短編小説 猫の気持ちになれるか! | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

「ねぇあなた、今晩何が食べたい?」
「そうだなぁ肉料理がいいかな・・・」
どこの家庭でもありそうな日常的な夫婦の会話である。
夫次郎衛門は建築設計事務所に勤める会社員
妻お千代は官邸大奥で書記をするエリート。
今日は二人とも休日で家でテレビを見ながら過ごしていた。

冷蔵庫をのぞいてみると材料が足らないので久しぶりに
二人でスーパーへ買い物に行くことにした。
夫は近所に確かに”◎なげや”があった筈だと思っていた
のでたまには愛する妻と散歩がてら買い物へ行くのも
いいかなと考えた。
「たまには一緒に買い物へいこうか」
「ほんとう~?じゃ買いだめしちょうおうかな」
と喜ぶ妻を見ると微笑ましい。

ボタンシャツにスラックスの夫と十二単の着物姿の妻は
家からスーパーへ向かい歩き始めた。
「こんにちは奥さん、今日はいい天気ですねぇ」
「夫婦揃ってお散歩ですか、仲がよろしくて羨ましいわぁ」
隣の奥さんが声をかける。
「いえいえ、スーパーへ買い物に行くだけなんですよ」
もっと話を続けたかった妻を制止するように夫は
「それじゃどうも、失礼します」

スーパーを目前にし夫は突然止まりスーパーの看板を
見つめる。
「あれ、ここ”◎なげや”だったよなぁ」
「あははは、あなたもうボケちゃったの?”トラ毛屋だよ」
「ト・ラ・ゲ・ヤ」
自分の信じていたものが崩壊したとき人は動揺してしまう
もので夫の次郎衛門もまた考え込んでしまう。

考え込んでいる夫に構わずスーパーへ入っていく妻
「あなた~何してるの、いくわよ」
店舗の作りは”◎ナゲヤ”のそれなのだが看板だけが違う
店内に入ると商品の配置、棚の種類などやはり◎ナゲヤ。
ただ陳列されている野菜のなかにはレタスやキャベツなどは
ない。
「た、たんぽぽ?ひまわりの花?マタタビの樹皮?
 なんだこのスーパーは・・・・・」

「あなたぁ!今晩はハンバーグ作ろうか」と指をさす。
その方向に目をやるとそこにあったのは・・・・・・
生きたねずみがチョロチョロ動いていた。
「ハンバーグってお千代、それねずみじゃないか」
「え?そうよ土ねずみのハンバーグ作ろうかと」

中央のガラスケースの中にはアオダイショーが何匹も
まとわりつき絡み合ってゆっくり動いていた。
「げげなんでスーパーにアオダイショーがいるんだよ
 他にもセミやカマキリ、カナヘビやイモリまでいる」
驚く夫と対照的な妻はごく普通に
人が活魚を見て話すように。
「いい新鮮な蛇の刺身なんてのもおいしいわよね」
と妻は言う。

「お千代、おれこんなもの食えないよ!蛇やねずみなんて
 まるで猫の夕食じゃないか。」
「あらあなた、自分の手を見て御覧なさい!その手
 何に見える?」
と妻がいうので男は
「何って普通の指がある手のひらだぞ」と見ると

・・・・・・・・ない!指がない。
指が本来あるはずの場所には猫のような肉球があり
手のひらには大きな肉球、触るとプニュプニュ柔らかい。
「なんじゃぁああこりゃあーーーー」
顔を触ってみると頬が異様に膨らんでおり毛深い
太った人の顔とかいう次元ではなく猫の丸い顔であった。
長いひげをまげて離すとすばやくもとの形に戻る
形状記憶合金のようなヒゲ。

「あなたいつもお刺身、おいしいって食べていたじゃない」
アオダイショーの赤みとシマヘビの白身、ヤマカガシの
薄切りを混ぜたものが刺身の盛り合わせだと聞かされた。
サーロインステーキの肉はイタチであるとも聞かされた。
そして
夫次郎衛門が再び妻の顔を見てみると、
白い美しい毛並みをした猫の顔がそこにはあった。

日本中の男性諸氏、思い込みとは恐ろしいものです。
奥様が夕食にと用意された食材、本当に牛や豚、鶏の
肉でしょうか?
もしかしたら今口に運んでる肉って蛇の肉かもしれませんぞ
買い物は一緒に行くようにしましょう~(笑

この物語はフィクションであり現代の人間社会とは
一切関係ありません。