短編小説 渡航自動車タガメ | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです


テレビを見て台風により河川が決壊し床上浸水となった
家々を見て男は思った。
”普段使ってるマイカーが川を渡ることが出来れば困って
いる人々を助けることができるのに”と

川に車を落として車内から水の浸入を確認しなければ
 川を渡れる車はつくれないだろうと思い自ら運転する車に
 乗り川へ飛び込んでみる。
男は常軌を逸していた。だが入ってくる水を止めることが
できたら洪水で溺れ死ぬことはなくなるだろう。

水の浸入する箇所を見つけたとしても車を分解して加工
する必要があり専門知識も要する。車重も増えるだろう
 それで川に浮くようにしなければならない。
だが最初から無駄だと諦めてしまっては何も出来ない

そして男は渡航できる車を製作する作業がはじめる。
車には水に弱い電装品が多数あり河を渡ることが出来たと
 しても水で灯火類が壊れてしまっては意味がない。
バッテリー、ダイナモ、プラグ、エアクリーナー、センサー
 コンピュータ、マフラーなどほぼすべての部品に防水対策
 が必要で水中での動力と舵取りも考えなければいけない

男が車をつくりはじめて半年の経ったある日。
男は港を目指して走っていた。
助手席には友人を座らせ、ただ海で釣りをしようとしか
教えていない。
友人は港で防波堤釣りでもするのかと思っていたのだが
車は防波堤で止まることはなく更に進んでいく。

「お、おい止まらないのか?海に突っ込むぞ・・・・」
「大丈夫だって、海に浮くはずだから」
そして車は防波堤から飛んだ。
「駄目だ、死ぬ。」

”ドォボーーーん”
二人を乗せたまま車は港の海へ突っ込み大きなしぶきを上げたがとりあえずは海上に浮かんでいた。
車はすぐに沈むことはないのである。
だがあっというまに海水が入って車は沈むと友人は思って
いたのだが。

車内に水は浸入しない筈だった・・・・・
が、、車が落ちた際ドアが衝撃を受け変形したようで海水が
少しづつであるが入ってきてしまった。
「くそ!ドアの強度が足らなかったようだ。失敗だぁ」

海水は僅かづつであるが入ってくるが車はなぜか潮の
流れに逆らって進んでいく。海水が入って車が沈むのが
早いか車が港に上がるのか早いかこれは賭けであった。

「なんで海上にいるのにこの車は進めるんだよ?」
友人はこの車のことを一切男から聞かされていなかったので
ハンドルを切ると向きを変える車を不思議に思ったのだ。

「なんでって渡航できる車に作り直したからだよ。実験は
 失敗した。」
「実験にきたのか。。釣りじゃなかったのかよ、おい!!」
釣りだと思っていたから同行したので海に突っ込むとは
思っていなかった男の友人、怒るのも無理はない。

「おまえなぁ~この実験は偉業なのだ。洪水で流された車
 を見て可哀想だとは思わなかったのか?この車が完成
 すれば助けを待つ人々を助けることが可能なのだ。
 わたしの協力者になれたことを誇りに思え。」

もっともらしいことをいって友人を納得させようとする男で
 あったが男は単に自分の車で釣りがしたかっただけ。
いわば自分の趣味のために作った車であった。
確かに作る前は人助けのためにと思っていたが作ってる
うちに考え方が変わっていったのである。

「そうなのか?では完成すれば津波で車に乗っていても
 助かるということか、すごい事だそれは!」
男の友人は単細胞であり毎回男に言いくるめられていた。
騙されてる事にまったく気づかない友人。

「そ、そうだ。自動車メーカーが作らないから俺が作るんだ」

たとえ最初の動機が不純だとしても完成することによって
多くの人が助かるならば作った人間は後世に偉人となる。
だが男が偉人となれるのだろうか・・・・・

この物語はフィクションであり事実とは何ら関係ありません