激しく点滅する光の反射に浮かび上がる黄色い男共。彼らはじっと動かず、彼らの間近で起こっている少年・少女たちの騒乱を少しも気にかける様子もなく、嘘みたいにポップな躍動感にあふれた演奏を繰り広げている。
少年たちの暴走は、もはや誰にも止めることが出来ない。抑圧され続けたいらだちは、凄まじい爆発のように、強烈な勢いで噴出し始め、次々と連鎖するように拡がってゆく。僕は、方々で燃え上がる炎と意味もなく正確に点滅を続ける照明によって照らし出された少年・少女たちを追い続ける。
少年たちは、揉み合いながら殴り合いを続け、少女たちは、訳の分からぬ叫びを上げながら逃げまどう。あらゆる動きが嘘みたいに動きだし、あらゆる叫びが嘘みたいに叫ばれだす。崩れ落ち始めた壁面の巨大なモザイク画の亀裂から洩れる光のなかを、二階席のエプロンから、一人の少年が両手を大きく広げダイブする。それは影となって、クオーツコントロールされた僕のスコープ・ファインダーに見事に収まる。
嘘みたいに叫ばれる言葉。嘘みたいに大きく叫び始められる謎のような言葉がある。すでに何人かの少年は、ステージに上がり、そこに設置された巨大な増幅装置などの機材を破壊し始めている。大勢の少年たちも、強烈な磁力にでも引き寄せられるように、先を争いながらステージへと駆け上がってゆく。
僕のスコープ・ファインダーは、押し寄せる少年たちの体でふさがれ、あるいは奇妙に歪んだ少年たちの顔が、次々と向こう側から僕を覗き込む。そして、手。それが、僕に向けて一斉に伸ばされる。硬直して、小刻みに震える手が、僕のスコープに向けて一斉に伸ばされ、剥ぎ取ろうとする。僕のメカニック。僕のマシーン。
僕は、必死になって少年たちの手を妨げ、かわそうとするが、そんなことは最初から無駄だと分かっていた。すぐさま奪い取られる僕のボディー。ステージに上がった、一人の少年の手に僕のボディーは握られ、下から眺める大勢の少年・少女たちに向かって、誇らしげに掲げて見せつける。
少年はその両手を横一杯に広げて見せ、たっぷりと時間をかけ、その瞬間を味わうかのように、波打つような大きな横揺れを心地よさそうに繰り返す。少年によって、僕のボディーに記憶された時間は失われ、1/2000secは無限にまで拡大される。そして、水晶振動子の心地よい揺れは、やがて、黄色い男共の狂ったリズムに合わせて踊り出し始め、少年に奪い取られた僕の小さなボディーは、少年の硬直して小刻みに震え続ける手の中で押し潰されてゆくのだった。
To be continued.
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