短編小説 ”家の中で炉端焼きがしたい”希望を叶える設計士佃煮徹。 | 妄想小説日記 わしの作文

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前回は主婦の希望でキッチンに主婦が一人で過ごせる退避部屋を作った佃煮だったがそれ以上に今回、もっと難しい相談が入ってきた。
なんと家のキッチンダイニングで炉端焼きをやってみたいというのだ。頭から断ることはできない、設計士である以上顧客の要望に沿った家を作るのが佃煮の仕事であるからだ。
客から金をもらって仕事をする以上消防法は無視できず法律に引っかからないよう施行しなければならない。

炉が移動タイプならば法に引っかからないように作れるだろうが
顧客はダイニングで焼きながら皆と食事がしたいとの要望。
移動できるものでは利便性をかんがえてるから大きいサイズは無理なのだ。
七輪を二、三つ使うのでは着火に手間がかかりすぎる。

佃煮は悩んでいた。
「常設だと床を全部施行し直さなくてはいかんなぁ~」
「テーブルの位置に炉を設置するとしても使わない時、ただテーブルを載せるというのでは見た目が悪くなる」
「焼肉店のように鉄板の上にテーブルを載せるというのもありだが後で炭の始末、片付けをするのに邪魔になる」

「木材があるから耐火、断熱しなきゃいけないし」
「う~~~~ん」

佃煮のモットーは安くしっかりしたものを作る事であった。
考えてみても始まらないので顧客の細かな意見を聞いて見る事にした。
顧客夫妻揃ってで話を聞いてみたかったので先方に告げる。

先方の夫と妻の双方に会う時間ができたのは連絡とってから4週間後だった

「今日はわざわざご足労くださりありがとうございます。」
「前回はただ炉端焼きがしたいとのご希望を伺っただけでしたので
細かいご希望をお聞きしたかったので来ていただいた次第です。」

「床はフローリングで炉端焼きが出来、食事もみなできればいいですよ」
と大雑把な事をいう夫に妻は
「あなた、それじゃ食べる場所が狭くなるような作り方されても文句言えないわ」
夫の言ったことに対し夫をタシナメル妻。
「そうかなぁ?わたしは佃煮さんを信用してるからいいんだよ」

自分を全面的に信頼されるのは嬉しいものであるが信頼され過ぎるのもと
佃煮は思ったので
「後で”こんな筈じゃなかっと”と言われても困りますので
自宅で少々検討してみて頂けないでしょうか?」と設計図を渡す佃煮。
「まだ決定ではありません、なので設計の見直しも可能ですから」
軽い挨拶をして夫妻は事務所を後にした。

佃煮は話を相談された時から気が重かった。
部分リフォームのように出来上がっている部屋の一部を変えてしまうと
部屋のデザインを崩してしまうことになるからだ。
他人がデザインして作った部屋なので自分は手を入れたくなかったのだ。
佃煮は家を設計する時は全体のバランスを考えてデザインしてるので
デザインが崩すような真似はしたくはない。もし反対の立場ならば激怒
するだろう。
一人事務所で悩んでいるときに顧客であり友人でもあるM夫妻から
ホームパーティーをするから こい!との電話が。
”来てくれませんか”だろうと思いはしたが気分転換になるかも
しれないと思い面倒だが足を運んでみる事にした。

「粗末な料理だなぁ~相変わらず。」
妥協を許さない佃煮は骨付きカルビがない焼肉は許せないのだ。
「そう言うなって、誰かさんが妥協して作ってくれないから出費がさ」
「おれはおまえの為に壊れないものを作っただけだ」
反論して怒り出す佃煮にうまく受け流すM夫。

夫と佃煮が座っていたテーブルに料理を持ってやってきたのは
M妻。他の客の相手をしてなかなかこれなかった忙しい妻。
「お金かかったけど本当にいいもの作ってくれて感謝してるのよ」
「佃煮さんてやっぱり天才だよね~」
褒め倒すM妻に照れながらも佃煮は「いやぁ~そう?わかるかなぁ」
と笑いながら喜ぶ。

辛口で無神経な発言をする男ではあるが実は優しい。
そして褒めれば褒めるほどいい仕事をし口が軽くなる単細胞。
M夫妻はそれを知っていたので次の仕事を聞き
出そうとこころみたのだ。

「いやぁ~今度の客はダイニングで炉端やりたいなんて言うからさ」
”作戦成功~”M夫妻は顔を見合わして微笑んだ。
「ほう~そりゃ大変だなぁ」
話をあわせて頷くM夫は佃煮のグラスにビールを注ぎこむ
「だろう~。だいたい炉端焼きなんて滅多に使わないだろうに」
不満が隠せない佃煮は酔いも手伝い吐き出してしまった。
だが、M妻は同意ではなく
「あら、、いいじゃない。それ」
「だって食べながら焼けるのよね!肉以外でも魚やパンも」

料理を作る主婦としては事前に焼く手間が省けて嬉しいのだ。
男二人はつまみを焼くだけのものとしか考えられなかったが
主婦は違う観点で考えアイデアを評価した。

「そうかぁ、そうだよなぁ。なにも肉だけで使う必要ないんだ
正月だって雑煮作るのに餅焼いてもいいんだしなぁ」
「でしょ、でしょ。うちも欲しいねぇ~」
M妻の提案に佃煮はもっともだと感心してしまう。
それまであまり気が進まなかったが俄然やる気になった佃煮。

「じゃ、いっちょ作ってみるかぁ」
炉端のイメージが一気に湧き上がってくるのを感じる。
家の設計も想像力が必要なのだ。
「お、やる気になったじゃないか。うちも作ってもらおうか?」
「うん欲しいよね。誰かがうちにきて料理にケチつけれないように」
と遠まわしに嫌味をいうM妻は笑顔だった。

「おまえんとこも欲しいのか?勘弁してくれ」
そうは言ってみたが一回作ればあとはそれの応用ですむ。
悩みながら試行錯誤するのは初回だけで以降はそれほど大変ではない
「じゃ、忘れないうちに帰って設計してみるよ」と席をたつ。

「ばんばれよ~~。」
「またね~」
夫妻に見送られ事務所に向かう佃煮は車の中でも設計を考えながら、、、
炉の出来上がったイメージは中央に細長い鉄製の網を置きその周りに
は木製かホロー加工したテーブル、網を囲うように設置する。
網は通常のステンレス製ではなく表面をテフロン加工し
油汚れを落ちやすくした物。
炉の囲いはレンガで炭の出し入れは引き出しタイプの鉄製にする。
レンジフードみたいなものを吊り下げダクトを屋外まで伸ばす。
床はフローリングがメインで炉周辺の床はレンガにし断熱。
自分ではある程度設計を固めていた佃煮徹であったが
さて顧客はどのような要望をだしてくるのだろうか。
次回乞うご期待。