[短編小説] 輪廻 | 妄想小説日記 わしの作文

妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

わたしは幼いときに海で溺れ死線を彷徨った経緯があり其のせいで死者の声が聞こえる。年齢を重ねその能力は悪化し地獄で血の池

を経験するに至ってしまった。殺伐する現代社会に於いては信仰心

は薄れ天国や地獄は存在しないとする風潮が蔓延してるが地獄は

確かにあるのだ。わたしは血の池に浸かり腕の血管に沿って進む

虫がいるのを見た。あるときは腕の皮膚を食いちぎり穴を開けそこ

から頭を出す蛆。足の腿まで多数の蛆が這い上がり皮膚の中へ

侵入する蛆、一匹や2匹ではないから精神に異常を来すのだ。

 

また天国らしき場所に行った時は一見ごく普通の水たまりなのだが

浅い水たまりには大きな錦鯉が多数泳ぎ回っていた。そこで釣りを

してしまったら怒られてしまった。そこで弥勒菩薩と知り会った訳で

それから数か月後、わたしは神殿に行くことになる。

歴史的な人物の墓参りを続けていたからかわからないが神殿に呼

ばれ感謝されたのである。その縁もあってか最近再び神殿まで行

き相談された事案がある。わたしが神殿に到着すると弥勒様は客人

と会合をしておりわたしもその会合に参加する運びになった訳だ。

平安時代の貴族が着るような衣装を纏ったおばさんと黒ずくめの服

を来た髭を長く伸ばしたおっさんがそこにはいた。

 

「近頃自殺者が後を絶たず仕事が捌ききれないのでなんとかして頂

 きたく申し上げます」

「我も賽銭が減少し眷属がヒモジイのじゃ、どうにかしてたもれ」

「信仰心がなくなった人間にも困ったものです」

「人間として其方にはいい考えがないですか」

話を聞いているとこの場にいるのは神々のようだった。だがそれが

どのような神かまではわたしにはわからない。会話の内容を聞くと

どうやら自殺者を減らしたいように聞こえたのでわたしは案を出した。

「そもそも地獄など存在しないと考えているので自殺するのです」

「現代人は死後などないと考えていますから地獄へ落としても解決

 しないのですよ」

「だが自分で命を閉じるのだから罰は必要だ」

「一理ありますが現状続けていても増えるばかりです」

「それはそうなのだが神の摂理を変える訳にはいかぬ」

「地獄へ落とさず転生させては如何です」

「すぐに転生させては罰にはならぬではないか」

「いいえ転生させても同じ人生を送らせるのです、輪廻ですね」

「人間は次の人生には同じ過ちをしないと思って生きていますが人生

 を変えさせないのです」

「それは苦しいと感じるものなのか」

「例えば30歳で自殺したとします、それまでには失恋もあり解雇も

 あったでしょうし金策に苦しんだ時もあったでしょう。もしかしたら

 小学校でいじめにあったかもしれません。そのすべてを再び経験

 させるのです、これは地獄より辛いかもしれません」

輪廻とは巡り巡って同じ人生を歩む事なのだ、それは何度も何度も

人生を繰り返す。天国の生活を終え転生したものは人生をやり直す

機会を貰えるが自殺者には与えないとするのだ。

「しかしだ、転生したらこれが自分の人生と思うのではないか」

「前世の記憶を消すからそうなるのです、自殺した記憶、なぜ自殺し

 なければならなかったのかその記憶も残すのです」

「だがそれは自殺してから後悔する事で自殺をやめようとは思わぬ

 のではないか」

「そこで役立つのが広告塔であります。高僧や霊能者たちに自殺した

 らどうなるのかを説くのです」

神々はわたしにその広告塔にと頼まれたがわたしはそのような仕事

をしておらず一介のしがない中年男なので世間に対し影響力はない

と丁寧に断った。

 

著名な霊能者はある晩夢をみた。その夢に現れた男は泣き叫ぶ。

「何度も何度も同じ死に方をした、辛く苦しい、何回この苦しみを味わ

 っただろうか。自殺しなければ良かった」

 

おわり

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません