短編小説 おぼろ月 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

昔からおぼろ月が出る夜は人ならぬ物の怪たちが暗闇で
悪巧みをしていると言われている。
満月で雲がかかってるにも関わらず月の形がわかる
月がぼやけて見える現象がおぼろ月である。

「気味の悪い月よねぇ~」
「こんな夜は早く帰ったほうがいいよね」
仕事帰りのOL達はそう呟いていた。

古事記によればこんな夜は狐や狸が百鬼夜行をしたという
果たして科学が発達した現代にそのような物が現れるのか
夢を持たない子供たち、隣に住んでいても会ったことがない
人々。

月明かりがあるというにいつもより闇は暗く空気も重い。
西高東低の気圧配置だというのに夜は風がなく
気味の悪い夜の8時であった。
高層ビルが立ち並ぶ大都会の路地裏、いつもはネオンが
輝く繁華街も今日に限って照明は消えていた。
外灯も点灯しない真っ暗なビルの裏一人の男が歩く。

だが歩いても歩いても景色が変わっていかない、まるで
永遠に暗闇であるかのように電灯はひとつもない。
真っ暗闇の中から今生まれようとしていた物があった。
闇から影のように伸びていく黒い物体。
それは歩いていた男の背後まで近づいてきた。

「だんな、どこまで行くんですかい?」
男は無関心に歩いていく。
「振り向いた時がおまえの死ぬときだ。逃がさない、、」
怖ろしい声でそう男に囁く物。男は相手にしなかった
「け~~~ケケケケ」
しつこく男に憑いていくと

男の歩いていた足はそこで立ち止まり
振り向くと回し蹴りを披露した。
”ホゲェーー”と叫び飛んでいく物体
「こらぁ~うるせぇ~んだよ!!化け狸」
ビルのごみ置き場には小さい狸が血を出して蹲っていた。
小さな前足で鼻を押さえる哀れな狸。

「くそが。」
そういうと再び歩き出した男。
男が去ったビル街に狸はただ座っていた。
しかし狸は知らなかった、その後方200メートルには
男によって顔を腫らせた狐が気絶していたことを。

江戸時代のように再び人間を恐怖のどん底へ落とそうと
やる気満々で都会へやってきた狸と狐。
時代が変わり人間も変わったことを狸と狐は知らなかった。
山奥から必死の思いで都会へきたが無駄骨に終わった

「なんのためにここまで・・・・・・痛たたたた」
狸は都会の片隅でただ泣き続けていた。

この物語はフィクションです。