短編小説 転職先は雪工場 中編 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

家に帰っても何もやることがない不毛作だったので
もう少し詳しい話を聞きたいと面接を願い出た。

「面接?不要です、不安ならば職場を見に来ては」

「こんな訳がわからない中年男でもいいのですか」

「雪の中、ただ立っているあなたを見て十分に
 人間性を理解したつもりですがそれでは不十分だと」

それでも履歴書くらいは渡そうと思い懐から封筒を出して
男に履歴書を手渡すと見てもないのに男は
不毛作の履歴書を両手で丸めて道路わきに捨てる

「あ・・・俺の履歴書」

捨て去られた履歴書を気にする不毛作を無視するかの
 様に自分の車に連れて行くシルクハットの男。
今時こんなシルクハットに黒いマント、乗馬で使う様な
ブーツを履く男の容姿に不信感は拭いきれない不毛作
どう考えてみても怪しすぎる男
それでも面接を落とされ続けてきたからか判断を誤る。

捨てられた不毛作の履歴書はどうなったのか
不思議な事に投げられた瞬間に凍りつき道路に落ちた
 と同時に粉々に砕け消滅していた

シルクハットの男は自分の車に乗り込むと不毛作を
 乗り込ませるように手招きを何度もする
雪が積もった車はまるでカモフラージュしたかのように
 白い塊と化けて車種は何だかわからない
ただ車幅が狭い事とヘッドライトがフェンダーに
 ついてる事でクラシックカーであるとは思えた。

「車がお好きなんですね、ここまで復元するのは
 大変だったでしょう」

車内に座ってみるとウォールナットで作ったダッシュ
 ボード、皮製のシートやガラス類などすべてが美しく
 新車特有の匂いまで漂いとても中古とは思えず
 思わずそう言ってしまったが男は

「そうね」

と、まるで車には興味がまるでないかの様に答えた

「そんな事よりもまだ貴殿の名前を聞いてませんで
 したね、名前伺ってもよろしいですかな」

「あ、はい。不毛作 由紀雄と申します」

「失礼ですが貴方のお名前は」

「これは失礼、我輩はSNOW ファクトリー代表
 ラップランバート伯爵と候」

伯爵と言われたので二毛作は外資系の企業だと
 考えたがそこに大きな落とし穴があることに
 気づきはしない。

車は雪かきした様子はないのにライトは明るく前方を
 照らし走る。
チェーンの音もないのに車はまるで晴天のアスファルト
 を走るように、違うのは雪が吹きつけてくるだけだ
真っ白な雪景色は流れて室内から見る風景は幻想か
前方に工場が見えてきたが車は素通りして目的地
 ではないことを理解できた

どのくらい走っただろうか
二毛作は周囲の風景が変わってきた事に気づいた
今までは民家や工場などの建築物が見えていたが
大きな木々が立ち並び道幅も車一台が通れる狭い
 林道を走っていた。

時折枝からこぼれ落ちてくる雪のかたまりは進路を
 阻むように道路や車へ落下してきては拡散する
だが車は当たり前とでも言うかのように進み続け
 ていく。

アウディクワトロのCMに出てきたような急勾配の
 坂を難なく通過して坂を登りきると突然、目の前に
 は大きな建築物が姿を現した。


「着きましたよ二毛作さん」

ランバート伯爵の声は二毛作の耳に入らない
目の前にそびえる巨大な建造物に唖然とするばかり
例えるなら山に作られたパルテノン神殿だろうか


つづく