[短編小説] 不幸な思い込む人々 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

思い込み、それは視野を狭くする災い。

 

機械部品を探す際部品名を見て形をイメージし探す

だが実際探してみるとイメージした形ではなく見つ

かることがない、イメージしなければ見つかったかも

しれないのに。また恋愛の場合だとあんな美しい人

が自分なんか相手にしてくれるはずが無いと勝手に

思い込んでしまい勝手に諦める、意外と好意を持たれ

ているかもしれないというのに。

この物語は思い込みによる不幸な人々の話である

 

「おいちょっと、ドレッシングがみつからないんだけど

 どこにしまったんだ?」

 

「またないの?まったくもう」

 

「ほらここにあるじゃない!どうしてわからないの」

 

キッチンで片付ける妻、それを探す夫

ひとつひとつ探せば見つかっただろう、だが夫は

自分の思い込みで”あそこにある筈だ”と思い込み

見つける事ができない。見つける事ができないと

ストレスが発生し怒りを妻にぶつける夫、そして

自分に手落ちはないのに怒られて妻もストレス

を感じて食事の度、このようなやり取りを繰り返す

 

妻である美佐子は夫に対しある不安を抱いていた。

自分の使いたいものが見つけられない事に対して

夫が心配なのではない。思い込みによって現実に

見えるものが当人には違うように見えているのでは

ないかと思う節が夫にはあるのだ。

 

先日のことである。夫の雄一が帰宅すると玄関から

なかなか上がってこない、美佐子が疑問に思って

近寄ってみると夫はなぜか驚いた顔をして立ち尽くし

ていたのだ。

 

「あなた、一体どうしたの」

 

「なんで家の中にトラ(虎)がいるんだ」

 

夫の視線の先にいたものは自宅で飼っている猫の

赤トラ、だが夫は本気で驚いている。

 

「何を驚いてるの、猫の花太郎くんじゃないの」

 

「うそを言うなよ、どう見てもベンガルトラじゃないか」

 

この時点では笑い話として済ませたのであった。

ところがおよそ2週間前のこと美佐子は深刻に悩む

事となる出来事が起こってしまったのである。

 

休日のよく晴れた朝、二人で散歩しようということになり

家から近い農道をハイキング気分で歩くことにした。

田植えが終わったばかりの田んぼは水を張って鏡のように

何もかも映し出す水田、そこに植えた苗の緑色が美しい

カラスたちは自分の姿を確認するかのように低空飛行

心が癒される瞬間である。

 

農道を歩いていくと今度は高く育ったとうもろこし畑が

目についた、風に揺れてなんとも涼し気。

土と砂利で構成された農道から舗装されたアスファルトの道

を歩いていく二人、一般車が通る公道ではない。

広域農道と呼ばれる農道で地域の住民も通る整備された道

T字を右に曲がると舗装はされているが道幅は狭い

 

曲がってすぐ遠くに何かが農道の真ん中に立っていた

夫の雄一は右手を上げて妻美佐子の歩行を妨げるように

した。

 

「何?どうしたの」

 

「危ない、このままじっとして動いては駄目だ」

「肉食獣は動くものに対し過敏に反応するから」

 

「はい!?」

美佐子には前方に立っているものは”青サギ”と

見えているのだが夫には違うものに見えてるらしい

そこで美佐子は夫に訊ねてみた

 

「前に何がいるの」

 

「驚くなよ、プテラノドンがあそこで待ち構えている」

「草食動物の瞳は煌いているが肉食は違う、やつら

 の瞳は鈍く光り濁った黒目が素早く動くんだ」

 

信じがたい事だが夫の目には翼竜が現実にいる

のを見てるかのように繊細に説明した、妄想とか

見間違いではなく夫には今みえるのが現実なのだ

しかしこのまま逃げては夫の見ている風景が真実

なのだと同意することになると思った妻の美佐子は

夫の恐怖をとり除く行動を取らねばならない。

 

「美佐子やめろ~」

 

夫の制止を払い美佐子は前方に向かって駆け出した

驚いたのは青サギの方で鳥なのに”ギョッ”としたのか

「あギャーーー」と叫び飛び立ってしまった。

この日は早々に散歩を中止して帰宅したのである

 

季節は長雨の梅雨シーズンを過ぎて被害が多発した

台風シーズンを乗り越え残暑が残る10月初旬

夕暮れ迫る食卓でディナーを迎えようとしていた夫妻

 

「あなたマヨネーズはどこ?」

 

「冷蔵庫の一番下にあるよ」

 

「あった!」

 

半年前の食卓とは一変したのである、以前は夫が妻に

聞いていた事だった。今は立場が逆転した

 

夫の精神疾患を心配し医師にもっみせた、専門家にも

相談したが思うほど効果が得られず悩み続けた。

そんな時あるブログを読んで記事に共感をする

「思い込み、それは固定概念が存在するから目で見た

 ものを妨げてしまう、思い描くのを捨て現実を観る」

美佐子はまさにその通りだと思った

 

そして美佐子は夫の生活習慣を変える計画を立てた

1週間毎日、調味料の後片付けは夫にさせる

たとえ遅刻しそうになっても残業で疲れていても

例外は許さず夫に片付けてもらう、続ける事により

頭じゃなく身体に覚えてもらうとの思いが妻にはあった

 

夫の思い込みを減らす為、夫の知ったかぶりや予想

など事実無根とも思える行為、言葉は跳ね返したのである

結果、夫の雄一は目で見えるものを信じる様に変化

今の雄一に妄想はまったく見えることはない

 

思い込み、これは直せる病気なのです。

ちょっと時間を無駄に使うだけで結果的には迅速となる

”時間がもったいない” ”無駄なことはしない”

そう思っているあなた、ご注意を

 

 

この物語はフィクションであり

実在する人物、団体には一切関係ありません