[短編小説] 片付ける | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

物を片付ける。

次回使うとき片付けて所定の場所に置くと便利だから片付ける。

テレビドラマや漫画で同じ場所に置いてあるから勝手に整理整頓

されると困る言って片付けさせない人がでてくるがそのような人

間は稀である。いつも同じように物を置くとは限らない、例えば

本を読んで寝る前にベッドのそばに置くとは限らずテレビの前に

置くときもあるかもしれないのだ。そこで本棚にあいうえお順に

整理すると次回見つけるとき確実に探し出すことが出来る。

個人だけじゃなく万人が誰でも探しやすく置くのが整理だ。

 

さてここに詩織と勝男という夫婦が住んでいる家がある。

詩織は片付けられない性格で1~10まで揃っている単行本でさ

え読み終えると揃えるここにとが出来ないのだが夫である勝男は

正反対で飴玉ひとつでさえ容器に入れないと我慢できないマメな

男であると言える。正反対の二人ではあるがお互いの不足する部

分を補いつつも夫婦として生活は平穏だった。平穏のように見え

ていたのかもしれない。

料理は夫が大抵作っていたのだが妻の詩織も料理が出来たので夫

が忙しい時は妻が調理した、味も申し分ないし作れる料理も魚の

塩焼きから肉じゃがに酢豚やパエリアまで幅広く作れる。

 

「ブラックペッパーはどこに置きました?」

「キッチンの引き出しにあるでしょ」

「キッチン?」

 

それをいうなら流し台の引き出しにあると言えばいいが面倒くさ

い妻はキッチンと言う。

 

「キッチンとは調理場全体を指し調理場に引き出しは多数ありま

 す。もっと正しい言葉で教えてください」

「面倒くさい、私が取ってあげるからもういいよ」

 

収納には調味料ばかり揃えたケースがあるのだが使ったら片付け

られない詩織はもっとあった場所には置かず置き場所は自分で勝

手に決めてしまい整理の精神から外れてしまう。

夫が多忙な時は妻が調理すると言ったが週2回と決めてはいない

週3回のときもあり毎回翌日に夫が料理するとき夫は何からしら

探す羽目になる。

 

小さな苛立ちが重なり大きなストレスとなると噴出する機会を待

つようになるときっかけは通常ならば笑って過ごせる些細な事で

も爆発してしまう。

 

台所で夫が何かを探している。最初は静かに物を動かしていた夫

だったが使いっぱなしのお玉やまな板を見て不満が募っていった

夫は料理して使い終わると器具は洗い所定の場所へ片付け流し台

のシンクは洗剤で洗うのが日課なのでお玉などの器具類はいつも

光っていた。

 

「君はなぜ決めてある場所へ片付けない」

「あなたが勝手に決めているだけでわたしには相談してないじゃ

 ない。」

「確かに相談してないが世間一般的にどこに置くべきか決まって

 るだろう、それに使い終わって洗わないのも頂けない」

「毎日使うものだから洗うのは無駄な労力じゃないのよ」

「それは違う、感謝の気持ちを持っていつもありがとうと洗う」

 

"ガッッチャン”

皿を投げつけると皿は割れた。

「この皿も洗ってない、小鉢も洗ってない」

次々と皿を投げつけ割っていく夫に妻の詩織は呆然と見つめるだ

けだった。

 

小顔で瞳が大きい詩織はアイドルと間違えられる程の美貌の持ち

主で暴力とは無縁の平和主義者と詩織を知らぬ人からは思われる

実際、人当たりがいいし自然な笑顔は同性からの受けもいい。

見た目だけで判断されるので夫から暴力を受けたならDVとして

相談するといいと知人から言われるが当人にはそんな気にはなら

ない。周りのものは知らないが詩織には武力があるからだ。

おとなしい外見からは想像できない内に秘めた熱いものがあった。

 

割れた皿はまた買えばいい、だが世の中には二度と買えないもの

ある、夫の勝男は詩織の大事していたそれを手にかけようとし

ていた。

猫である。

猫のスザンヌを目指し勝男は出刃包丁を右手に握りしめ一歩一歩

歩み寄っていく。丸くなって寝ていたスザンヌだが身の危険を察

知したのか身体を起こして牙をむき出し唸り声をあげる。毛は逆

立ち背を丸くする威嚇の体制だ。猫の威嚇にも身を怯むことなく

勝男は出刃包丁を振り上げた。

スザンヌはこれまでかと思われたが次の瞬間勝男は背後に衝撃を

受けたようにうつ伏せに倒れた。

 

「これまでね」

 

詩織が勝男の首の裏側に延髄けりを放ち勝男は生命エネルギーが

切れた。2028年の時代は独身女性のために人造人間が開発さ

れ人間のように知能を持っているが人造人間が暴走する場合緊急

停止スイッチが設けられていた。

その緊急停止スイッチを蹴るために独身女性は一日50本延髄蹴

りの練習を強要されていたのであった。

 

この物語はフィクションであり登場する人物

団体は事実とは関係ありません