[仲編小説] 昇霊 序章 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
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外は雨、春分を過ぎて季節の移り変わりだろうか時折雷の光が外を映し出す。豪雨が凄まじい音を立てる中、わたしは森の中で女性とデートをする夢を見ていた。いつもは必ず電源を落とす携帯だがその日に限り電源を消さなかったようで深夜だというのに携帯の着信音が鳴り続けた。

”ピリリリ、ピリリリ”

わたしは登録していない番号は着信拒否にしている為電話が掛かってくることはない、しかし今電話が掛かっているということは電話帳に登録してある人から電話ということだ。

若い娘と全裸で森の中を駆け巡る夢にわたしは夢中だった為目覚めることはしなかったがその間も携帯の着信音は鳴り続ける。

”ピリリリ^~ピリリリ、ピリリリ”

タイマーのアラーム音もそうだが携帯の着信音てやつは神経を逆なでするものでわたしはその音に無理やり素敵な夢から目覚めさせられた。

 

「誰だ、こんな夜中に”もしもし”」

「もしもし幸那(ゆきな)の母ですが娘が38度の高熱でうわ言のようにあなたの名前を呼んでいます、一度家へ来て貰えませんか」

「今急には福岡まで行けませんので明日のあさ発つというのではいけませんか?」

「う~ん、仕方ありませんそれで結構ですからよろしくお願いします」

 

わたしは幸那(ゆきな)という女性とは恋人関係ではなく電話に番号を登録してるものの数回しか電話で話した事がないし住所は知っているので地図検索から家の外観も見たことある。しかし10年にも上るネットだけのつきあいだが家を訪問したことはない。海が近くさ里山のような低山もある自然豊かな場所に暮らしているようだ。

翌朝、わたしは飛行機の中で幸那はなんの夢をみていたのだろうかと考えた。まさかとは思ったが私の名前を連呼するというので”あの最中”かと考えるのは下衆な男の考えそうな事の定番であるまいか

福岡空港からどういけばいいか、わたしには自信があった。以前パソコンで家までどういけばいいかどう乗り継げばいいか地図上で確認したことがある、だが実際にやるとパソコンで見た通りにはいかないもので最初の電車までは良かったが乗り継ぎの段階で逆方向の電車に乗ってしまった。だがはじめての場所では地名がわからずわかるのは福岡市だけで○○方面と見てもわからないし東西南北もわからない気づいたら福岡市まで15分のところまで電車を乗って要約気が付いたが時既に遅し、幸那の住む家まで倍所要時間が掛かった。

昼近くになってしまい母方から激怒されるだろうとドキドキしながら家の門を叩いた、いや門では無くカメラ付きインターホンのボタンを押しただけなのだが。

 

「どのようなご用件ですか」

「昨晩電話でお約束した魔黒ですが遅くなり申訳ありません」

「はぁ?昨晩はどなたともお約束はしておりませんよ」

「そんな馬鹿な・・・とにかく娘さんに会わせてください」

「娘は高熱で寝たきりですから会わせることは出来ません」

「どこの馬の糞とも判らぬものを家へ上げると亡くなった主人に怒られます、お帰りください」

「馬の糞って、娘さんの誕生日にネックレスを贈った魔黒ですよ、まだわかりませんか」

「ああ、そんな事もありましたね。娘からネックレス貰ったからと嬉しそうに見せられたことを思い出しました」

「あなたがその魔黒さんだと?」

「おかぁさん、煩い誰か来たの」

「自分を魔黒さんだと言い張ってるの、わたしが電話掛けたから来たと言ってね」

「お母さん電話したの?」

「しないわよ電話番号知らないから掛けられる訳ない」

 

熱があり身体がだるいのかやっと歩いてきた幸那(ゆきな)がドアの隙間から覗くのが見えた。彼女との対面は初でお互いの顔は知らないがはじめて見る彼女の顔は小顔で可愛く熱の所為で紅潮した顔に憂いを含んでいた。薄い身度色に子犬のキャラが入ったパジャマが良く似合うと感じた。

”普通じゃない並み以上の容姿じゃないか”

幸那はわたしに常々自分はふつうだからとか顔写真をみせるとお目汚しになるからと言い訳し自分の正体を有耶無耶にしていたのだ。

 

「まあ兎に角家へ入って、わたしまだ熱があるの」

「手土産持って来るの忘れたよ」

「いいよ手ぶらで特にTバックのぱんつなんていらんわ」

「しまった忘れていた、Tバックを贈るのが夢だったのに痛恨のミス」

「煩いわ、とにかく上がれ」

 

彼女の部屋は2階でしっかりした作りで木目が美しい階段を上がって行くと昇る途中で奥の部屋が見え髪の長い長身の女が佇んでいるのが見えた。

「どなたか来客中だったのに悪いな」

「そんな筈はないよ、今日はあんた以外に誰も来ていない」

「いや今奥の部屋の前に髪が長い女が立っていた」

「奥の部屋?というとキッチンか、ちょっとやめてよそんな事言うの」

幸那はふとんをめくりベッドの中にはいるとテレビのスイッチを入れた。

「もう寝た?昨晩夢の中でおれは激しかった?」

「ブッ、何を言うのかと思えば。」

「あんたとはそういう感情は芽生えません」

「じゃなんで夢で俺の名前連呼したんだよ」

「電話があったって嘘じゃなく本当なの?」

「嘘だったら今頃福岡に来てないわ」

「それもそうか・・・でもお母さんに電話できる訳ないし」

「幸那の生霊が電話したんじゃないの」

「わたしかぁ、でも電話して話す事ないよ」

 

女性からそう断言されると哀しいものだ、心が沈む前にわたしは閑話休題した。幸那というのは話の途中で腰を折り話題を変えるのが得意で知り会って何年知りたい事、訊きたい事をハグラカセられてきただろうか。

 

「でさ、なんの夢みたんだ?」

「しつこいよ、頭痛いのに・・・・」

ベッドで上を向いて寝ていた幸那は覚悟を決め顔を90度向きを変えてこちらを向きわたしを睨んではなしはじめた。

「恥ずかしいんだから笑わないでよ」

「それは期待だな、でも笑わないから」

「わたしはなぜかシーズーの着ぐるみを着ていたんだ、四つん這いでいると魔黒さんが鞭で叩くのよ。何故って言葉が相手には聞こえないようで叩き続けるの」

「幸那ってマゾだったんじゃないか」

「おいおい、そんなことあるか~」

 

わたしと話したことで幸那の顔色はよくなって呼吸も落ち着いてきたようだ。折角体調が回復しているのに先程の女が良くない霊だとしたらと考えると今は髪の長い女のことを話す」のは賢明ではないと考え幸那が話しださない限りその話題は切り出さないことにした。幸那の父親は事故死でありその事故も悪霊に関係がないとは言いきれないものがある。しかし乍ら今日は観光ではないので日帰りしなくてはならなかった。後ろ髪を引かれる思いで福岡空港を後にした、坊主頭なので後ろ髪を引っ張られる事はなかった。

帰宅し部屋の電気を入れるとLED画面にわたしが反射して映るのはいつものことだがよく見るとわたしの背後に髪の長い女が立っていた

”もしや連れてきちゃったのか”

そんな時に突然携帯の着信音が鳴り響くものだから身体が驚きでビクっっとした。呪の電話かと考えると素直にでることは出来ない。そして突然の停電で部屋は真っ暗になる、どうやら東北で大きな地震が発生した模様。地震は後になって判明したことだった。

箪笥の引き出しをあけてヘッドランプを点灯させ鳴り続ける携帯電話を見ると相手は福岡在住の幸那からのもので霊からの電話ではない事に胸を撫で下ろしほっとした。

「もしもし、どうしたの」

「ありがとう、とにかくお礼が言いたくて」

「それどころじゃない、今こっちは大停電でまっくらじゃ」

「ありゃりゃ」

「魔黒さんが来てくれたお陰で母の肩が重いという持病が治った」

「え?おれの行ったことに関係あるのか」

 

そこで電話は切れてしまった、どうやら幸那は悪霊が家に憑いていると知っていた模様、いい厄介払いが出来たと感謝したようだ。あっちはこれから幸福が待っている、それに対しこちらはどのような凶行がくるのか不安は深まる。不安は残るが憑かれたのは過去にも数回あるので今回は何をしてくれるものかと期待する想いもあった。

 

つづく

 

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません