[短篇小説] 驚嘆 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
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若い時から山に登ると息切れをし人の2倍所要時間を要した、太っているのと高血圧が原因だと思っていたがコロナに掛かり重症化、自分では特に病気に掛かっておらず健康そのものだと思っていたので重症化した理由がわからない。インターネットでPAH肺動脈性肺高血圧症があると知りその予兆として息切れが起こる事から自分がこの病気ではないかと確信した。この病気、疲れやすいことや息切れをする以外身体の痛みはないので日常生活に支障は起こらないが病気だと知ってしまった以上知らなかった時と異なり疲れを自覚するようになる。

 

「小島宏樹さん」

「はい」

 

僕は小島宏樹47歳、今日は通例の薬を貰う為に病院に診察をみて貰いに来ている。

母は以前から軽度の痴ほう症になり父はというと子は父より長命が当たり前だと思っていたがコロナにより倒れそのことがショックだったのか頭がおかしくなった。

 

「お母さん、おれは心臓の病気らしい」

「そうなのかい」

 

以前ならそれは大変だとか無理しないで欲しいとか言ってくれたものだが頭にボケが入った今では反応が薄い。心臓病はいつどうなるか予断が許されないので安心は出来ないのだが家で垣根を伐採していても手伝う真似はしない母、昔なら後片付は自分がするからと言ってくれた母だが頭が変になってからは言うことはなくなった。

今年は父の頭が変になり垣根が荒れ放題で少し切るだけで切った枝の数は多く後片付けに時間が掛かるので何日かに分けてしている。

 

退院して暫くは健康そのものだった、おかしくなったのは退院してから1か月を過ぎた頃丁度垣根の剪定を始めた頃だろうか我が家の垣根は農家なので長く毎年伸びてくると父が切っていたのだが今年はボケが入り伸び放題で車道の路側帯まで伸びる始末しかたなく小島が刈った、小島宏樹は以前にも増して疲れやすくなって1時間仕事をすると身体が拒絶反応を起こし仕事ができなくなったいた。垣根の選定を半分くらい終わった頃だろうか小島は倒れ救急車で搬送された。救急車を呼んだのは近所の人で両親は家にいたにも関わらず放心状態で母親は何がどうしたのかわからぬまま救急車に乗った。病院でどうして自分がここに居るのかわからない母親に息子である小島は通院を告げられ母を連れて帰宅した。2度と倒れまいと1時間をメリットに仕事を切り上げ何事も起こらない日々が続いたが1週間過ぎた運命の日、再び小島は倒れっ救急車に乗った、その時点で呼吸はしていなかったようで偶々遊びにきていた姉が心配そうに見ている。救急隊員が蘇生措置をしてみてもやはり意識は戻らない。

 

「もう駄目かもしれないな」

「おい、よせよ」

 

姉はタクシー会社に電話をしなかった。父は運転が出来るものの口で目的場所を教えても道順がわからないところまで痴呆症は進みタクシーを呼ばなければ病院までこられない、母を病院へ呼ばないのは小島が多分もう戻らないと覚悟があったからである。医師から呼ばれリモコンがいくつもついたベッドは電源が切られ白い布を掛けられた小島宏樹が寝ている、医師は白い布をゆっくり捲った。

 

「ご臨終です、最後の挨拶をしてあげてください」

「先生、ありがとうございました」

 

姉の瞳から一筋の聖水が流れしばらくは呆然としていたがやがて実感したのか小島の身体に顔を埋め泣き叫んだ。心が落ち着くと電話を掛けなければいけないと思い携帯電話で自宅に発信したのであった。

 

「もしもし あっお父さん」

「未矩(みかね)、宏樹が先程から姿を見てないのだが知らないか」

「宏ちゃんは死んだわ」

「なんだ死んだのか」

 

人ごとのように言う父親、コロナで宏樹が倒れた時泣いた父親だがボケてるとはいえあまりの代り様に未矩(みかね)は悲しくなった。実家へ戻りこれからの事を話さなくてはならない、多分葬儀の手配は姉の未矩(みかね)が全てすることになるだろう。父と母は和風の家、和風の昔囲炉裏を使ったであろう家の中は板が走る天井を黒く焼いていた。和室の部屋はテレビだけが置かれる畳敷きで10畳、後はなにもない広間に座布団を敷いて座る。テーブルの代用として以前は掘りごたつだったが電気炬燵に変えて年中置いてある。

 

「葬式のことだけどさ」

「葬式って誰のだ?おまえ知ってるか」

「さぁ」

「宏樹が死んだっていったじゃない」

「お父さん聞いてた?」

「そんな事も言ってたな」

「宏樹、死んじゃったのか」

 

母親の千夏は笑っていたが目は涙で光っていた。未矩(みかね)は夫で荒木厳太郎(あらきげんたろう)に電話連絡し荒木が来てから葬儀を相談することにした。荒木が来る間、外国へ出張している荒木の娘にも宏樹が死んだと連絡を入れる。宏樹のパソコンから知り会いである雪つばめやおかみさんにもメールで宏樹が死んだと連絡した。宏樹が死んで家族葬の場合には早く先方に連絡しなければならないので夫が帰宅してからコロナの影響も考慮し家族葬を選んだ。

 

「家族葬にするつもりだけどどう?」

「いいんじゃないか、おまえに任せるよ」

「お父さんがいいというならわたしに問題ない」

 

家族葬を嫌っていた父だが家族葬自体を知らないのか気の迷いかは知らないが取りあえず許可は貰った。しかし葬儀当日事態は思わぬ方向へ進み父の怒りは覚悟していたことで家族葬儀には反対していたのだ。

 

「こんな葬儀は中止しろ」

「おじいちゃん、家族葬儀とはこれが当たり前なんだよ」

「じいちゃん、コロナ禍では家族葬儀にするのは当たり前なんだよ」

「今更中止にはできないわ、気に入らないなら出て行って」

「叔父さん方も義理で参加してるのでしょうけど家族葬儀なのよ」

「失礼じゃないか来てあげてるのに」

「家族葬儀とはこういうもの、来てしまった以上追い返すことはしない」

「気に入らないなら帰って貰っても困らないわ」

「失礼しようじゃないかみんな」

「わたしは残るわ」

「ごめんなさいね、兄に同調しちゃって」

「ごめんね僕も家族葬儀がどういうものか知っていた」

 

宏樹は生前から曲がった事が大嫌いでそのことは姉である未矩は知っており宏樹の為に葬儀の席で怒りをぶつけた、未矩(みかね)は普段間違っていても心に留めるだけで人の葬儀であるなら責める事はしない人間だ。

 

「宏ちゃんこれでいいかな」

「宏樹くん、姉さん頑張ったよ」

 

未矩(みかね)は宏樹の遺影が笑った気がした。

 

おわり

 

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません