心境を語った。

 

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(受賞前)

ーー今季良かった点は

「投打のバランスはすごく良かったんじゃないかなと思いますし、それをより高いレベルでこなしていたんじゃないかとは思います。ただ、最後まで出続けられたわけではないので、そこだけは心残りかなという結果だと思います」

 

ーー二刀流を続ける魅力とは

「本当に野球に集中したいなというのが自分のにスタイルだと思うので、その他のところは後からついて来るじゃないですけど、そういうふうに考えていればいいのかなと思っているので、シーズン中は特に野球に集中したいなと思っています」

 

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(受賞後)

ーー去年は2位で、今年2回目の受賞だが

「去年、もちろん取りたかったですけど、ジャッジ選手もすばらしかったですし、今年もシーガー選手、セミエン選手もワールドシリーズ優勝したようにすばらしい年だったなと思うので、それに負けないぐらいのシーズンにしたいなと思っていましたけど、個人的にこうやって取れて、特別なことだなと思います」

 

ーー故障の状態は

「ケガは順調に、1回目より感じ的にはすごいスムーズに来ている感覚はあるので、スムーズに来シーズンに入っていけるんじゃないかなと思うので、焦らずにやりたいなと思う半面、しっかり来シーズンまでに間に合わせてプレーしたいなという気持ちでいます」

 

この後、ナショナル・リーグのMVPも発表されて、ブレーブスのロナルド・アクーニャ・ジュニアが、これまた満票で受賞した。両リーグともに満票受賞となったのは、史上初。

 

 

 

この快挙を受けて、続々とSNS上での祝辞が相次ぐ。

 

エンゼルスは、球団インスタグラムを更新。大谷の画像に「MVP」や「OHTANI」という文字に加え、「最優秀選手」と日本語も入れた。本文にはユニコーンの絵文字とともに「満票MVP」と書かれていた。

 

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マイク・トラウトは、「劇的な年をおめでとう。本当に受賞に値するMVPだ。誇りに思うぜ、ブラザー、ショウヘイ・オオタニ」とコメント。

 

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パトリック・サンドバル:

「ショー、おめでとう!!すべてを特等席で見られて光栄です」

 

ローガン・オハッピー:

「おめでとう大谷翔平 これ以上にふさわしい人はいないよ」

 

ルイス・レンヒーフォ:

「おめでとう、ショー!素晴らしいシーズン。あなたはすごい。この偉業を祝福」

 

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午前9時から日米メディアによる電話会見が予定されていたそうだが、開始予定時間から27分後に突如中止が発表された模様。

 

リーグ関係者は「電話会見はできなくなりました。ショウヘイのコントロールを超えたもので、少なくとも彼のせいではありません。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と説明。アクーニャ外野手の電話会見も、母国ベネズエラでの試合出場を理由に急きょ中止となったようだ。

 

この事態にエンゼルス番記者、『ジ・アスレチック』のサム・ブラム氏は、「最も謎に満ちたFAのままだ」とツイッター上につぶやいた。

 

大谷は、結局8月9日の試合後、メディアの前で話して以来、公式会見行っていないことが、ブラム氏つぶやきの背景にあるのだろう。

 

10時24分、スポニチが会見に登場した話題の犬について、取材記事を速報。

 

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犬の血統書を出している国際的愛犬団体、一般社団法人「ジャパンケネルクラブ」に取材。犬種については「見た感じだと、おそらくコーイケルホンディエだと思われます」と回答が寄せられたそう。

 

同団体のホームページ上では「世界の犬」を紹介。コーイケルホンディエはオランダが原産地で小型のスポーティング・ドッグ。耳先に見られるブラックの毛はイヤリングと呼ばれるという。

 

習性や性格は「陽気で機敏、自信に溢れ、十分な忍耐力やスタミナもある。気立てがよく、用心深いが、うるさくはない。この犬種は忠実で、おおらかで、友好的である」と記されているようだ。

 

ラーズ・ヌートバー外野手も、祝福の動画を投稿。

 

「ショウヘイ!おめでとう本当にふさわしいよ。紛れもなく君がアリーグのMVPだと思っていた。僕もとても嬉しい。もちろん、まずは一日も早い回復を祈ってますが。今日は“おめでとう”と言わせてください。君は最高だ」

 

 

続いて、母校・花巻東の佐々木洋監督が同校を通じてコメントを発表。

 

「体重が70キロ台だった高校時代 『世界最高のプレーヤーになる』『野球界の歴史を変える』と目標を紙に記した。あれから10年、2度も受賞を成し遂げた。『目指していること』と『そのためにやらなければならないこと』を一致させ、夢を遥かに超えて実現していく。彼は子供達にグローブを与え、さらにこれからは夢を与えて行くことだろう。学校としても、野球部としても本当にありがとうと言いたい。運命を決めるのは、今までの『歴史』ではなく、その人の『選択』であり『決断』だと思い知らせる」

 

 

大谷自身も、インスタグラムを更新。メッセージを綴った。

 

「今シーズン応援してくださったファンの皆様、一緒にシーズンを戦ったチームメート、スタッフ、エンゼルス球団関係者の皆さん、そして投票してくださった記者の皆様全ての方々似感謝します」

 

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MLB関連のSNSからは、インタビューの舞台裏動画も公開。そこには犬の匂いを嗅いだり、戯れる大谷の姿が。さらに「もうちょっとさぁ、頑張ろうよ」と甘い声で犬に語りかける様子も話題になった。

 

 

波紋を投げかける米メディアの報道もあった。放送局『CBSスポーツ』のマット・スナイダー記者は、この日「もし大リーグにシーズンMVPが1人しかいなければ?2000年以降、唯一のMVPを独自選出」の見出しで報道し、2023年のMVPは満票受賞だったナ・リーグのアクーニャを選出とした。

 

「接戦だが、歴史的なシーズンというスケールの点でアクーニャだと信じる。史上初の『40本塁打&70盗塁』を達成し、ブレーブスは最高勝率(・642)だった。一方の大谷は、優勝争いから外れたエンゼルスで出場わずか135試合。二刀流のスーパースターという点はすごいし、しばしば『MVPレースで大谷を上回るには歴史的なシーズンが必要だ』と言われが、今回のアクーニャや22年のジャッジがそうだった」

 

 

何でも、新たに生み出した記録や価値が凄いということなんだろう。見慣れた光景や、当たり前になってくると、一般化してしまう。何れにせよ、大谷の偉業は、様々な分野を得意とする選手たちに、限度が無いことを示唆してくれているのだろう。

 

この他、エンゼルスを皮肉った記者の情報も拾った。カナダのメディア「ザ・スコア」のジョシュ・ゴールドバーグ記者は「エンゼルスは過去10年間でア・リーグMVPの50%を獲得している。彼らはプレーオフに一度進出したことがある。一度。偉大さとかつてない無駄だ」と投稿。

 

ゴールドバーグ記者が指摘するとおり、2014年にマイク・トラウトが初受賞したのを皮切りに、トラウトは16年、19年とMVPに輝き、21年と23年の大谷と合わせて10年間で5回、所属選手が栄冠に輝いている。

 

『共同写真』イメージズからは、取材班が撮影した写真を、スマートフォン向けに編集した写真29枚が公開された。

 

 

 

30名の投票記者のうち、2名のコメントが拾えた。

 

エリック・ボーランド記者(地元紙ニューズデー):

 

「過去には選考が難しい年もあったが、特異性と能力を考えると今年は迷いがなかった。けがをする前までに十分、MVPに値する活躍を見せた。満票でなければ驚きだ。1点リードの走者を置いた九回に、最も対戦したくない打者は誰かということ。去年はジャッジだったし、今年は間違いなく大谷だった。もちろん打つだけだったら新たに候補に浮上する選手も出てくるかもしれない。だが、今年は打者としての成績だけでも、少なく見積もってもMVPの有力候補だった。ルースが二刀流で活躍した期間は短かった。歴史的に見ても大谷は別格。大リーグのライバルたちはみんな、畏敬の念を抱いている」

 

アレックス・スパイアー記者(ボストン・グローブ紙):

 

「驚きは全くない。他の選手に入れた記者がいたらショックを受けただろう。7月27日の対タイガース戦、ダブルヘッダーでの活躍は、大リーグで最も印象的な一日だった。過去にないやり方で、彼が運動能力の限界に挑んでいることを物語っていた。大リーグにこれまでなかったことをやっている。前例や比較する対象が乏しい点など確立された基準がなく、正しく評価することは難しいのだが」

 

MVPを祝した記念グッズも発売された。

 

「大谷翔平 2023 AL MVP獲得記念 Laurett’s プレミアムTwo-Wayペン」。注目点は、日本屈指の技術力を誇る丸安精機製作所が全面協力したこと。大谷の偉業を1本のペンに集約すべく、世界レベルで評価される日本の技術を惜しみなく注ぎこんだ、全パーツ完全削りだしのペンだ。

 

 

SNS上には、各メディアがこぞって、記念のイメージ画像をアップ。

 

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2021年の1回目のMVP受賞時よりも、話題となる情報数は少ない気がした。2度目とは、そういうことなんだろう。

 

ただ大谷は、今後も新たな偉業をみせ続けてくれるだろう。

 

おめでとう、翔平!