今年も彼岸の時期になりました。
立派な墓所はあるもの両親は他界して残されたのは妹だけその妹も
嫁ぎ参拝には誰もくることはなく線香の灰は残されたまま、墓石は
雨露に打たれ飛んできた花粉と鳥の糞で汚されたまま掃除するものもいない。
「今年は誰かくるのかな?」
「去年はあの人も来なかったし」
墓石の上でサチコが膝を抱えて座っていると隣から声を掛けられた
「さっちゃん、うちも同じようなもんだ」
さちこが埋葬された墓の隣は親戚の墓所、数年前に叔父は他界し生存してるのは息子と妻だがその妻も年老いた。妹たちは生存しているが皆年老いて自分だけでは交通手段がないので着たい気持ちはあっても訪れることは出来ない。
サチコに妹はいるが仕事の関係で彼岸の時期には仕事を休むことが出来ず彼岸が終わった頃に来る。
「献花なんかいらないからお線香だけでもいいわ」
「そうだよ墓石の掃除も不要だ、でも線香の掃除だけはしてほしい
でな」
「叔父さんそういえば聞いてる?叔母さん亡くなったそうよ」
「誰のことだい」
「叔父さんの妹さんで一番上の、あの人のお母様よ」
「本当かそれ?妹たちの中で一番長生きすると思ってたのによ」
だがサチコが聞いた話では叔母は寿命ではなく自らで命を絶ったらしいと聞いた。もちろんそんなことは叔父に伝えることはできない
事故、他殺、病死、自殺など思いがけなく死は訪れるものだから好きな人には毎年元気な姿を見せに来て欲しいとサチコは願っていた
が天命ではあと2,3年は元気な筈だった叔母が死んだのは予想できなかったことなのだ。
彼岸は季節の代わりめにやってくる。