祐一は今日、出版社へ担当の編集者と打ち合わせするために来社
していた。そこで編集者の小早川から新人編集者の紹介をされた。
まだ20代前半の大学を卒業したばかりの青年を見て祐一は普通に
結婚してたらこの年齢くらいの子供がいたんだろうなと考えた。
「祐一先生、この度うちに配属となった桜井達夫くんです、よろしくお
願い致します。いずれは先生の担当になるかもしれません」
「はじめまして桜井です、よろしくお願いします。」
「祐一先生、質問したいことがあるんですが言ってもいいですか」
小早川は新人の癖にいきなり祐一先生と言ったことに遺憾を抱く
一般常識では若輩者は年上に対し苗字を言わねばならない。まして
祐一は桜井より自分の父親に近い年齢をしている。
「おい、おまえが祐一先生と言っては駄目だろ、六芒輪先生とこの場
合は言うべきだぞ」
「まあいいですよ小早川さん、それで聞きたい事って何かな」
「僕は先生の本を読んだんですがなぜあんなキレイな奧さんと結婚出
来しかも愛されている秘訣みたいなものは何でしょうか」
祐一は苦笑いしているが内心では失礼な小僧だと感じていた。
だが一般若者の考えていることは道理であった、由美はスタイルも良
いし容姿はモデルや女優と言われても誰も疑えないくらいの美形であ
る。それに対し祐一はどこからみても冴えない中年労働者。
「君はぼくがモテル様な事を言ってるが女性にモテタ事は無いんだよ
でも自分が知ってる範囲で言うと女性は男が思ってるほど女神様じゃ
ないんだよ、たとえモデルをしている綺麗な女性でもね、澄ましている
ように見えても実は臆病で繊細なのさ。かと言って無暗に優しくするの
は間違っているんだ。普通に接すればいいのさ」
「ですが先生、キレイな女性を前にして照れるのは当然ですよ。普通に
なんて無理な相談かと思いますよ」
「まっ若い男性ならそう思うよね、女はね変身するんじゃないんだ。化け
るんだよ。うちの嫁なんて夜になると目は切れ長に変わり、唇は不気
味に微笑んでまるで繁殖期迎えた女豹のようになるからね」
祐一は調子に乗って自分のシャツをまくり上げ傷跡を見せた。
「桜井君、これなんで傷になったかわかる?」
「さぁ猫に引掻かれた後ですか」
「違うこの傷つけたのは妻の由美だよ」
「本当ですかそれ」
「ああこれはね妻に爪を立てられ出血した後なんだよね」
小早川はその姿をを見てそれを人に言ってはいけないと思った。
「先生もうその辺でおやめになったほうが・・・」
その後も祐一は由美を暴き続ける話を聞かせて続けた。
数日後小早川と桜井は祐一と由美の住む大井町の家を訪問した
すると祐一は出かけていると由美から言われ帰ろうとしたのだが
桜井はぼそっと呟いてしまった。
「あんなにきれいなのに夜になると女ヒョウに化けるのか」
小早川はしまった!と思ったが既に時遅かった。
「な、なになに、もう一度言ってみなさいな」
「だからですね、女豹に化けるのだと」
「あん!なに、なに、なに、何言ってるかわからないんだけど」
由美は怒鳴って言ったわけではないだがその言霊の強さは聞くもの
にとって畏怖すべき迫力があった。内なる魂に直接語り掛ける強者
の叫びとも思えた。桜井は黙り全身の毛が凍り付いた。
「申し訳ありません由美さん以後気をつけますので」
小早川は上司として桜井の失態に対し謝罪した。
「謝って欲しいとは言ってないわ、誰にそんなことを聞かされたの」
丁度そこへ運悪く祐一は帰宅した、無論桜井は「あの人」と指さした。
「ゆういち、ちょっと来て」
何事かと祐一が駆け寄ってくると由美は祐一の胸ぐらをつかみ締め
上げた。
「あなた!ひょっとして編集部でわたしの淫らな姿を教えたんじゃない
でしょうね、聞いてるの?キ・サ・マ」
「あれ、ついうっかり」祐一はやばいと思った。
「あのさぁいつも言ってるよね、人に言わないでって」
「おまえ、いい加減にしろよな」ここで由美の口調は変化した。
「ごめんなさい、もうしません」誤った、とにかくあやまった。
桜井は二人のやり取りを見て怖い奧さんだと思ったがそれ以上に
夫婦が仲睦まじく過ごすには夫は妻の尻に惹かれた方が幸せに
なれると考えていた。
それから二日後、今日は祐一と由美は珍しく畑で一緒に作業をして
いた。祐一は鍬で柵を切る、柵を作るために掘っていた。ジャガイモ
を植えるために今日は4柵きる必要があってタオルで汗を拭うと
「由美疲れたんでちょっと休むよ」
「え、もう休むのまだ早いじゃない」
由美はその間も防虫薬を撒いてから切ったジャガイモを置いて土かけ
している。草除けのために山かけしている、さくるのだ。
ただ休みながら祐一はある一点を凝視していた。
”やっぱいい尻してるなぁ”と思いながら見つめる由美の尻。
由美は足を開き屈んだ体制で作業、体の線がよくでるスキニーパンツ
を履いていたので丸みを帯びた桃肉のような尻は目立っていた。
「ちょっと何見てるの?」
由美の叫びに祐一は”はっ”となった。
我を取り戻した祐一は目線を変えた、変えるとそこではじめて隣にも
男が立っていると気づいた。
「あ、こんちわ三郎さん。今日も暑いですね」
「祐ちゃんジャガイモかがんばるね~」
「祐ちゃん今日は由美ちゃんと一緒かい仲睦まじくていいやね」
「あれ耕作さん、いつ来たんですか」
由美はこの3人は何考えているのかと思った、挨拶し合ってる場合か
今は謝るところではないのかと考えていた。由美は尻を突き出してい
る時に3人の悍ましい視線を感じたから振り返ったのだ。
「ちょっと、三郎さんたち今わたしのお尻見てたでしょ」
「いやぁ、その由美ちゃんのお尻はいい形なんで」
「悪いんだけど二人は帰ってくれるかしら、仕事の邪魔」
二人が帰ると由美は祐一を不満げに見た、自分の愛しい妻が嫌らし
く視姦されてるというのに守らなければならないところを一緒になって
見続けた夫。
「なんであの二人を怒ってくれないの」
「いやぁ、だって気持ちはわかるから。それに周囲みる余裕なかったし」
「・・・気づいてなかったんだ」祐一に呆れ返った、だがそれほど夫は自
分のお尻が好きだとわかると嬉しい気持ちも湧き出て由美は微笑む。
ある日のこと、一人でTVを見てると居間で夫婦楽しく晩酌をするドラマ
を見て祐一は気が付いた、自分の妻と家で晩酌を今までした事がない
祐一は人並みには酒を飲む、飲み会だって参加し編集者と飲み会を
したこともある、その席で由美と一緒に呑んでみたいと言われた事も
ある。それで祐一は由美を誘ってみようと考えた。ある日曜日、由美が
パートから帰宅すると祐一は話しかけてみた。
「なぁ由美、今度家で晩酌してみないか」
「う~ん、わたしお酒あんまり強くないんだよね」
「でもビール1杯くらいなら平気だろ、オシャレなワインでもいいよ」
由美はオシャレと聞き以前同僚からオシャレなバーで飲んだと言われ
興味を抱いたことがあった。だがそんな由美には以前父からおまえと
はもう酒を飲まないと言われたトラウマがありそのせいで同僚と飲み
会へ参加したことがない、忘年会もジュースで過ごした。再び聞いた
オシャレな酒に再び興味を抱く由美だった。
「オシャレなワインかあ、それなら飲めるかな」
由美は知らなかった、ビールよりワインの方がアルコール度数が高い
「じゃ今度買ってくるから一緒に呑もう」
数日後祐一は酒屋からマルティにという黒いボトルのワインを買って
きた。グラスにそそぐと黄色見かかる透明の酒が泡立ちをみせた。
「飲む前に祐ちゃんに言っておくことがあるんだ、以前ね父と飲んで
翌朝、おまえとはもう飲まないと言われた事があるの」
「理由は聞かなかったのか」
「教えてくれなかったの」
この手の場合、ふたつの理由が考えられる。酒豪か酒乱か。
由美は1杯飲むとすぐに真っ赤となり呂律が回らなくなるがそれで
もお代わりを要求した。2杯目を飲み干した時由美は急変した。
由美は来ていたブラウスを脱ぎだし祐一の前にレースをあしらった
ブラジャーを露出させ由美は胸を揺さぶりながら祐一の顔へ押し付
け迫っている。腰に手を置き上から目線で言った。
「どうだ、こんなきれいな身体がすべておまえのものだ。嬉しかろう」
逆らうのは得策じゃない、祐一は下出にでてみる。
「ありがとうございます奥様」
「奥様じゃない、女王様だ」
「この豊満な尻もおまえのだ、自由にするがよい。尻が好きなんだろ」
「いえ見てるだけで幸せです」
すると由美は突然泣き出した。祐一が尻を触ってくれなかったのが悲
しかったのか涙をだして泣いている。
「なんであの男たちに襲われたとき助けにきてくれなかったの」
「おまえが秘書で囚われていたことを知らなかったんだ」
由美は不可解な顔で祐一を見つめた。
「秘書なにそれ、わたしが19歳のときにだよ」
祐一と由美がブログで出会ったのは由美が24歳の時だった。
「無茶いうなよ、出会う前じゃないか」
「ゲートを使えば異次元に移動できるんだよ、知らないの」
まるでアニメの主人公、そんなことは一般人にできることではない
「おまえ無茶苦茶だ、おれにできるわけないだろ」
祐一がそう拒否する言葉を告げると由美は再び泣き出した。
「祐ちゃんはぁ、私の事がすきじゃないんだ」
祐一はやれやれと思ったがもう少し聞いてみると由美は
「あのね、わたし普通の奥さんみたいに愛しい旦那様に愛妻弁当を
持たせてあげたいの、でもね・わたしお料理がぜんぜんうまくなら
ないからごめんね祐ちゃん」
これは由美の本心だと祐一は思った、酔っぱらったことで今まで言
えなかったことが噴き出してきた。料理ができないことを妻の由美が
ずっと悔しく思っていたことをはじめて祐一は知ると心の線が熱くな
り祐一の目には涙が光った。
「馬鹿だな、料理なんて作れなくったって由美は手が汚れても平気
で畑仕事してくれてるじゃないか、腰が痛い筈なのに堪えている
ぜんぜん愚痴にすることはないじゃないか。きみが傍にいてくれる
健康で元気な笑顔をみせてくれるそれだけで十分幸せなんだよ」
由美は泣きながら祐一に抱き着いた、力一杯抱き着いて頭を祐一の
胸にうな垂れた。思いっきり泣くことで酔いがさめ正気を取り戻した
のか祐一に語りだした。
「あのね、とにかくありがとう。記憶がないけど嬉しい言葉を貰った
気がするの」
「おまえ、酔いから醒めたのかい」
「うん、ていうか酔っていたのかなぁ」
大変な目にあったと思ったが酔ったおかげで由美の本心が聞けて
良かったと思える、また一緒に晩酌すればまた違った本心が聞ける
と考えた祐一は由美にありのまま伝えようと考えた。
「由美、わけがわかったよ」
「え、それは何、教えてくれる」
「おまえは酒乱だ」
「・・・」あまりの予想外な答え、驚き声も出ない。
「おまえは下着姿になっておれの顔に胸を押し付けこのキレイな身体
はおまえのものだ、尻も触るが良いって」
下着姿で迫った事実さえ由美は恥ずかしかった、なのに良いって、何
それじゃまるで女王様じゃないと由美は両手で顔を隠し赤面した。
「あとね19歳の時になんで助けに来てくれなかったと怒られたよ」
「う・そ、なんでそれを祐ちゃんが知ってるの」
由美は19歳の時に男二人に襲われ股間の膜を破られた過去がある
それを祐一に話したことはない。
「なんで知ってるって、由美が異次元に行く技を使えば助けにこれるっ
て行ったから知ってるんだ」
「ええそれじゃまるでわたし、オタクじゃない」
まったく記憶がないのに自分の知らない事を言われ由美は穴があった
ら入りたい心境だった。まさに信じられない事だが祐一が話したことが
真実であれば父に言われた事も納得できる、由美は思った。
”父に一体何をしたんだろう”
「とにかくだ、また晩酌やろうぜ」
「えーやだよぉ、また恥ずかしい姿みせちゃうじゃない」
「だったら記念に撮影しておこうか?将来ナナにみせるために」
「ちょっと、やめてよね」
写真を撮影しとけば記録になる、恥は一時と言う人がいるがこの場合
写真がある以上永遠に続く、恥ずかしい想いをすれば少しは前向きに
なるだろうと祐一は考えていた。それに対し写真を由美に見せたら私
は一生笑いものだと思っていた。
「ぼくの可愛い奧さんは欠点が多い、だけどその欠点を努力して直そう
としてるとおれは思っているんだけど、それは違うのかな」
「・・・うっそれは」
「可愛い娘に自分は酒乱ですって言うつもりなのか」
「わかった、わかりましたよ。でも直すの協力してくれるのよね」
「お任せください奥様、一緒にがんばろう」
「うん、旦那様」
由美は心の中でありがとうと叫んでいた、そして愛してると。
この物語はフィクションであり実在の
人物団体には一切関係ありません
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