音速を超える、一本のコピー -6ページ目

音速を超える、一本のコピー

33歳芸大生(職歴なし)が、文化放送のラジオCMコンテスト&宣伝会議賞を通して、電通へと駆け抜ける。コピーライター。現在は宣伝会議コピーライター養成講座上級コースに在籍。宣伝会議賞は、学生企画にも挑戦中。

それはいくつか問題がある。
たとえば政治的な発言はできない。選挙に行けとは言えるが、どこの政党の選挙公約は○○だとは言えない。
できないと分かっているなら、そう生きていくと決め込める。一生しない、と。けれど、判断に迷う場合は困る。
たとえばビール。サントリーのプレモルがうまいか、サッポロのヱビスビールがうまいか、日常生活の基幹となる言葉も吐けなくなるかもしれない。
いや、もっと深刻なものがある。具体例は挙げないが、今は完全な合法であっても、少し法体制が変われば、すぐに誰かが「騙された!」と叫び出すような業種だ。その瞬間、仕事をこなしていたつもりが、法律違反の片棒を担ぐような行為に早変わりする。
けれど、そんなもの、選ぶ側の主観でしかないし、アルコールだってドラッグとも言えるし、果ては、人間にとって酸素吸入器でさえドラッグを入れた注射針とみなすことも可能だ。
ぼくらは、社会体制の海を漕ぎ出す一掃の船だ。「こっちの方がいいですよ」と言われ、波を気にしながら舵をとる。法律はすぐ隣に座っている。それはいつ、どんな場所であれ、変わらない。
広告。それは舵のない船だ。正義、悪どちらの方向に進むかも分からない大海原をあてどもなく進む。過去も未来も分からないが、今は合法だ、沈まぬ船だと言われて。逸れることも、振り返ることも許されない。ただ、視界に見える景色を驀進し、過去へと変える。
これが、幸か不幸か。水面は、凪ぐまでは分からない。信じることが、たったひとつのエンジンである。
耳をすませば、聞こえてくる。