「バイクの後ろに乗せてください」
「悪いんだけど後ろには誰も乗せないんだよね」
勇気を振り絞って男に頼んだ女は撃沈させられた。
ブログを通じて知り合ったバイク乗りの男は40代会社員
男が書くブログに深い興味を持ち好意を抱くようになった
女は30代の職業不明。
彼女のことが嫌いというわけではなく同乗者に責任を
負うことができない故に同乗を拒否したのだ。
そんな男の思いなど女は知らない、ただ単に自分のことを
好きではないのだろうかと考えてしまった。
友人に相談してみると女友達は
「夢香ちゃん、思い切ってライダースーツを身にまとって
強引にでも乗せてもらっちゃえば?」
「なにそれ?バイクに乗るのにそんなの着る必要あったの?」
「わたし、持ってないよ」
「バイクに乗らなければ必要のない服なのよ」
「逆に言えば買ってしまったのだから後戻りできない訳よ」
とここでスタッフの男が二人を呼びにきた。
「夢さん、しのぶさんお待たせしました。出番ですので
準備お願いしま~~す」
広い待合室で椅子に腰掛け話していた二人は
呼ばれたので会話をそこでやめてスタッフと共に部屋を出る
女の仕事は決められた時間に遅れることは許されなかった。
長い待ち時間のあとでも実質の仕事は短時間だったり
あるときは長時間にも及んだりと不規則な仕事でもあった。
だが今回は1時間で仕事は終わった。
そして先ほどいた待合室に戻った二人は会話の続きを
「ところでさっき言ったライダースーツって何?」
「光沢があって体にぴったりフィットする服かなぁ」
「わかる!?」
「う~~ん、なんとなくわかるようなわからないような」
「そんな感じの衣装、以前仕事で着たから持ってるかも」
「夢ちゃん、衣装もちだもんねぇ。」
人の話を最後まで聞かないあわて者である夢香。
彼女はここで大きな勘違いをしてしまった。
世間知らずでもある彼女だから致仕方ないかもしれないが
「でもさぁ、なんでその人のバイクに乗りたいの?
バイクって夢ちゃん好きだったわけ?」
「バイクなんか別に興味ないし乗りたいとは思わないよ」
「え・・・・」
「だってぇ後ろに乗せて貰えれば密着できるじゃない!」
「・・・・・・」
つづく
この物語はフィクションであり実在する人物、団体とは
一切関係ありません