[短編小説] 展猫 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

「遅えぞ、早く砂持ってこい」

「すいません今持っていきます」

 

一輪車で砂を運ぶのが青年の仕事で路面にタイルを張る職人に届

けるのが青年の役目であるが他の作業員よりも遅い。一生懸命汗水

流して運んでいるが無駄に力をいれているのか要領が悪いのか遅い

本人は仕事を早くしたいと考えてはいるがどうすればいいのかわか

ない。

 

昼食の時間になりみんながテレビを見ながら食べているところにいつも一番最後にやってくるのが青年でテレビでリムジンにのるVIPを映していた、底辺の生活をしている青年には程遠い存在なのがVIPと言われる人間である。

”あんな人達になりたいな”

と考えるが後部座席に乗ったことがあるような記憶が青年にはあった。しかし夢やもうそうであると思っていた。実は青年は前世の記憶がっていないがそのような経験をしたことがあるのだ。

 

今日は従業員すべて待ち焦がれた給料日、順番に並んで上司から渡される、渡されるのは現金?給料明細?いや違う小さな缶である。

 

「三宅、今月はよくがんばったな。30個だが色をつけたあるぞ」

「やったぁ」

 

現金は取引されない、なぜならここは猫社会だからだ。ここで生きる者達は自分を人として考えている。人間から転生した者もいるだろうが人間としての記憶は消去されているので人間の存在が有った

え知らない。そんな青年も何も報われないまま命の灯が消えて

まったのは実に呆気なかった、工事車両のコンクリートを積んできたミキサー車の大型トラックに轢かれた。大型運転手は考え事を

いたのか眠かったのかわからないがブレーキペダルの踏み込

甘くそのせいでトラックは動いてしまったのが原因である。今

の人間社会と違いこの猫世界のトラックにマニュアルミッションはない。

 

底辺の日雇い労働者がひとり死んだだけでは事件、事故にならず現場の責任者は当たり前の様に事故をもみ消した。眼のまわりが白く頭部が黒い”のらくろ”模様の猫がまたひとり、この世界から消えた。

 

延々と続くのどかな田舎道を歩く人間がいた。薄暗いなか砂利に足をとられながら黙々と歩いている。

 

「ここはどこだろう?おれは一体どうしたんだっけ」

「そうだ大型トラックに轢かれる怖い夢を見た」

”ん、誰だあれは”

 

猫社会ではいない人族を見るのは初めてだった青年、しかも額から

角を生やした者達など化け物としか思えなかった。関わりを持ちたくない、道を変えたほうがいいだろうか?と考えていると相手の方

近づいてきた、低い草は道沿って生えているものの見通しはよ

逃げる場所は皆無で2者選択をしなければならない即ち闘うか逃

げるかのどちらかしかなかった訳だ。身構えていると相手は予測し

なかった行動に出るので青年は拍子抜けしてしまう。

 

「お帰りなさいませ、アルフケツーイ様」

「お待ちしておりましたぞ」

「ああ麗しの魔王様、お久しゅうございます」

 

膝をついて畏まる3人の物の怪だが青年は何がなんだかわからな

かった。それも当然で前世も猫族だと思っていた青年、彼等は魔王

と言ったからには自分も同族の魔族の可能性が高い。だが待て自

分は平均的な猫族で見た目が違う、きっと彼らの勘違いだろうと考

えた。

 

「何かの間違いではありませんか、顔をよく眺めてくださいよ」

 

そうだわたしは猫族の底辺、魔王などではないと思った。だがそん

事で引き下がる魔族の幹部たちではない、無言のまま黙って四

角い鏡を青年に見せ青年は驚愕した。その姿に顔の毛は無く蒼

い顔とカモシカのような角が2本でまさに魔族そのものだった。

3人の幹部押され城下町に入城すると見慣れぬ店が連なり様々

な動物の頭を持っている。犬や猫など当たり前で頭部が大きなハチ

さえいる。そんな彼等は涙を手で拭うと青年いや魔王の帰還した姿

に喜びをみせた。

 

らせん階段を登って要約宮廷回廊に入る大きなドアの前に立つこと

が出来る。回廊の白い通路は30分程度歩けば魔王が鎮座する大

広間である。大広間の裏てには魔王室への扉が待つ。出入りできる

資格は魔王その人と妻のセリナベルフィアに留まる。魔王室とは別

名魔王執務室であり魔王の職場であるので妻のセリナベルフィアと

いえども安易に立ち入る事は出来ない、二人の寝室は別にあるからだ。

 

「アルフケツーイ様奥方様がお待ちでおられます」

「わかった、今いくよ」

 

おれには妻はいないと知らんぷりをしようかと思ったが魔王の妻で

あるのならさぞや美しい筈、期待に胸を膨らませ顔が綻んでしまっ

のがあっさり承諾した理由だ。しかし会ってみて青年はがっかり

した。いきなり胸ぐらを掴まれ怒鳴られたのである。

 

 

 

「あんた今まで何してたんだ?おらぁもう一人で大変、支払いはあるわ子育てで忙しかったんだべさ」

 

おわり

 

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません