短編小説 介護のための見合い 第10編 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

見合いが終わりほっとした秀一郎は自宅でくつろいでいた。
見合いの態度について弟や両親から積極性が足りないと
責められたのだが人間そんなに突然変われるものではない。
秀一郎には後悔することはなかった。

自宅のパソコンでいつのようにブログを更新していると
そこにブログ友であるキャサリンという女性から電話がきた。
無論キャサリンというのは本名ではなくハンドルネームである
お互い携帯電話の番号を交換していたが電話でも本名を
名乗ることなく慣れ親しんだハンドルネームで会話をしていた。

「もしもし、シュウさん?シュウさんて見合いしたことあるの」
「え!どうして・・・・そんな事を」
さすがに今日、見合いをしてきたばかりだとは言えなかった。
「いえ実は今日、お見合いしてきたのよ」
「・・・・・・・・・」
なぜ秀一郎は見合いしたことを言えなかったのか、それは
ブログ友のキャサリンという女性を彼は特別な存在と
考えていたから言えなかったのだ。そんな心を知ってか
知らずかキャサリンは抜け抜けと見合いしたことを話す。

「で、見合いはどうだったの?」
「それがね、相手の男ったら40代の禿げたおっさんで腹ぶーー
 微笑むことなく黙ったままでもう最悪の見合いだったわ」
まるで自分の事を言われた気分の秀一郎は心臓を矢で
射られた感覚にとらわれ ドキッ としていた。
そして今日の見合いもまさしく黙ったままで最悪のものだった。
だがキャサリンが今日、見合いした相手というのはあまりにも
偶然過ぎる。  ”まさか・・・・・”

「相手の名前って覚えてる?」
まさかそんな筈はないと思ってみたが一応聞いてみることに
した秀一郎。
「え~とね たしか桐生とか言ってたわ」
「へへへ、、、そ、そうなんだ」
秀一郎は確信した、神の悪戯か知らないが今日見合いした
 相手はブログ友のキャサリンに間違いない・・・と

「もしかしてキャサリンって今日、西新宿のサラマンダーという
 インド料理店に行ってなかった?」
「ええ!!シュウさんなんで知ってるの?シュウさんもいた!?」
「やっぱりそうか!」
キャサリンが見合いした相手とわかると先ほどキャサリンが言った
禿でデブなダンマリ男という言葉を思いだし不愉快になってしまう。

「だって君の目の前に座っていたハゲで腹が出てる地味な男って俺
     だから!わかってくれた?幸子さん」
「そ・・それは。」
もし事前に見合いした相手がシュウだとわかっていればあのような
 見合いになっていなかったし先ほどの失礼な発言もしなかったと
 言いたかった!しかし幸子は言葉を飲み込んだ。
既に言ってはならない言葉を口にだしてしまったからである

お互いに贈り物をしあい住所と氏名は二人とも知っていた、それ
なのに本名をお互いがそれぞれ忘れてしまっていた。
普段ハンドルネームで呼び合っていたからついうっかり忘れて
しまう、これがネットの友人同士という落とし穴かもしれない。

「君が俺のことをどう思っているかはっきりわかったよ。」
「もう話すのやめにしないか?本当はおれなんかと話したくない
  んじゃないのかな。」
「あそうそう、見合いした幸子って女性さぁ。はかない幸せを
  掴むように異様に白い顔してたよ」
・・・・・・・・「ひ、ひどい。。」

そして電話での会話は終了した。
次の日から秀一郎が更新するブログにキャサリンからのコメント
が書き込まれる事は無くなった、毎日更新するたびに書き込ま
れていたキャサリンの文字は突然消え何日たってもキャサリン
からのコメントが書き込まれることはなくなった。

つづく

この物語はフィクションです。