2024年6月8日に、ほぼ40年振りにバイクを購入・納車されました。
2021年式のスズキのライトウェイとスポーツ・ジクサー150というマシンです。
2010年に沖縄レーシングカートシリーズ戰の年間チャンピオンを獲得した翌年、「まだまだ少なくとも還暦超えるまでは現役でレースするぞ」って覚悟決めて、レーシングカートの運搬車兼保管場所として軽貨物バンのホンダActyバンを新車で購入。
ところがActyバンを購入した秋に指定難病を突発し入院。2ヶ月で退院できたが、入院中にも病室のトイレで意識を失って倒れて集中監視室入れられたり、大腸全摘出すると言われたり(根性で大腸残した)、入院中はほとんど動けず栄養吸収もできず全身の筋肉がそぎ落ちて激やせ・・・退院後も3ヶ月は落ちた筋力や体力を仕事ニ耐えられる程度になるまで自宅療養となり、必然的にレースを走る重要な筋肉も失って引退するハメとなる。
レースのマシン・エンジン・パーツ類などはレース仲間に安価で譲渡して、入院で失ったお金を少しでも埋めないといけない。レーシングカートの保管場所としてわざわざ軽貨物を買ったのに、もはや運転車と空気を運搬する単なる非力で走行性能の低いクルマとして手元に残った。
しかし沖縄は車社会で、那覇市のごく一部を除けば基本公共交通システムはつかいものにならない。夫婦2人暮らしで、僕は毎日職場へ通勤で車は必需品。僕が通勤でクルマを使うと、ウチの奥さんは(自宅でやっている)仕事の仕入れも、普段の買物にも行けなくなり非常に不便。
ウチの奥さんの安全と運転スタイルと家計の状況考えるとせめて小型車にしたいけど、家計的に軽自動車しか維持できない。でもいわゆる軽のファミリーカーは衝突安全性だけでなく、走行性能がひどすぎて危ない。ウチの奥さんが今まで運転してきたのが、FIAT PuntoアバルトHGT(イタリアのシビックタイプRみたいなクルマでメーター200キロでる)、ダイハツ・コペン2ndアニバーサリーエディション、とすべてマニュアルでキビキビ走れる車ばかり。東京時代にBMWのZ4(2.4Lのオープンカー)運転させたら「なにこれ、遅い。どんくさくて危ない」とバッサリ切り捨てた人(^_^;)なので、結局、コペンを奥さん用(LSDも入れてある)に、いろいろ飛ばすと危ないActyバンを僕が通勤用に2台持ちを維持することになりました。
その後、2台とも強烈な台風被害で、停めていた駐車場の天井が落ちてきてボディ全体の板金・再塗装が必要なひどい目にあいながら、自動車ローンは残ってるし、簡単に買い換えできる状況でなかったため、自分の車輌保健で修理・再塗装しましたが、これがさすが保健会社。一番安い板金業者使ったんでしょうが2年ももたずにクリアコートが剥がれ出し、当然紫外線耐性もひどくて白々と日焼けも進み、2台とも見た目ボロボロに(T-T)
ローンを終えたコペンはその時点で13万キロ超えていたので、奥さんの運転中にタイベルやダイレクトイグニッションなどのトラブルが出ると心配な状態にもなりつつあったので、ここでコペンを非常に割安だったスズキ・アルト・ワークス(当然5MT)を最長の9年ローンで奥さんが購入して今に至ります。
当時は通勤先が自宅から片道(沖縄のどんくさい運転のせいで)渋滞気味のルートを45-50分かかる距離だったので、晴天率が低く、晴れてても急に豪雨が降ったり、毎年直撃する台風のこと考えると、やはりクルマの2台維持は必要でした。が、2020年に当時の職場・役職の責任の重大さと自分の健康を考慮して転職。自宅から片道数分の年度契約職員になりました。当然、給料が激減して、本来生活できないレベルではあったんですが、この時点で62歳。1年待てば老齢特別年金(2階建て年金制度の1階部分)の部分支給が始まるため、いろいろ収支シミュレーションしたら、それまでの蓄えと節約でなんとか借金せずに持ちこたえられそうだったので、心身に負担の少ない仕事・職場へ転身することになりました。
まぁ、収支シミュレーションで予想できなかった余計な社会福祉負担や税金などの役所仕事の遅さから、想定以上に苦しい時期が長引きましたが。
そして65歳で厚生年金受給も開始。これに関しても、追加で負担する税金や社会保障関係の負担増があり、しかもそれが落ち着くまで1年半はかかるという役所仕事・制度には本当に腹が立ちました。とはいえ、年金と仕事の給料で、ここまでの3年でギリギリの底まで到達していた家計を少しずつ修繕して、ほんの少しずつ成果も出始めたのが2024年の春頃からでした。
ここでまた今後の人生収支シミュレーションの見直ししていて、古くなった軽貨物の維持費がバカにならないと判断。通勤距離が数分だったら、僕が原付か小型バイクにしちゃえば、特に車検時の費用など考えると、少し余裕が持てることが判明。それでバイク事情に詳しい友だちに相談して勧められたのが、今回購入したジクサー150です。
僕の要望は、車検がいらない250ccクラス以下、しかし原付は30キロの速度制限が公道走るにはトロすぎて危なすぎる。なので125~200くらいのスクーターじゃないマニュアルのバイクがいい、というリクエスト。
250を外したのは、以前250も乗っていたことがありますが、250のスポーツバイクって結構速いんですよ・・・僕の性格からして、速く走れちゃうとそうしちゃうことがあり得る・・・しかしこの歳でコケたり事故に巻き込まれたら、(骨密度が下がってるから)すぐ骨折、下手したら寝たきり・・・それだけは避けたい。自制心に頼って我慢して走るよりは、ちょっと足りないって思うくらいのパワーのマシンをそこそこぶん回して走る方が精神衛生上好ましい。
150だと車検が無いのはもちろん、軽自動車税も更に安いし、重量税に至っては購入時に1度払うだけで、次年度以降の自動車税の支払い時に加算されない。車体重量も軽い方が取り回しが楽。いざとなれば高速も走れる。いやいや、これ、金欠年寄りライダーのおあつらえ向きですよね!
ジクサー150を教えてもらってから、程度の良い中古を探しながら、ホンダやヤマハなど他社の同クラスマシンも調べてみました。そしたらちょうど150クラスがなくて、125か250だったり、あってもスズキより定価が10万近く高いんです。スズキのこのマシン、非常にコスパも良いということがわかりました。
同時に、沖縄県内にスズキのバイクの販社(正規販売店契約している店)は僕が住んでいる中部エリアに1件しかなく、そこはウチから10分程度にある、よく店の前を通って気になっていた専門店でした。
ネットの中古情報は釣りばっかりでアテにならないので、仕事が休みの土曜にさっそく行ってみたら、なんとタイミングが良いことに2021年式の走行9700キロのキレイな個体が1台店にありました。その場でちょっと店の前に出してもらって、エンジン掛けさせてもらい、購入即決。自分が年度契約職員なので、12回払いにしたかったんだけど、そこで利用可能な分割支払い手段が24回からだったので、ここだけちょっと希望とずれちゃった。でも、多分、来年までは今の職場で再契約してもらえそうだから、いいかと。
Actyバンもレース仲間のクルマ屋さんに相談したら「需要がないモデル・年式だから値段つかないけど3万で引き取るよ」ってことで、廃車処分の費用もかからず頭金の足しも出来てよかった。
さて、前置きが超長かったけど、ジクサー150、とても良いバイクです。
いわゆる、ライトウェイとスポーツのネイキッド(カウリングがないオーソドックスなスタイル)モデル。なので整備性もそこそこ良い。
年式についても、ちょうどこの年式からヘッドライトがLED化され、フロントにはABSも付いた。エンジンは現行モデルよりトルク重視に設定されてて、これも排気量が小さいバイクとしてはかえって扱いやすくていい。
最後にバイク所有してたのが27歳だったからもう39年前!!! 知人のスクーター乗ったのですら30年前なので、今時のバイクを自宅に帰ってまじまじみてると、あちこちすごい現代的になっていてとにかく驚く。
まずフロントが大径のドリルドディスクでキャリパーがブレンボの小型(サブブランド)、しかもABSが付いてる。
強めのブレーキングでもフロントの握力にリニアに反応してジワッと効いていく感触が素直!
スターター付いててもはやキックペダルないし
リヤもディスクブレーキな上、7段調整付きモノショックサス
チェーンはシールチェーンなので、メンテが楽
メーターはデジタルで、クルマほどじゃないけどA/Bトリップ機能も使える
なによりすごいのがタイヤ!ダンロップのそこそこのが標準装備なんだろうけど、これが昔のレースタイヤくらいの見た目とグリップ。
まだまだ慣れなくて・・・リヤタイヤもこれくらいしか使えてない・・・(-_-)
このタイヤだと、マジでタイヤのブランド・スペックの刻印してあるとこまで使って走れそう。いやだから、そういうのをもうやらないって決めたんだった・・・
とにかく、久しぶりすぎるので、ほぼ毎日通勤や、ちょっとしたミニツーリング&回り道して走って、早く慣れようと思ってます。
でも、低速時や小回りするときの安定性とか、とっさのときの反応とか、昔のようにはまだまだ乗りこなせてません。もう命削るような攻めた走りはする気ゼロなので、そういうのは別にしても、より安全で自分の身を守れる技術についてはもっとたくさん乗って戻しておかないとね。
幸い、既に一度足場の悪いとこで止まらざるを得なくなった時、ちょうど足下ろしたとこが10cmくらい窪んでいて、立ちゴケ1度やらかしてます(恥ずかしい~~)
すぐにバイク起こして、邪魔にならないとこへ移動。車載工具使ってあさっての方向むいちゃったバックミラーの調整と再固定など、とくに問題なくスムーズにできたし、当たり前だけどセンタースタンドを立てるのも問題ない。これなら平均台や八の字押し歩きだけじゃなくてアクセルターンとかも近いうちできるかと(いや、だからこういうの止める筈だよね)
実際に走行してみると、更にこのバイクの良さを感じます。
まず非常に曲がりやすい。荷重移動やこじるような運転しなくても、マシンを傾けると、傾けた分だけクセも出さずに曲がる。
SOHC、ロングストロークのエンジンが低速トルクがあって、スタートが非常に楽な上、走り出すと5速3000回転からでも上り坂でもなければ問題なく加速する。
こういう加速時も、昔のキャブレター式と違って、燃料噴射のダイレクトイグニッションで制御されてるから、プラグが被るような兆候も見せない。
前後のディスクブレーキのフィードバックや減速力が充分ある上、フィードバックもよい。
サーキット走行のように全開走行ばかりしていたらわからないが、初回の給油時、主に通勤+1回200キロ以上のミニツーリング、約375キロ走って給油が8Lちょい。燃費が44キロ/Lと超経済的。
足付き性についても、ほぼ両足踵まで付くので薄厚シートなどに換装しなくていい。
欠点や気になるところは、大してないなぁ・・・
強いていえば、
ジクサー150は同じフレームでフルカウリング付けたレーサースタイルのモデルがあります。フルカウリングなので、ハンドルもセパレートではないですが、ネイキッドのものより少し低くなっています。なので乗車すると若干前傾姿勢になりますよね。その前傾姿勢の状態でシートにお尻の面圧が均等に分散する設計になっているようで、ネイキッド乗車時のやや上体が起きているスタイルで乗っていると、お尻の後ろの当たりがやや硬くて、1時間以上のツーリング時などあえて腕を曲げて前傾姿勢になったりします。まぁ、こういう長距離移動の際は走行速度もそれなりに速いので、風を避ける意味でも前傾気味の姿勢をとることは少なくないので、それほど気になってはいません。
あとは車重が139kgと軽いので、70-80キロ超えてるときに強い横風受けたとき、対面通交道路で大型トレーラーとすれ違ったときの風圧の影響などは、ハーレーのような低重心・重量級のバイクに比べると神経使います。でもこれも、元々が近所の通勤+たまのミニツーリング程度なので、本人が気を抜いてなければ全然問題ない普通なレベルでしょう。
これがアメリカだと、その時は400に乗ってたんですが、18輪のトレーラーとすれ違うと、瞬間外側に2m位ハジキ飛ばされてその直後はタービュランス(風圧の渦)で逆に2-3m吸い寄せられるのが普通でした。なので、前方からトレーラーが来るのが見えたら最初から路肩よりへ間を空けてすれ違うようにするなど気をつけていました。こういう環境だと、ハーレーなんかすごく走りやすいと思いますし、はやりクルマもバイクもその国の環境に即した味付けになるんだなって感心したものです。
パワーは4ストロークの150ccなので、フル加速してもちょっともの足りないです。しかしこれは僕が希望していた状況であり、150ccクラスとして遅いわけでは全くありません。むしろ、低速トルクが強い分、ゼロ発進直後の蹴り出しは下手な2スト250より楽だしひけを取らないくらい実用的です。
もし今回、同じジクサーでも250ccを買っていたら、多分、慣れてきたころにどこかでコケて、奥さんに怒られていることでしょう。今の僕にはこれ位のパワーを、気兼ねなく使い言って走る方が楽しめますし、なにしろ車検の不要な250と比べて更に経済的なので、今の目的にとても適っているバイクで、進めてくれた友人には感謝したいです。
と、こんな感じで、まだまだ充分乗りこなせていないし、現役のライダー達には当たり前すぎる話しばかりなんですが、40年振りの浦島ライダーにとっては、あらゆる面で今のバイクのすごさと、今も変わらぬバイクの楽しさに出会うことができて、通勤のための短い往復ですらちょっとしたエンターテイメント・気分転換になっています。