協同組合全日本洋菓子工業会主催のRoll-1グランプリ/第5回スイーツコンテストが開催され、今年も一般審査員として、決勝審査に参加させて頂きました。
応募は全国からある中で、書類審査を経て、決勝まで勝ち残った人のファイナリストたちの頂上決戦です。
味や見た目のデザイン性だけでなく、さまざまな項目の合計点で、順位が決まります。
作品は、出来上がったものを規定の本数持ち込みですが、カット作業の手順や工程も審査の対象。
審査員の先生方の厳しい目が光ります。
その土地の特産品を使った地産地消であること、その作品に込めた思いやストーリー性を織り込み、なおかつ保計性、市場性もよく考慮してとなると、何度何度も試行錯誤を重ねなくてはなりません。
「クリームメロンロール~北国の夏はメロンの香り~」 もりもと
「ごぼうロール」 リーガロイヤルホテル
「北限の柚子と気仙椿のロールケーキ」 深川コンフェクショナリー
「日本酒香る和梨のロールケーキ」 リーガロイヤルホテ東京
「エルジャーベルベットロールケーキ」 Two Rooms
「Pedigree」 執事喫茶スワロウテイル
「名古屋コーチン卵酒ロール」 A.lecomte
「TRIOロール~柿・キャラメル・シナモンを奏でて」 名古屋東急ホテル
「紀州うめ便り」~梅の香りを添えて~ ル パティシエ ミキ
「~京の薫り~ロール・ニッキ」 京都センチュリーホテル
「柑橘王国愛媛の伊予柑ロール」 一六本舗
「ごまと大学芋のロール」 文明堂壱番館
農林水産大臣賞に選ばれたのは、
「エルジャーベルベットロールケーキ」 Two Rooms
国産のラズベリー、ライム、グァバにこだわり、レッドベルベットケーキをロールケーキ仕立てにしたもの。
フルーツのさわやかな酸味とこってり甘めのチーズクリームに、ココア生地、黒七味が隠し味で、見た目の赤と白のコントラストが鮮やかなケーキ。
Two Roomsは、お伺いしたことがなく、海外からのお客様が多いレストランバーだそうですが、見た目の華やかさとしっかりとした甘さのケーキが、外国人のお客様だけでなく、広く一般に人気が出そうですよね。
シェフのお仕事ぶりがとても丁寧だったのが印象的でした。
3位は、
「ごぼうロール」 リーガロイヤルホテル
ごぼうのガナッシュってどうなの?と思いましたが、いやな感じのえぐみもなく、全粒粉の生地の香ばしさと2種類のチーズを使ったクリームの甘さで、ごぼうガナッシュとよくバランスが取れていたと思います。
ただ、これをショーケースの数あるケーキの中から選び、一本買うかどうかと言われたら、微妙なところでしょうか…
2位は、
「クリームメロンロール~北国の夏はメロンの香り~」 もりもと
審査員の先生から、パティスリーで売るには飾りがシンプルすぎないかと質問がありましたが、冷凍配送することを考えて、わざとシンプルになさったそう。
メロンのお菓子は、香料を使っているものが多く、個人的にあまり好きではありませんが、こちらのロールケーキにはメロンの香料は一切使われておらず、赤肉メロンのピューレとそれをふんだんに使ったクリームの味が濃厚で、北海道の名産品としてネットや、駅や空港などで販売したら、かなりの売れ筋商品になるのではと思います。
そして、みごと1位に輝いたのは、
「柑橘王国愛媛の伊予柑ロール」 一六本舗
表面のデコレーションが綺麗です。
アーモンドのキャラメリゼで食感をだし、ホワイトチョコとブラックチョコで風を表現し、上のマジパンのお花が風にたなびく様子を表現されたそう。
中のクリームは、伊予柑クリームとカスタードチーズを合わせ、伊予柑の寒天ゼリーのこりっとした食感と酸味がアクセントになって、周りがチョコレートの割に爽やかな印象のケーキです。
どの作品もレベルが高く素晴らしかったですが、味覚に加え、見た目の美しさ、持ち運びのしやすさ、価格設定も含め市場性が見込めるかというさまざまな観点から総合評価が高かった作品が受賞につながったのだと思います。
いくらコンクールで優勝して高い技術だけ磨いても、一般のお客様に支持されないと意味がないとおっしゃった加藤理事長のお言葉は、まさにこのコンクールの真髄をついているなぁと思いました。
選手の皆さん、本当にお疲れ様でした。
今後のますますのご活躍を期待しています!