実際にスポークがどれほどの曲げモーメントを伝達可能なのか、実験装置を製作して試験をおこないました。

 

 実験装置は回転軸を備えたアームの先端にスポークを固定します(リム側を想定)

 回転軸と同軸になるようにスポークの首を固定し、張力を与えてゆきます。

 

 スポークには張力を与え、アームの一箇所にフォースゲージをあてて押すことで荷重をあたえます。荷重の大きさと、アーム角度の関係を計測します。

 

 

 さて、計測した結果をグラフにします。
 また、この試験では張力を変えつつ、2種類のスポークについて試験を行いました。
 試験に供したスポークは 

 ▽ DT コンペティション 2.0/1.8バテッドスポーク

    (2.0mm -1.8mm- 2.0mmとなる途中が細くなるタイプ) 

 ▽ Pillar A1432エアロスポーク

   (3.5mmx1.0mmの扁平断面を持つ)

 にて試験を行いました。

 

 PillarA1432については、張力を測定するためのテンションゲージの扱いを失敗しており、張力を数値として記録できていませんでしたので、高、中、弱として記載しています。

 

  まず、DTのバテッドスポークの結果を検証します。こちらは首を固定することなく、摩擦を主体とした拘束で試験していますが、0.2~0.3[Nm]程度のモーメントを許容できると考えています。(300mmのスポーク先端で70グラムから100グラム程度)

 このときのたわみ角度が1.5度~2度ぐらいなので、リムが2mm~3mmほど動いている状態です。
 今回はスポークの固定を摩擦力だけに頼りましたが、何らかの拘束がアレば更に大きな駆動力を伝えられるはずです。


 

 そしてグラフをみると、「張力が上昇するにつれて曲げにくくなる」ことが確認されました。
 高張力で張れば、その分小さいたわみ角度で必要な駆動力を伝達できる可能性があります。


 またPillar A1432についてはスポークの首を治具を用いて固定しています。そのため、大きな曲げ角を与えても初期位置からずれないようにしてありますので、その影響も考えられますが「もともと曲げにくい形状をしているスポークほど、より曲げにくくなる」傾向があるように見られます。
 このことは加速時など大きなトルクが作用するときに、エアロスポークを高張力で張ったホイールほど加速にタイムラグが無いという性質を表します。



 さて張力が作用したスポークが曲げにくくなることは実験で検証できました。
 細い針金であっても、素材や断面形状、長さなどで決定されるバネ力よりも、張力を与えることで遥かに強いたわみバネとなります。

 ホイールの駆動力伝達の箇所で、スポークは両持ち梁か、片持ち梁か、という話を致しました。


 そして、たわみバネとして好ましい両持ち梁状態を維持してもらうためには、フランジ穴でのスポーク固定力が強くなければなりません。さもなくば、たわみバネとしての能力が下がり、駆動力をホイールに伝える能力が低下します。

 

 ・フランジでのスポークの固定

 ・リムでのニップルの固定

 を強化すること。

 

 ・曲げにくい形状のスポークを高張力で張ること

 が重要である、ということが言えるのではないでしょうか。