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音速を超える、一本のコピー

33歳芸大生(職歴なし)が、文化放送のラジオCMコンテスト&宣伝会議賞を通して、電通へと駆け抜ける。コピーライター。現在は宣伝会議コピーライター養成講座上級コースに在籍。宣伝会議賞は、学生企画にも挑戦中。

[東京モノレール]
チュンチュンと雀が鳴いている。
老婦人:私たち、半世紀、よくやってこれましたね。
老紳士:いいえ、あなたのおかげです。
老婦人:まあ。でも、ありがとう。
N:幸せに出会うため、ひとは、ひとつを求める。東京モノレール。

・敗因は?
「50年の歴史を表現したCM、これからの未来を感じさせるCM、インパクトのある面白いCM、自由に表現してください」とのことで、「50年」「モノ」を主軸としてCMをつくった。雰囲気は良いのだが、最後のコピーいたるまでの導入が中だるみしていて、なおかつ発想自体がありがちのネタになっていたのがダメな原因だろう。

[青ニ塾]
突如として、ヤカンが沸騰する。
N:情熱は、沸騰する。俳優養成所、青二塾。

・敗因
音だけで表現しようとしたのは良いが、デフォルメをしすぎており、青ニ塾でなくとも成り立つ点が弱い。

[シー・アイ・シー]
N(女性):私は知らなかった。ひとの家のために、ゴキブリを飼うひとがいることを。やさしい目で見守って、そこでは全てが、寿命を迎える。ゴキブリを殺すひとは、ゴキブリをいちばん愛したひとでした。クリーンドクター、シー・アイ・シー。

・敗因
シー・アイ・シーには、「ゴキブログ」なる害虫観察ブログがあって、その中の「この個体(ゴキブリ)は850日生きた」という言葉に惹かれた。いくら気持ち悪いとされる生き物でも、その生死を数えてくれるひとがいるのだ、と。それは僕の母親ですら、何千何百日生きたね、なんて把握はしていない。いや、世界中の誰が、この幸せなゴキブリに勝てるだろう。そう思って、なるべく熱意が伝わるように書いた。「害虫駆除」という文言を外し、食事時でも聞けるような内容にした。音楽も外して、ナレーション一本でいく、と。けれど、そういう意図は伝わらなければ逆効果であって、一次審査すら通らなかった可能性すらある。ちなみに、シー・アイ・シーの要望には、「面白おかしいCMを」とあった。現実は厳しい。

第9回ラジオCMコンテストを受けられる方に言いたいことは、一次審査は、ナレーションのみで勝負しようという原稿は、まず内容関係なくハネられるということ。だから、僕の作品の場合、

M~
女性:私は知らなかった。ひとの家のために、ゴキブリを飼うひとがいることを。やさしい目で見守って、そこでは全てが、寿命を迎える。
N:ゴキブリを殺すひとは、ゴキブリをいちばん愛したひとでした。クリーンドクター、シー・アイ・シー。

としていたら、歴史は変わったかもしれない。しかし、はじめにこちらのアイディアを思いついてから、あえて「ナレーション一本でグランプリ一直線や!」「こんな原稿が最終審査に残ったら、目立つ」といってナレーション一本に変えたので、この結果には後悔はない。完全に人柱となったが。
とにかく、最終審査に残るためには、素人臭さを消すことが最も重要なことだ。しっかりSEは( )で括るなりして。これは、宣伝会議の講義でも言われた。「新人は、内容よりもまず、見られる工夫を第一にするべきである」と。これだけで結果は変わるようだ。