「さちこちゃん、しばらく」
「あら、、、みどりちゃんじゃない。元気してた?」
ここはハローワーク。仕事を見つける人、働く人を見つける人の
ための公的施設である。
二人の女性が話してる間にも男は門をくぐりハローワークの
中に入っていく。
「あ、いけないダーリンがいっちゃうわ。またねぇ~~」
「わたし暇だから一緒に行ってもいいかなぁ」
「いいけど静かにしてね」
男は施設内にはいるとすぐある求人情報を見つめていた。
入り口脇には新着の求人情報が壁に張ってあり男は順番に
張ってある紙を見つめるが希望する職種はなかった。
女性二人の声は誰にも聞こえはしないし存在もわからない
それは二人が幽霊であるからだ。
男は窓口にいって書類を出しベンチシートに座る。
順番を待っていたたくさんの人々がベンチシートに座っていた。
「ねね、さちこちゃん。なんですぐに仕事紹介してもらわないの」
「ああ~あれはね、雇用保険もらうための申告してるのよ」
偉そうに解説してる幸子だがここ数ヶ月男についてきて知った
ばかりであった。
「期間中に求職活動したかどうか、活動しないと保険が降りないのよ」
「みどりちゃんも昔来たでしょ!ここに。昔は職安だよね」
「そうそう思い出すなぁ~。昔は担当者が態度でかくてさ」
男は窓口で呼ばれ次回のための報告用紙をもらっていた。
仕事が決まらないとまた用紙に記入して提出しなければならない。仕事が内定してもこの窓口に報告しなければいけないのだ
男は受付にいくと検索するために番号札を受け取る。
今はパソコンで検索するための整理券である。
「へぇ~今はパソコンで検索するのか!あたしのころは
ファイルノートに求人の紙がありそれを見ていたっけ」
「へぇそうなんだ。。古っ!!」
「ねぇねぇ、みどりちゃん。あの人霊に取り付けれてるよ」
施設内を見回すとあちこちに黒い影がいた。
「ああそうね、可愛そうにあれじゃ何回面接受けても落ちるわ」
ハローワークではいろんな人々が職を求めきている。
何回も面接しても落とされる人や諦めがちな人など
そんな人々は負の念をだしそれに呼応されるかのように悪霊を
呼び寄せてしまう。
それでも前向きななら霊を追い払えるだろうが何やっても無駄
だと思ってしまうと負はマイナスを呼びさらなる悪化を辿る
「さちこちゃん、ダーリンてもう何回も落とされてるのに
なんで前向きなの?悪い霊もついてないみたいだし」
「えとねぇ~ダーリンはいつも前向きでポジティブなのよ
神社仏閣に参拝にいってるし岩様にも就職祈願してる」
神社といっても平地の神社ではなく山頂にある神社で
男は登山をかねての参拝をしていた。
家で何もしないのでは体が訛ってしまうから対策として
「それはちょっと・・・・・違う気も」
みどりの言う通り少し世間の求職者とは違っていた。
他の求職者は履歴書の書き方を考え直したり写真をいかに
印象よく撮影するか考えるものなのだ。
しかし男はそんなことは考えずに神仏に頼っていた。
祈願成就のために己を鍛えるそれも悪くはない
だがそれで仕事が見つかるほど企業は甘くはないのだ。
近頃は求職者が多いために書類選考してる企業が多い
そこで重要となるのが履歴書であるということはあえて
書かなくても誰もが考えることだろう。
それなのに男は履歴書の書き方まで頭が回らず書類選考で
落とされ続けても何も変えない。
企業にとって何が大事で何が不必要なのかそれを考え
てただ有する資格、ありきたりな動機だけではいけないのだ
ところで女幽霊がダーリンと呼ぶこの求職者である男。
男と幸子と名乗る幽霊はなぜ一緒にいるのか。
男に幸子は見えはしない多少の霊能力はあるだろうが
幸子の声は男に届かない!
神社で幸子がうろついてる時に男が現れ幸子は一目ぼれし
男についてきてしまった。幽霊ストーカーと言えばいいかもしれない
勝手にダーリンといってるだけで男は幸子の存在さえ知らなかった。
哀れな女幽霊サチコ。
サチコは今日も独り舞台を演じる。
ベッドに正座し三つ指をついて”ふつつか者ですがよろしくお願いします”
と新婚の新妻みたいに振舞うが男には相手にされない。
今朝は男が二度寝したので遅刻してはいけないとガラスを叩いて
男を起こしたというのに男はそれを気づかない。
なんて健気なサチコ。
”ダーリンは気づいてくれないけどわたしは好きでやってるからいいの”
そう自分に言い聞かせて今日も明るく元気一杯な幸子は
「ファイトぉおお~~いーーーっぱっつ」と叫んでいた。
男は自室で求人募集を調べ履歴書を書いていた。
背後ではベッドに座り男を静かに見守る幸子。
「さっちゃん、今日は起こしてくれてありがとう~」
それだけいうと再びペンを持ち履歴書を書く男。
サチコは自分の存在を男が知らないと今までずっと思っていた。
何やっても見えないだろうとストリップもやったし生着替えもした
そのすべてを見られていたと思うと急に恥ずかしくなった
しかし・・・・自分に対して感謝の言葉を言ってくれた男を
嬉しく思えたサチコ。嬉しかったが恥ずかしいそんな複雑な心境なのだ
男は大きな過ちを犯してしまった。幸子に話しかけた事である。
翌朝からサチコはうるさい位に・・・・・
「うるせぇええ~~、少し黙ってろよ」と激怒する男と
一瞬黙りしおらしくなるものの数分とたたない内に口を開く幸子
暗かった男と明るい幽霊のサチコ、二人の同居生活は今はじまる。
筆者より
ドラマ幽かな彼女の影響が多少入ってしまいました。(笑
この物語はフィクションであり実在の人物とは一切関係ありません