企業はより利益をあげるために商品開発や研究をする。
開発で一歩他社を抜き出れば利権も生ずる。
だが新しいものを作るということは挑戦でもあり失敗もある
開発した企業の研究を盗みさらにいいものを作られる
可能性も潜んでいるこれが企業間の開発戦争なのだ。
そこで 裏で動いて社内秘にしている極秘資料を獲得する
産業スパイがいるのだ。
会社に害が及ばないように会社外の人物と契約して
報酬を支払ういわば裏社会の非合法エージェント。
彼らにとって正義だの悪だのと関係ない、合法非合法
それも彼らにとって何の関係もないただ仕事を果たすのみ
世界中に産業スパイとして生計を成り立てている人間は
およそ5万人と言われる。
成功率90%以上だとおよそ100人に満たない。
その中でも一際信頼され成功率100%と称される者がいた。
エージェントの間でも恐れられている人物!
それが”リボンちゃんの買い物カゴ”と呼ばれる人物なのだ。
性別さえわからず正体不明の人物。
依頼した者は顔を見たはずなのだが仕事完了後
一切口を開こうとしないので正体不明のままなのである。
黒田の父であり元社長の惣一を死に追い込んだ者達
その中のひとりが産業スパイであるリボンちゃんの買い物カゴである。
粉末ジュースを再販するために松井はこのスパイを使えないかと
考えていた。もちろん黒田には内緒である
50代となった松井は子供の頃飲んだ粉末ジュースが忘れられない
そこで生産工場があった甲府まで出向き生産していた会社
社長の息子である黒田と出会った。黒田に力を貸す松井は個人で
仕事する自営業をしていたので企業との付き合いもあった。
また同年代で会社社長する友人もいたので産業スパイの事は
噂で耳にしたこともありもっと詳しく聞くために友人と会うことにした
友人も直接会ったことはなく社長仲間から噂程度にしか聞いたことが
ないと言った。だが耳寄りな情報を得ることができた。
「噂では西新宿のカートランドタワー前地下広場、深夜2時に赤いリボン
をつけたピンクの買い物カゴを持っていくと奴が現れるらしいぞ」と
「な、、なに。ピンクの買い物カゴだって?なんだその冗談みたいな
噂は・・・・・・おまえ馬鹿にしてるんだろ」
松井がそう思ったのも当然でひと気のない寂れた公園で待ってると
長いコートを着てサングラスかけた怪しい人物が現れる。
これがサスペンションドラマのセオリーなのだ。
深夜といえど目立つピンクの買い物カゴを持てとは目立ちすぎる
リボンちゃんの買い物カゴ、名前からして裏家業をする人物の
名前とは相応しくない。男ではなく若い女なのか・・・・・
それも ナイスボディのいい女、きっとそうに違いないと松井は
確信していた。
どんなにふざけたエージェントとのつなぎでも今の松井には
それを信じ行動するしか道がないのも事実。
粉末ジュース販売のためにはどうしても”りぼんちゃん”が必要
彼女の協力が成功へと導く絶対条件であると考えた。
勝手にエージェントを女と決め付けてしまった松井である
しかしエージェントはあくまで仕事を完璧にこなすための手段でしか
なく万が一のためにも保険が必要だった。
相手は巨大な力を有する大企業、どんな手段で対抗してくるかはわからない
粉末ジュースを潰した当時の企業と新聞社の癒着
その証拠さえ手で握れば大企業は手を出すことが出来ない筈で
あると松井は考えていた。
だが20数年前に起こったことで大企業に当時の社員が現在もいるのか
そして当時の書類がまだ保存されているとは限らない。
昔の粉末ジュースをそのまま再販することはまず不可能であろう。
新聞で健康に害を与えると叩かれたのだから。そこで売り出す前に
大学に持ち込んで衛生面の検査をしデータを新聞社に持ち込んで公表
することを松井は思いついたのである。
製造サイドの黒田社長には製造に専念してもらいたかったので
広報は松井と甲府市役所職員本庄が請け負った。
なぜこのような事をするかといえば大企業などからの妨害を阻止するに
他ならない。先手を打つ必要があった
これだけでは安心できないと思った松井は”粉末ジュース愛好者の会”
発足を提案しその会長には本庄が就任することを決めた。
もともと10ミリグラムの即席ジュースを販売していたので粉末ジュース
を缶に詰めれば商品は完成する。衛生面では問題がないのである
残る課題は大学研究所への持ち込みと裏工作だけであった。
誰もいない真っ暗な地下広場、わずかな照明はあるものの不気味な気配
漂うビルの前でスーツ姿の男がひとり立っていた。
手にはピンク色をした買い物カゴを持ち恥ずかしそうにしていた男。
恥を忍んで派手な買い物カゴを手にとり松井はここまできた。
50男がスーツ姿でピンクの買い物カゴを持つには勇気が必要だった
”本当に来るのかなぁ。”
噂はあくまでうわさであり真実とは限らない
「あんた、わたしに御用?」
人がいる気配はしなかった。それなのに声を掛けられて
驚いて声も出ない
女の声みたいだがなんか変な声、だがハスキーな声の女性もいる
声がしたほうを振り返ってみると長い髪の大きな女が座っていた。
「失礼ですがリボンちゃんの買い物カゴさんですか?」
恐る恐る女性に向かって尋ねてみる松井。
「ええそうよ、どんな仕事を依頼されたいのかしら?」
「とりあえず仕事の内容を聞いてから請けるか判断するわ」
相変わらずリボンと名乗る女は暗闇から出てくることはない
だが正体を簡単に明かさないプロの証明でもある
「頼みたい仕事のひとつはある物を大学の研究所まで運んで
頂きたいんです。もうひとつはある企業に忍び込み新聞社と
癒着している証拠を見つけ出して欲しいのです」
「そう?で報酬はいかほど頂けるのかしら」
「500万ほどご用意しました」
松井には500万が安いのか高いのかまったくわからない
裏家業の相場というものを知らなかったのだ。
「まぁいいでしょ。スイス銀行にある口座に振り込んで頂戴」
その言葉を聞いてやっと緊張の糸がとれた。
「じゃよろしく」
「よろしくお願いするわ」
と握手を交わしたのであるが
握手した女の手は硬くて大きく男の手のようで
”おかまだったのか”
リボンが立ち上がった時月明かりではじめて女の体が
照らしだされその姿は、
広い肩幅とワンピースの袖にはぶっとい筋肉まさしく男
身長は190くらいはありそうな長身。
「わたしの後をつけようなんて思わないことね!
以前ストーカー男が尾行してきたから始末してやっったわ」
「裏切り行為と判断したら消すからそのつもりで」
それだけいうと大きなオカマは去っていった。
・・・・・・・・・・・・
”ストーカー?そんな物好きいるとは思えない。ヒットマンでは?”
松井はそう思っていた。
この物語はフィクションであり実在の人物、団体とは
一切関係ありません